【漫画】スキップとローファー
田舎を離れて都会の高校に通う主人公のスクールライフ。
この説明で何も間違ってはいない。実際、転生や異能バトルは起きないし、アイドルもスーパースターも出てこない。雑誌モデルは登場するが、それも知り合いの知り合いくらいの距離感にいる。
なのにこれほど面白いのは心理描写の解像度が飛び抜けて高いからだ。等身大という表現はこういう主人公たちに使われるのだろう。極端な強キャラも弱キャラもいない代わりにそれぞれの内面が鮮明に描かれる。
おかげで僕のようなおっさんでも主人公の友人であるモテカワ女子の寂しさや悔しさに共感して、同じく主人公の友人である非モテ女子の甘くない恋心に胸が締め付けられる。そして、そんな二人の意外な友情にむせび泣いた。
このたった三行を書くのにも抵抗があった。主人公はもとより、ほかのキャラクターに言及しないのは作品の魅力を伝えていることにならない。「全員が主人公」は言い過ぎにしても、それぞれの人格に奥行きがある。
これを一人の人間が描けるとは到底思えなくて合作や合同ペンネームなのかも、と疑ってしまった。作者である高松美咲さんの創造力、想像力に敬意を表したい。
どこのクラスにでもいそうなキャラクターに等しく共感できることは人を優しくすると思う。みんな幸せになーれ。