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TENETを初見で完全理解して完全勝利したいので全部予想して挑む


 クイズって面白いですよね。
 IQテストや検定試験、脱出ゲームやマーダーミステリも楽しいですよね。


 謎を解きあかして、わかった!と実感するのって超ーーー~~~楽しいですよね!!
 頭をひねって、謎、解きあかしたい。試されたい、試された結果報われて、賢いって思われた~~~い!!ですよね。


 日頃から、皆さんと同じく僕もそんな想いを持っていたのですが、そこに最近話題となっている映画の情報が飛び込んできました。


それが、TENETです。


 『インターステラー』や『インセプション』、『ダンケルク』のクリストファー・ノーラン監督の最新作。
 これが、超ーーー~~難しい映画らしいです。
 なのに国内では同監督の作品で歴代1位のスマッシュヒット。

 難しくて全然分からないと噂の映画が大ヒットしているんです。そんなことある??辛すぎて食べられないお菓子の理屈??

 そんな風に、
 難しい難しいと言われているTENET、
 それってつまり2時間まるまる使った難しい謎解きなのでは!!?

 つまり何が言いたいかといいますと、



TENETを、一度観ただけで理解した~~~~い!!!!



 というわけでこのTENETという映画をクイズ・謎解きに見立てて挑みます。ルールは極めて単純です。
 僕が、何の前情報もなくTENETを観る。
 そして映画の内容を全て理解できるのかどうか!?それだけ。

 映画との真剣勝負です。


 つまりTENETの内容を僕が一発で理解すれば僕の勝ちです。

 でも、僕が内容を理解して勝った場合、それがTENETの負けということにはなりません。
 映画にとっての負けは、エンターテイメントなのに観客が内容を分からないまま終わっちゃうことだと思うんです。観客に内容を全部伝えきって、面白い!と思わせることが映画の勝ちなんじゃないでしょうか。

 なので、


 TENETの内容を僕が一発で理解すれば、TENETも勝ちです!


 ちょっと変則的ですが図にすると、


   映画を分かった  分からなかった
僕    勝ち       負け
TENET  勝ち       負け

(図はめんどくさかったので文字になりました)

です!


 ただ、これだとどう転んでも引き分けなので
 僕がTENETの決定的な結末やトリックの仕掛け、どんでん返しのオチを鑑賞中に読めてしまった場合は、TENETの勝利かつ、僕の圧倒的勝利とします!

 僕はTENETの内容を一発で理解し、なおかつ鑑賞中に結末を読みきって、圧倒的に勝利したい。
絶対に絶対に絶対に勝利したい…!



 さっそく劇場に見に行きたいのですが、
 そのまえに一点だけすみません……!!


 実は、TENETの前情報が僕には一切無いと書いたんですけれど、もう既にTENETの30秒紹介映像だけは見てしまいました……。
 Twitterのプロモーションでも拡散されている岩田剛典さんのものです。


これです。


 この動画だけしか見ていないので、この動画だけはオーケーとさせてください…。さすがに構想数年の脚本とのことだから、30秒のスポットCMくらいは許して…。
 この30秒だけが鑑賞前に僕が知ったTENET本編の全てなんです…。




30秒はオーケー?
良いですか、この動画だけ…!


お願いお願い!


オッケーですか…?


オッケーって言って……?



オッケーね!



じゃあ、この30秒の動画を見まくります。

 なんとしても圧倒的に勝利したいのでこの30秒の動画を徹底的に研究しようと思います。
 なぜなら、TENETが難しいと言われているのはおそらく『不意をつかれるから』です。

 予想していない展開が最も理解しづらい。『GANTZ』では意識の外側からの攻撃が最も回復が遅かったし。たぶんTENETは物凄く濃い内容の映画で、設定や展開もひねっているから、2時間ある上映時間のなかで少しでも「えっ?」と思考が遅れてしまったら置いていかれてしまう、そんな感じなんじゃないでしょうか。

 だからこの30秒の告知映像で徹底的に予想をします。TENETの速度に置いていかれないために、可能な限り僕の中でTENETの想定を行っておく。圧倒的に勝利したいから…!
 ここまではさっき定めたレギュレーションの中でやってるから絶対許してくださいね…!


(※これから先、映画を観ていないので全くネタバレは含まれていませんが、正直めちゃめちゃ自信があるのでTENETのことが完全に分かってしまうかもしれません…。すみません…。)




 さっそく告知動画を詳しく見ていきます。


改めて、こちらです。



 やっぱり面白そう!
 映像も不思議だし、岩田さんのコメントと相まって迫力と緊張感があります。

 それでは唯一の手がかりである動画の内容から、要素を分解してTENETの謎に迫っていきます。



 まずは、動画中の岩田剛典さんのコメントを全て文字に起こすと以下の通り。

「逆行する世界っていうのを観てみたくないですか?」
「タイムトラベルの過程が観れる」
「すごく興奮するし」
「こんな世界あったらめっちゃ面白いな」
(立ち上がって間を溜めて)
「良い意味で、変態的」
「時空の歪みに自分が入ってく感覚」
「凄いんですよもう床とかワサワサァ~みたいな」
(胸の前で両手を上下互い違いに回転させつつ)
「ゴッゴッゴッゴッゴ」
「パニックになりますよね」
「映画館のリアル脱出ゲームみたいな」
「時間を見る映画」
「それって初体験」


 岩田さんの発言だけでもかなり示唆に富んでいて、TENETの姿が見えてくる重要な手がかりのように感じられます。ひとつひとつの発言の内容を詳しく考えてみましょう。


まず最初の一言。

「逆行する世界っていうのを観てみたくないですか?」


 視聴者への問いかけです。一見、質問によって興味を引くというテクニックのようですが、『逆行する世界を観てみたいか』と問われると、イエス・ノーというより、「そんなこと考えたことないな…」というのが正直な答えじゃないでしょうか。
 テレビ番組やYouTubeの実験動画などで、スーパースロー再生やタイムラプス録画、巻き戻し再生などの映像を見ると面白く感じることはありますよね。

 もしも「今ちょうどここに逆行する時間の映像があるんですけど、よかったら観ますか?」と聞かれているんだったら、積極的ではないけれど忙しくないタイミングならまぁ観てみると思います。
 僕の温度感はそんな感じなので、岩田さんとは少し違うかもしれません…。


続けて、


「タイムトラベルの過程が観れる」
「すごく興奮するし」
「こんな世界あったらめっちゃ面白いな」


 上述の通り、当たり前の運動も逆再生のような映像になっていたら面白く感じます。激しいアクションや意外な見えかたがあれば、エキサイティングな体験として興奮もすると思います。ここまでは事実に則していて、納得できますね。
 ただ、問題はこのあとからのコメントです。


(立ち上がって間を溜めて)
「良い意味で、変態的」

 『変態的』…!?
 おそらくここがTENETの独自性を表現しているのだと推察。上述の通り、岩田さんと僕は感覚が少し異なるので、僕と岩田さんとでは思い描く変態像がズレている可能性はあります。
 でも、クリストファー・ノーラン監督はCGをできる限り使わずに撮影を行うこだわりがあることでも有名で、今作では脚本も数年がかりで完成させているとのこと。そういった並みひととおりでない熱量やこだわりが伝わってくるような映像を指して『変態的』と表現したのではないでしょうか?


「時空の歪みに自分が入ってく感覚」


 うってかわって、こちらの発言は映画を鑑賞済みの岩田さんと、未鑑賞の僕とで受け取りかたに差がないものだと思われます。大画面で物理現象がねじ曲げられる光景の没入感は凄まじいものなのでしょう。


「凄いんですよもう床とかワサワサァ~みたいな」


 とんでもない常軌を逸した表現がまたしても!
個人的にはこの発言が、最も推理が困難に感じられました。おそらく映像表現の凄まじさへの言及なのだと思うんですが、『ワサワサァ~』という表現が感覚的であるため意味を捉えるのは難しいです。そして最も恐ろしいのは、この『ワサワサァ~』と『床』が全く結び付かないこと…!何言ってんだ…?
 時間が逆行するという仕組みであるなら、映画内で起こることは物理現象の延長線上にあるはず。しかし、何をどう逆行させたら『床』が『ワサワサァ~』するのでしょう、まったく見当がつきません…!


(胸の前で両手を上下互い違いに回転させつつ)
「ゴッゴッゴッゴッゴ」


 どういうこと???これも全く謎です。
 こんな動きをする物体ってそんなにある?
 ただ、動作なので、感覚的な表現とはいえおそらく実際のスクリーン上の映像とそれほど乖離してはいないのだと思います。
 アクションシーンの再現をしているんだとして、有り得そうなのは遠心分離機みたいな加速装置とか、もしくは墜落寸前のヘリコプターがビルの周りをぐらつきながら回転するとか、そんな感じではないでしょうか…?


「パニックになりますよね」
「映画館のリアル脱出ゲームみたいな」


 この『リアル脱出ゲーム』という例えは、もしかすると物凄く重要かもしれません。単にここ最近、岩田さんが楽しんだのがリアル脱出ゲームなだけかもしれないですが、謎を解き明かして空間や状況から脱出する、ということが物語の目的だったりする場合も有り得ます。

 その場合、時間を逆行させるギミックに加えて、犯人は誰だ?とか真相は果たして?とかここはどこだ?みたいな謎が加わることになります。それは確かに難解な映画になってくるでしょう。

 本編の映像は屋外のシーンも多いので、街全体が謎の逆行現象に閉じ込められてしまった!という場合を除けば、おそらくクローズドな物語ということはないと思うんですが、一応そういった、『ミスト』のような広い意味での密室ミステリを軸にしている可能性も頭の片隅に留め置いておきます。


「時間を見る映画」
「それって初体験」


と、コメントは締められています。タイムトラベルものや時系列トリックものとは違い、時間の逆行そのものがエンターテイメント体験になる、という映画の面白味を端的に紹介している言葉なのではないでしょうか。熱をもって語る岩田さんの動画を繰り返し再生するうちに、早く劇場で見たい…という気持ちに!


 そして、岩田さんのコメントと並行して、もちろん本編映像も紹介されています。登場するカットの順に、詳しく内容を観察していきます。


動画はこちら。



ーーーーカット①ーーーーーーーー

黒人髭面の男1とブロンドの男2が運転する車Aの前方(?)から横転した車Bが転がってくるも、Bは時間を逆行して横転から復帰する。Aもおそらく逆行して後ろ向きに戻っており、転がってきたBとの衝突を避けている。(カメラの移動と車の移動の両方があるせいで、短い映像のなかでは絶対的な進行方向の前後は把握しづらい)

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 このシーンから、逆行は時間や空間全体ではなく個別の物を対象にして巻き起こることが分かります。(空間全体を対象にできないかどうかは分からない。)前進する車と横転する車が同時に存在しているためです。
 男1と男2がわりと大きいリアクションをとっているので、けっこう序盤のシーンなのではないでしょうか。「逆行ってこんなこともアリなのかよ!?」を示す説明イベントシーンという雰囲気があります。


ーーーーーーカット②ーーーーーーー

放水をする消防隊員は後ろにさがっていっているのに、担架を押すガスマスクの男たちは前へと歩いている。(炎の揺らめきも逆行しているように見えるため、おそらくガスマスクの男たちのみが逆行をしていない)

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 どういうシーンなのでしょうか?担架を押す怪しい男たちのみが逆行せず動いているので、火災現場という空間に逆行の力を働かせて、火元へと向かっているようです。まるでサイコメトリーもののミステリや漫画『秘密』のように、過去の火災を再現し、事件の真相を突き止めるべく行動しているといった感じなのかもしれません。
 ただ、火元へと向かう男たちの担架には死体袋のようなものが乗せられていて、これが死人なのだとしたら、火元に人間を遺棄しにいっているという可能性もあります。


ーーーーカット③ーーーーーーーーー

爆発をバックにふつうに走る2人の男

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 人物は判然としないけれど、こういう、辛くも爆発から逃れている、みたいな描写ならばおそらく走っている2人とは、主人公側である男1と男2ではないでしょうか。
 瓦礫の飛散なども見てとれるので、時間の逆行は起きていないことが分かります。


ーーーーカット④ーーーーーーーーー

銃のマガジン?が逆行して戻り、
銃を持った機動隊風の男とスーツ姿の男1が取っ組み合っている。機動隊の男は発砲をしており、窓ガラスの銃痕(2ヶ所)が生じては消える。銃痕が同時に2ヶ所存在しているかどうかは判然としない。

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 銃痕が生じている状態から消失しているので、弾丸の軌跡が逆行していることが分かります。この映像では確定させられなかったのですが、もしもここで銃痕が現れ、消え、また別のところに銃痕が現れて消えている(銃痕それぞれが元から存在したものではなく、都度生まれていて同時に存在していない)なら、かなり複雑なバトルになるでしょう。それはつまり、銃を普通に発射して、逆行させて逆向きに発射して、また時を普通に戻して発射して、また逆行させて、という風に逆行のオンオフが激しいアクションだということになるからです。そんなの理解できるかな…。


ーーーーカット⑤ーーーーーーーーー

歩く濡れ髪の女

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 ヒロインなのでしょうか?他の人物と同じフレームに映るカットが一切無いため関係性は不明です。濡れているということはおそらく水にまつわる逆行の映像もバンバカ繰り出されることになるのでしょう。期待が高まります…!
 水中に落とされて、なんとか水面に上がろうとするところを時間の逆行によって沈められたら超怖いでしょうね…。そういう残忍な拷問のギミックがありそう。


ーーーーカット⑥ーーーーーーーーー

ガスマスクをつけた男2だと思われる男

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 ガスマスクは敵側の衣装というわけでもないらしいですね。気体が逆行することで起きる攻撃や駆け引きがあるのかもしれません。ガスに火をつけて爆発させるアクションとかも、逆行映えしそうです。


ーーーーカット⑦ーーーーーーーーー

床に仰向けになって、もがくように移動?する機動隊風の男。おそらく頭の方向に落ちている銃へ向けて移動しようとしている。

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 もしかするとこれが『床』と『ワサワサ』なのかもしれないです。時間が逆行していると身動きがとれない、ということはないはずなので(他のシーンでも時間の逆行が重力に作用しているような描写はない)、ここで謎の男がもがいているのは、2人の男によって、逆行の能力のようなものの重ねがけの応酬が行われ時間の前後が掴めず上手く身動きがとれなくなっているからなのではないでしょうか?

 逆行の能力が、装置由来なのか人間由来なのかは分かりませんが、対人能力として、他人に逆行をかけることができるという設定の場合、逆行の逆行は順行ということなのだと推察できます。(逆行と逆行がぶつかった場合 運動が静止するという設定のパターンもありえますが、この映像が僕の想像通りならTENETではそのパターンを採用していません)


ーーーーカット⑧ーーーーーーーーー

ビルの下層階の爆発が逆行して収まり、その次に上層階がふつうに爆発する。下層階の爆発にあわせてビルの方向に向けられる銃。

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 2種類の爆発が起こっているシーンなのだと推察します。下層階の爆発を逆行によって無かったことにしたのち、上層階を爆破している?


 このシーンが成立する必要性がかなり難しいと思うんですが、たとえば超バカなんだけれど「爆破するフロアを間違えたから逆行でやり直した」とかは論理的には有り得ます。
 数年かけて練り上げた脚本が超バカなことはないと思うので、爆発をやり直しているなら、1回目の爆発では巻き込まれるべきでない人間が巻き込まれたのではないでしょうか?


 たとえばテログループが人質を取っていて、1回目は助けきれなかった人質の一部ごと建物を爆破をしてしまったとか。テログループがしかけた爆弾を処理切れなかった、のほうが現実的かも…。
 逆行の運動に対して通常の時間の流れのなかにいる存在が働きかけることは可能なので(逆行している銃弾に当たることができるため)、
 爆弾が爆発するという事実は保存したまま、爆弾にくくりつけられた現場の人質だけを救出する、というミッションとかは有り得る気がします。人質の心拍数が爆弾とリンクしていて、人質がその場を離れると爆発してしまう!という凶悪な罠も、時間を逆行させることができるなら救出できるだろうし、主人公たちはそういう狡猾な知能犯との戦いに巻き込まれているんじゃないでしょうか?

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カット⑨
走るスーツ姿の男2
カット⑩
土煙のなかで緊張した面持ちの男1

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 この2カットからは緊張感と、やっぱりこの2人がメインキャラなんだな、ということくらいしか分からないです。このカットを含め、動画全体では、男1と男2の2人の服装が黒ずくめの作業着姿とスーツとの2パターン確認されるので、オーシャンズ11のように、ラグジュアリーな擬態・潜入(?)シーンと実際的な泥棒くさい潜入シーンの二場面があるのではないかと推察されます。


ーーーーカット⑪ーーーーーーーーー

前段の取っ組み合いの前後だと思われるが、機動隊風の男に、床にバックドロップのような形で叩きつけられている男1が、胴を掴まれたまま逆行して壁に押し付けられる形になる。

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 1度は壁から男1を剥がす形でバックドロップを決めたあと、再び今度はそれを逆行させて、追撃をしているということだと思います。めちゃくちゃ執拗。


 動画中の各カットの考察は以上です。



もう一度見返したい方は動画をどうぞ。



 ここまでは一つ一つのカットの内容や意味を考えました。ここからは岩田さんのコメントと動画全体を通して集めた情報で、本格的に多面的に考察を行っていきます!


 何度か見ていて疑問に思ったのは、全体を通して、ガスマスクつけすぎでは?ということ!

 アクションの展開としてガスマスクを着用するシーンはあるだろうけれど、こんなに紹介動画全体にガスマスクが映ってることってあるのか?と思ったときに、ふと気づいたのは、


『もしかして逆行が働いてる状態だと空気を吸えない??』

ということです。


 これは大きな発見かもしれない…!
 これが事実だった場合、マスクをつけているヤツは逆行をしている、または逆行を発動するということになります。

 そうなるとカット②のシーンの火災現場は、消防隊員たちや火災現場そのものが逆行しているのではなく、担架を運ぶ2人の男が逆行をしているということではないでしょうか?
(周囲の空気を含む全てを逆行させることが可能な設定の場合、逆行というものがそもそも相対的なものになるから、どちらが逆行かの議論は意味ないけど…)

 少なくとも、マスクをつけている側の2人は大気とは異なる時間を行動していると考えられる…!完全にからくりを読み解いてしまった…。これは圧倒的勝利に確実に近づいていると思います。


 そして、主人公たちは善人側だとも思いました。
 社会的な意味で善の側の人、つまり、『オーシャンズ11』や『グランド・イリュージョン』、『ルパン三世』のような悪のヒーローではなく、『ダイ・ハード』とか『ラッシュアワー』のような、善の立場のヒーローです。
 紹介動画の全編を通して、けっこう男1と男2が泥臭いので、スマートな作戦を遂行するワルではなく、秘密の技術にはじめて触れ、「なんだよこれ!?」と叫びながらテロ組織とかと戦う雰囲気がありました。これはもう直感でしかないですが、TENETって『メン・イン・ブラック』がいちばん近い映画なんじゃないですか??


 これはより確度の高い推理なのですが、
 男1と男2は人種も雰囲気も異なっているので、彼らが引き合わされたのは組織の都合か、もしくはどちらか(あるいはどちらも)が何らかの専門分野のプロフェッショナルであり、タッグやチームを組む理由があったからだと推察します。少なくとも、幼馴染みだから一緒にやろーぜ!って任務にあたってるわけではないはずです。
 たぶんどちらかが、物理学とかに詳しい。ベタなのはブロンドの男2のほうだけど、男1が物理に詳しいというパターンも面白いと思います。そして残ったどちらかはバリバリの現場のプロ。警官とか特殊部隊の人間でアクション担当。なぜならそういうタッグがいちばん面白いからです。
 機動隊風の男と対銃格闘戦を繰り広げているので男1がそういう戦闘訓練をつんでいるキャラなんだと思います。
 2人のうち、どちらかは絶対 物理学、それも流体力学とかに詳しいと思うんですけど…そうじゃなかった場合、詳しい博士タイプのキャラが2人の組織に所属してます。綺麗な女性か恰幅の良いおじいちゃんか、どっちかのタイプです。あとは博士じゃなくてお調子者のエンジニアのキャラかも…。(最後のほうはもう、考察とかじゃなくてあるあるの予想ですけど…。)
 少なくとも2人が立場を異にしているのは絶対です。


 ここまでは映像から判別がつく客観的な情報を基にした理屈で、おおむね正しいのではないかと推察します。ここからはTENETの難しさを想定しながら、主に設定とシナリオを考えていきます。



 TENETは超難しいと評判。でもヒットしている。
この事実から読み取れるのは、

『TENETは難しいけれど面白く感じる』ということだと思います。


 ここから推理するに、
 設定や、展開に理解できないところはあるけれど、映像が物凄くて、かつ事件は分かりやすく解決しているから、途中のシーンの意味が完全には分からなくても面白い!ということではないでしょうか。
 難しいけれど物語の盛り上がりを決定的には損なわない、ということであるならそれを前提に考えると自ずとどういった設定や展開がTENETには存在するのかが見えてくるはずです。


つまり具体的に想像すると、
「時間逆行の設定」「物語の展開」「クライマックスのトリック」「映画の結末」のうち、「映画の結末」のみは誰にでも分かるものになっているはずです。
そして「時間逆行の設定」は理屈は分かりにくいけれど、ちゃんと見れば分かるものとして説明されており、それを使う目的と使ったことで起きた結果も分かりやすく示されます。
「物語の展開」はおそらく情報量は多く、伏線や謎もあるとは思うのですが、主人公の目線で何のために何をやってるのかは分かるようにされています。
そして「クライマックスのトリック」は仕組みは分からなくても、気持ちのよい結果が生じたことは分かるようになっているはずです。

全体としてはこの形のはず…!


 もっとも想定が大変なのは作品の核となる時間逆行についてです。
 この時間逆行の設定は、「技術」「能力」「空間」「存在」のいずれかのパターンであると思います。
 各パターンを詳しく説明しますと、


「技術」
 これは『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のデロリアンや『シュタインズ・ゲート』の電話レンジのような、特別な装置または武器によって逆行が引き起こされるという設定です。主人公たちや敵側の人間は、あくまで普通の人間で、腕につけているデバイスだとかによって時間の逆行を発動させることができる。
もしくは、逆行銃とか逆行スーツみたいなものがあり、それらが時間逆行による動作を行ったり、装着者に時間の逆行をさせています。
 このパターンがおそらくもっとも可能性が高いでしょう。
 本編映像だと、時間逆行によるアクションをする物体や人間と、そうではない物や人間が同一シーンで入り乱れていました。そのなかでは完全に生身の人間やガスマスクを装着していない人間の逆行は描かれていません。なんらかの道具を媒介に逆行を発生させている可能性は高いでしょう。
 特に男1が機動隊風の男と戦うシーンでは、順行的な時間判断のもと、アクションがところどころ逆行しています。タイムトラベルではない以上、そもそも全ての行動が逆行している人間とは取っ組み合いが成立しない気がします…。これは時間逆行が物を媒介にした「技術」であり、発砲は逆向きに行われるけれど、走ったり殴ったりは順行で行えるか、もしくは次に述べるパターンである、逆行が選ばれた人間の「能力」として使用者の判断によってオンオフを切り替えられるものであるからではないか、と予想します。


「能力」
 時間逆行が選ばれた人間による特殊能力であるパターンです。映像中では機動隊風の敵が逆行を使用していますが、これはあの人物が特殊な才覚の持ち主であるか、または謎の組織や政府の秘密プロジェクトが生み出した何らかの手術等によってそういう能力のある人間になったか、です。
 物語が盛り上がり、かつ複雑なものになるとすれば敵側も味方側も逆行の能力を駆使するアクションになると思います。
 『インセプション』にて夢に侵入する主人公たちと夢の中で侵入者を排除する精神世界のボディーガードたちとの戦いが繰り広げられていたように、または『HUNTER×HUNTER』の念能力や『ジョジョの奇妙な冒険』のスタンドによるバトルのように、TENETでも逆行VS逆行が繰り広げられるでしょう。

 皆が複雑だ、分からないと言っているのは、おそらく逆行と順行が入り交じるからで、それが容易に起き得るのはこの「技術」と「能力」のパターンだからです。


「空間」
 このパターンはほぼ無いと思いますが、いちおう考慮に入れます。これはある1地区が時間の逆行を可能にする力場などに包まれてしまっている、という設定です。TENETと呼ばれる地域(空間)では、物体が時の流れを逆行する(または逆行をさせることができる)という訳です。
 ただこの場合、上述の銃のアクションや車の横転から明らかなように、全ての物が逆行しているわけではないため、逆行と順行をその空間のなかで任意に選んだり、ある条件のもと決定したりすることができるとするのは、ノーラン監督の作る設定にしてはあまりに自由度が高いです。なんらか科学的な言語化を嘘とは言え用意しているでしょうし、この場所では念じれば逆行する、などというのはちょっと、科学的なアプローチのポーズをあくまでもとる監督にしてはルール違反な感じがします。

 大穴で、逆行世界と順行世界がちょっとだけズレた座標に等しく存在している空間があり、その場所では少し位置のズレたところで逆行と順行の同一アクションが両方同時に発生する、という場合はあります。これなら映像中で順行と逆行が入り乱れたアクションになりそうです。ただ、順行と逆行の切り替わりは生まれませんが…。また、この場合は、編集にもよりますけれど、きっともう1回の鑑賞では全ての要素を把握できないです。この場合はTENETの反則負けといってもいいと思います。たぶんこういう設定なら、理解しなくても楽しめるように撮っていると思います。


「存在」
 こちらも大穴ですが、時間逆行は「技術」や「能力」ではなく、そういう「存在」だという設定です。つまり時間逆行というのは神様や宇宙人のようなもので、そいつが力を貸してくれたり、そいつがその空間に存在することで時間の逆行が起きている、というわけです。未来から来た3次元ではない超存在によって物理法則がねじ曲げられ4次元的な軌道で物体が動く、とするならノーラン監督っぽい科学の説明感があります。そして結末ではその超存在が実は未来の主人公で…みたいなことが明らかに。これは複雑!変な映像になりそう。最終回のあとの『魔法少女まどかマギカ』の世界みたいな感じです。
 ただ、この場合も「空間」と同様、どういったルールで時間の逆行と順行が決定されているのか、というところに疑問が残ります。
 あくまで、いままでのノーラン監督作品を踏まえると有り得そうな設定だけれど、本編映像と照らし合わせると解答としては足りていない、という感じです。



 時間逆行の設定については、おそらく上述のどれかで、設定それ自体も少し難解だと思います。
そのうえでTENETは、先に書いたように、逆行を使ったバトル、駆け引き、トリックがきっとかなりひねっていて難しいのだと想像します。

 バトルの難しさは、
 「空間」「存在」だとどのように成り立たせるのかという疑問が出てきますが、「技術」「能力」では逆行をしているものを更に逆行させたり、逆行かと思ったら順行だったり(逆行の偽装)、ということは起きてくるでしょう。
 あとは、一度は避けたはずの逆行の投げナイフを逆行させ続けるともう一度宙を舞うので敵に刺さる、といったかたちで、短いスパンで完結すると思っていた逆行の軌跡が実は長いスパンで見ると予想外の動きをしていて二重三重に騙し合いに使われる、とか。


また、
岩田さんが『脱出ゲーム』と言い表していたようにメインのストーリーが謎解きや脱出の可能性も大いにあります。この場合、燃えた文書が焼失前の状態になるよう逆行を使うことで情報を得たり、筆記された文字を書かれる前の状態に戻すことで逆行によって情報を隠蔽するということが基本テクニックとして発生するはずです。
 その他にも、たとえばデータファイルを上書きの前後で逆行を使って取り出したり、ハッカーが逆行を駆使してひとつ前のパスワードを打破したりとかしそうです。
 あとは罠として仕掛けられたガスを逆流させて、逆流しているガスに火種を投げ込んで逆に敵を倒したりとか…。エレベーターホールから落下させられても、逆行で上昇することで最下層階ではなく途中の階から復帰したり…。
 室内のほうが遊びようがある気がします。
 ただ、ここまでは基本の基本テクニックで、それが難しくて分からないというレベルまでいくとすると、たとえば車の横転シーンなんかがそうだったと思うのですが、どの物体がどの程度逆行をかけられているか、またかけられていないのか、というところが複雑に入り交じることになるんじゃないでしょうか。
 逆行の散弾銃と順行の散弾銃を同時に放つことで、こちらが逆行を発動したとしても完全に無力化できないトラップとか、逆行を大前提にしてどんどん仕掛けが入り組んでくるはず。
 そのロジックの進化のスピード感に置いていかれると、仕組みは分からないけど撃たれてピンチだ…!のようになり、分からないけど面白いが成り立つ気がします。

 ここに関しては個別のケースは想定しだすとキリがありませんが、大別して
逆行、逆行への逆行、逆行への逆行への逆行への…、逆行と順行の別対象同時使用、逆行の偽装、順行の偽装、逆行の終了の偽装
が考えうる時間逆行のアクションのパターンかと思います。さらにこれらが組み合わさると厄介です。人間同士のバトルシーンでも飛行機やヘリ、カーチェイスでも、どのようなパターンの組み合わせの攻撃が行われ、どのように回避防御を行うために何に対して逆行を選択しているのか、というのが読み解けないと、
「よく分からんけどやっつけたー!」ということになるんじゃないでしょうか。難しい…。


 ただ、ここまでの考察で、
 何を観察し考えれば映画内の状況が読み解けるのか、という、試合のルールまでは想定ができたように思います!

 そのうえで個別の事象を決め込みすぎないこと、さらにはこのルールの想定すら外されたときにグラつかないことが大事だと感じます。
 基本的には全て未知の情報なので準備は絶対に足りようがないのです。
 ここまで想定・準備した上で、土壇場ではそれを捨てることを想定します。
ここの思考方針は『HUNTER×HUNTER』25巻のキメラアントの宮殿突入前のシーンに詳しいです。



これでTENETとの戦いに向けて、

研ぎ澄まされたと思います。



最後にもう一度、岩田さんの紹介動画を見ましょう。



好きなほうをどうぞ。



もうこの動画をくりかえし見すぎていて、愛着が沸いているんですが

それを差し引いても面白そー~~~!!!全然面白くなかったらどうしよ~~~!


長々とお付き合い頂きありがとうございました。

じゃあ本日の12:00、TENETを観に行ってきます。
気持ちよく感想を書きたい。絶対に絶対に絶対に勝ちたい…!


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