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社会には自分と他人しかいない

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人間関係の記事をピックアップしていきます。不定期。
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2023年8月の記事一覧

赤い糸

胸を焦がすとか、君のためなら死ねるとか、そういった先人たちのポエミーな恋愛表現に皮肉なリスペクトを感じていた。実際に体験してみると意外に大げさでもなく、素朴で飾らない表現にさえ思えた。そうなると運命の赤い糸も誇大妄想とは言い切れないのではないか。 変わり者の自分が50年も生きて初めて心を奪われた相手が、同じような価値観で生きているようにみえた。非常識な結婚観も彼女ならある程度は共感してくれそうな気がする。 ただの願望だといくら言い聞かせても、心のどこかで赤い糸の存在を信じ

結婚観

昔から結婚するために相手を探すのは手段と目的が逆な気がしていて、ついに相手がいないままこの歳になってしまったわけだが、今回の片想いでようやく結婚について考える機会が訪れた。 誰かのそばにいたいという感情を覚えた今でも、やはり他人とは隣人の関係が望ましいと考える。同棲しようが籍を入れようが気持ちはずっと隣人でいたい。そのくらい極端に僕は依存を嫌っている。 基本的に自分のことは自分でできる。パートナーもそうであってほしい。結婚相談所の人が聞いたら目を丸くしそうだが、最初から支

半身

他の好きには順位がつけられる。犬より猫が好き。秋より春が好き。ナポリタンよりミートソースが好き。 一方、この恋心と思しき感情は特定の一人にだけ向けられていて比較対象がない。別の女性と比べてどのくらい好きだと相対化することができない。ナポリタンしか知らない状態なのかもしれないが、だとしたら確率的にミートソースを知るのは今からさらに50年後になる。 テレビを観て笑っていても、コンビニで買ったパンが美味しくても、それでは足りないと感じるようになった。同じものを見たり食べたりした

初恋

高校生の頃、同じクラスの女子をなんとなく目で追っていることがあった。とくに接点はなく進級して別のクラスになると再び姿を見かけることもなかった。あれが僕の初恋なのだと思っていたが、今考えるとたまたま何度か目があって意識していただけだ。 他人にそこまで興味がない。異性と仲良くなりたいと思ったことはないし、同性の友達とも誘われれば遊びに行く程度の間柄だった。社会人になってからは次第に誘われても断るようになる。それで何の不満もなかった。 今はエロゲ声優の花澤さくらさんにガチ恋して

大学受験の思い出

結末を先に言うと大学受験はすべて落ちた。 推薦入試と一般入試を一校ずつ受けて、どちらも筆記試験が壊滅的だった。乗り物酔いで途中休憩して試験会場に遅刻したり、面接試験がしどろもどろだったりもしたが、答案用紙を半分程度しか埋められなかった時点で結果は決まっている。 問題を読んでもすぐに解法が思い浮かばなかった。個々の道具の使い方は知っているのに、いざ問題を前にしてみるとどの道具を使えばいいのかわからない。たぶん中学生レベルの問題が混ざっていてもあの場では解けなかったと思う。

校則違反の思い出

前髪が味噌汁に浸かるほど髪を伸ばしていた時期がある。高校に入ったあたりから床屋に行くのが億劫になって自分で散髪するようになり、それもやっぱり面倒で放っておいたらそうなっていた。 普通に校則違反である。注意されたら切るつもりだったが、なぜか容認されていた。髪型以外はどこからどう見ても従順な優等生だったので、指導の必要なしと判断されていたのかもしれない。 廊下を歩いていると他クラスの生徒たちからウザ絡みされた。 金八先生のモノマネやってよ 芸能人の誰々を目指してるの? お