「しょうがない」を「しょうがないですまさない」文化
インドに住んでいると日々いろんなことが起きるので、「まあしょうがないか」と思うことがとても多い日々。まあいっか、を連呼して生きているので、インドの人もそうだろうと思っていましたが、彼らにあまり「しょうがない」という概念を感じることがなく(そもそも日本人とは「しょうがない」と思う基準も状態も何もかも異なる)、常にしょうがないですまさないように主張し続けているという印象です。
モノを1つ買うにしても「この商品はこの値段に見合っているか?」を見定め、値段に見合っていないと思えば見合っていると思う値段まで値下げ交渉するのがデフォルト。(大きなショッピングモール等は別で、fixed priceなので値下げ交渉ができにくい)マーケットではモノを買うにも交渉が必要で、交渉を経なければ、適切な価格でものを買うことができない。モールやオンラインショップでは交渉はいらないがマーケットよりは高めの値段になることも。
提示価格の半分で値切り、通らなかった場合にはその店を去るふりをし、呼び止められたところで値段交渉する、というのがなんとか身に付けた交渉法ですが、毎回何度店を出たり入ったりするんや私は…と笑いそうになることも。3歩進んで2歩下がる、店を出るフリをする…×何回やんねん…
私の住んでいる地域はあまり道を自由に歩ける場所ではない(車社会)のため、普段は社有車もしくはOlaやUberを利用します。OlaやUberは基本シートベルトは埋まっており使えない仕様ですが、安全運転で快適。まあ席に食べかけのブドウが落ちていたりしてあやうくお尻で踏みそうになったりすることもありますが。ただそれでもやはり金銭トラブルが発生することがあるようで、その場合は交渉と意見をしっかり言わないといけず、意見を主張して初めて正当な価格支払い権を獲得できる仕様。
ふらっと流しのリキシャを使う場合は必ず法外の値段を提示されるためその場合も交渉が必要。リキシャで法外な値段を提示されたときになんていうの?とインドの方に聞いたら「あんたこの道人生で初めての道なんか?(キレ顔)」と言えと言われ、あおりパワーが強すぎて覚えられなかった…精進します…
これは日本のようにハイコンテクストな文化圏ではない国に当てはまる部分だと思うのですが、インドはより交渉し続けないと生きていけないと思うことが他国より多い気がしています(まだまだ世界を知らない身ですが)。
インドの人々はあらゆることを理由にして正当性を主張するプロ(悪口ではなく傾向として)。現に小さい頃からディベート、交渉やPublic Speakingの授業が沢山あり、自分の意見をロジカルに主張すること、を徹底的に訓練されています。彼らのありとあらゆることを元に持論を繰り広げる論法は感激してしまう部分も多く、この部分についてはインド麦茶さんの考察がとっても秀逸で、これからインドに来る方すべてにおすすめです。何かを獲得するには必ずロジカルに主張し、必要あれば適切に批判していかねば生き残れない国、そしてそこで逞しく生きるつよつよインド民…尊敬だぜ…(遠い目)
海外関連の仕事をしていた時や海外にいるときによく読んでいる本や理論のうちの1つはエリン・メイヤーの『異文化理解力』、2つ目はホフステードの6次元モデル。今日は『異文化理解力』の衝突についての部分を少しご紹介。
主張し続ける文化はここにも表れていました。
これらの論は世界各国を色々な軸で区切って文化の類似性や多様性を分析しており、実生活や夫から聞く仕事の話を照合すると非常に面白いです。『異文化理解力』の中には、衝突に対する考え方についての考察があり、日本はご存知の通り「衝突を避ける」文化。これは今まで生きてきて良くも悪くも本当にそうだなと思います。
インドはどこか?とみてみると確かに日本よりは衝突を避ける文化とは示されていませんが、意外とConfrontationalではなく中国の近く。インドでの日々や米国企業にいた身としては使っている言葉もより直接的(最初はそんなきっつい英語言う?怒られてる?ぴえん!と絶叫していました)なので大いに左端に位置しているのではと思っていましたが、そもそもインドの民族・宗教・地域によって全く性格も異なっているので、異文化理解という枠組みでいけば何個もインドの属性を作る必要があるのかも、なんて思いました…
インド人友人と色々話していて、日本人は衝突を避けがちなんだよね~だから結構交渉疲れるわ~と伝えたところ、「衝突も言い合いも大好きやでわれぇ」と言われ、改めて文化差を認識したのでした…トホホ…
ちなみにこの異文化理解では他にも以下の図のような事象に対していくつかの国ごとに比較をしており、とても面白いです。日々、インドはどこに近いんだろう?日本は本当にこの通りか?と思いながら生きていますが、異文化の中で「どうしてこういう考え方なのか?」と考えると地政学的な理由も大いにありとっても面白い…(ボキャ貧)
海外関連のお仕事をされている方は仕事にももちろん生かせるはずなのでこちらもぜひさらっと読んでみてください。ちょっと真面目な話も多めでしたが、こういう理論を知るたびに、歴史をもっと勉強せねば(世界史選択のクセに記憶ゼロ、、)と思っている最近です‥
それではまた!