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恩知らず

前回からの続き

注目を避けることでシステムに組み込まれるリスクは減る。が、人は生まれた瞬間から何らかのシステムに属している。多くの哺乳類がそうであるように赤ん坊は一人で生きられない。システムによる支援が不可欠であり、それは一般的に家族と呼ばれる。

自分のことが自分でできるようになったのは自分の力ではない。いろんな人たちに助けられて成長してきた。それに対して優劣をつけることはできないが、やはり家族は特別な存在だった。一緒に過ごした時間が圧倒的に長く、とくに幼少期の影響は計り知れない。

子供は家族に依存している。僕も例外ではなかった。それが今や依存されるのは嫌だなどと抜かしている。まったく、どの口が言うのか。

善行ムーブの記事で書いたように、助けを必要とする相手に手を貸すのは自然現象のようなものだと思っている。助けてもらった立場から言うことではないが、僕を育ててくれた家族はおそらく見返りを求めていない。

彼らは自分の子供にもっと恩を着せるような育て方が出来たはずだ。「誰のおかげで飯を食えてるんだ」みたいなことを折りに触れて思い知らせておけば成長した後で見返りが期待できる。でも、それをしなかった。

おかげでこんな薄情者が出来上がったわけだが、この薄情さが無かったら僕は依存を抱えすぎて潰れていたと思う。最高の育てられ方をした。

お父さん、お母さん、ありがとう。
恩知らずな息子でごめんなさい。