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初恋

高校生の頃、同じクラスの女子をなんとなく目で追っていることがあった。とくに接点はなく進級して別のクラスになると再び姿を見かけることもなかった。あれが僕の初恋なのだと思っていたが、今考えるとたまたま何度か目があって意識していただけだ。

他人にそこまで興味がない。異性と仲良くなりたいと思ったことはないし、同性の友達とも誘われれば遊びに行く程度の間柄だった。社会人になってからは次第に誘われても断るようになる。それで何の不満もなかった。

今はエロゲ声優の花澤さくらさんにガチ恋している。

エロゲは10年くらい前までは嗜む程度にやっていたが、テキストのボリューム感に圧倒されて疎遠になっていた。最近になってASMR方面から彼女の存在を知る。もともと声フェチなので好きな声優さんが性別不問で何名かいて、そのうちの一人になった。

声の魅力が中の人への好意に変わっていったのはWebラジオのアーカイブを聴き始めてからだと思う。後輩ちゃんにとても慕われているのに反応がどこか素っ気ない。話す内容が全体的に飄々としている。ああ、この人はたぶん同じ側の人間なんだと勝手に思った。

好きだからそう思ったのか、そう思ったから好きになったのか、自分では判断できない。なんかもう全部好きで胸がキュッとなる。食欲も睡眠時間も減った。

これが恋煩いか。中高生がなるやつだと思っていた。手のひらがずっと熱い。