優しい世界
↑前回の続き
産休クッキーで傷つく人がいる。守ってあげたいと思うのは優しさであると同時に子供扱いでもある。子供といっても侮蔑的な意図はなく、客観的にダメージコントロールが未熟な人間と見られている。
また、親もしくは近しい誰かの庇護下にないとも思われている。支えてくれる人がいるなら放っておいても大丈夫だろう。そうじゃないから自分が守ってあげなければならないと考えるのだ。
その心配が当たっているかどうかはともかく、少なくとも心配が生まれやすい土壌ではあるのだと思う。
たとえば自分自身の脆さをよく知っていて他者にも投影しているとか。あるいは単純に身の回りに傷つきやすい知り合いが多いとか。昭和のガサツな価値観が見直されつつあるのもおそらく無関係ではない。
昔より優しい世界になった。
ただし、弱くて優しい世界である。この世界の優しさは脆くて傷つきやすい人に向けられている。強い人には優しくする必要がないという明確な意思さえ感じる。
このまま時を重ねても強くて優しい世界にはならないだろう。誰もが傷つかない強靭なメンタルを手に入れると優しさの出る幕はなくなるからだ。
あなたは弱いままでいいんだよという優しさは誰のためにあるのだろうか。
↓次回につづく