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時間は流れている

数年前に買った腕時計を愛用している。ただし、ちゃんと身につけたことはない。買った直後には一応儀式として腕に巻いてはみたものの、金属が重くて冷たい以上の感想はなかった。

もともと腕時計が欲しかったのではない。これといったキッカケもなく、ぼんやりと考え事をしていたら不意に電波ソーラー時計なるものへの興味が湧いたのだ。そのときに出会ったのがたまたま腕時計だった。

今は机の上に置いている。卓上時計としては小さくて場所も取らず、銀色に輝く筐体が美しい。時計の針も銀色で黒い文字盤に映えるが、光の反射のせいで見やすい角度が限定されてしまう。なので卓上時計としても使っていない。

毎時0分にピピっと時報が鳴る。それだけの機能が好きだ。

スマホのアラームでも実現可能ではある。が、スマホは充電してやらねばならない。時刻を合わせるためにネットワークに接続してやらねばならない。普通に使っていればどちらも簡単に維持できるが、僕が関与しなければ実現できない。

この時計は電池を交換しなくても、日々の誤差を補正しなくても正確に1日を24分割し続ける。僕がいなくなっても太陽がある限り、電波の発信元が稼働している限り、時間を刻んでいくだろう。

そういう大きな流れの中にいるのだと実感できる。