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大学書林『四週間』シリーズを本当に四週間でやってみた②:『ギリシヤ語四週間』

前回の四週間チャレンジ

みなさま、一ヶ月ぶりです。大山です。

就職してからお金の余裕が出来たので、長年の夢だった大学書林の『〇〇語四週間』の収集ができるようになりました。ここのところは、この四週間シリーズを本当に四週間でやり終えるというチャレンジをやっています。酔狂です。

前回の記事では、『オランダ語四週間』と『ペルシア語四週間』に挑んだ記録をまとめました。

中国には、上の二冊に加えて、『ギリシヤ語四週間』を持ってきていました。というわけで、今回は、その『ギリシヤ語四週間』に挑戦した一ヶ月の模様をお送りします。


前提:ギリシア語は一応既習です

一応わたしはギリシア語既習です。講読の授業までちゃんと出ました。なので変化表などの主要なところは暗記済みです。そのうえでこのザマなのだということを前提としてご覧ください。

ちなみに、この『ギリシヤ語四週間』には結構な思い入れがあります。わたしが大学に入学した2013年度のギリシア語初級は月曜1限で、初回は100人以上いました。それが徐々に減っていき、冬学期に入る頃には5人になり、その中から翌年の中級に上がったのはわたし1人だけでした。しかし、その中級の授業に初級を受けずにいきなりやってきた同期がいたのです。彼が言うには、初級は『ギリシヤ語四週間』で済ませたと。あまりに吃驚したのでよく覚えています。

あの中級の授業は、先生、わたし、彼、後期教養の科学哲学の人、西洋古典の博士課程の人というよくわからない5人で回すことになりました。κατάの解釈で一時間以上議論したことなどよい思い出として残っています。

最後に『四週間』の彼が企画してみんなで神楽坂で打ち上げをやったこと、そこに先生の同期だった西洋史のI田Y郎先生が途中で飛び入り参加されたことなども含め、10年経った今でもとても良い思い出です。

こんな感じで、やりながら色々な思い出が蘇ってくる四週間でした。

四週間チャレンジの経過

『ギリシヤ語四週間』は初日からアホみたいな量をやらせます。一番基本的なω動詞の現在形とo語幹名詞の格変化がいっぺんにドンと出ます。あとは覚えといて方式です。まあこのあたりは「初日」じゃなくて「初週」だったらギリシア語の教科書では普通です。

この本は、基本的に毎日和訳20問・作文10問の構成になっていました。一日でわたしが初級で使った教科書の2課分の負担があります。初級だと1週間で和訳10問×2課だったんで、単純計算で普通の初級の授業の10倍ちょっとの負荷になります。は?

上の文章を書いていて、著者は絶対四週間でやることを想定していないと確信しました。

前回の『ペルシア語四週間』も終盤はかなり苦戦したのですが、だいたい『ペルシア語四週間』の後半くらいの負担が最初からあります。おかしいだろ。

週末にはダメ押しとばかりに「週末訳読」なるコーナーが追加であります。Twitterで進捗報告する縛りを自分に課していなかったらこのタイミングで投げていた自信があります。もうこの時点で既に作文は壊滅していました。日本語の問題文から想定されるギリシア語の形が定まらなさすぎて正答なんて無理です。別解も含めて正誤が判定できる教員がいて初めて活きる課題です、作文って。

しかもわたし既習ですからね。変化表はだいたい暗記できていて、単語も基本的なものは覚えています。その上でこんなにきついと感じるのです。初学者はそもそも変化表も覚えていないし単語もわからないので、まず活用形を判別するのに一苦労、辞書の形を導き出すのに一苦労、訳を考えるのに一苦労です。わたしは前二つを飛ばせるのにここまで苦戦したのです。初見四週間クリアがいかに無理ゲーかわかります。

しかし、この本は結構印欧語的な背景知識が入っていて、印欧語の知識があるとかなり楽しめるようにできています。その点ではわたしにとっては良書ですね。『ペルシア語四週間』の時は後半湧き出してくる本に対する憎しみの念に悩まされたのですが、『ギリシヤ語四週間』はやり終わった今でも結構好感があります。単純に古典語の方が好きだからだという説はありますが。

途中で紅茶をこぼして心がポッキリいきかけるアクシデントも。みなさんもどうぞお気をつけください…。濡れたページ全部に厚めのティッシュを挟んで、上から重しを乗せて水抜きをしたら色以外はなんとかなりました。こういう時は早めの対処がマジで重要。

終盤は練習問題に加えて「訳読練習」が追加されてさらに地獄感が増しました。ここまで来るともう生活の中心がギリシア語になります。それ以外の全ては些事です。相変わらず作文の出来は壊滅的だし、メンタルはどんどん削れていきますが、一方でギリシア語力はゴリゴリついていくのを感じます。四週間シリーズは今回で三冊目ですが、今までで一番進歩が実感できたのは『ギリシヤ語四週間』でした。でも四週間でやる意味はマジでない。

作文で地味に一番苦労したのが前置詞の使い分けです。「戸口の近くに座る」だったらπαρὰ τῇ θύρᾳだと思うじゃん?答えがπρὸς τὴν θύρανだったりするんですよ。 心がポッキリいきそうになる要因第一位でした。ちなみに一番使い勝手が良さそうな前置詞はἐπίでした。

総括

とまあ何だかんだで四週間無事に耐え切りました。途中から進歩がひしひしと実感できたので実り多い一ヶ月間になったと思うのですが、それはそれとしてもう二度とやりたくないです。

半分終えた段階で既に感じていましたが、体感のキツさはギリシア語>>ペルシア語>>オランダ語です。今になってみると『オランダ語四週間』は楽勝だったと言っても良いレベルです。正直『ギリシヤ語四週間』が四週間シリーズ最難関だった疑惑があります。

『ペルシア語四週間』の時は1日2、3時間必要みたいなことを言いましたが、『ギリシヤ語四週間』は1日n時間とか甘いことを言っている場合ではありません。全ての隙間時間をギリシア語に突っ込む気合と根性が必要です。この一ヶ月、わたしの生活はギリシア語を中心に回っていました。寝てもギリシア語、覚めてもギリシア語でした。

最初の綺麗だったノートがもうこんな姿に…(半分くらいは紅茶をこぼしたせい)

今回中国に持ってきている四週間シリーズはこれで全てやり終えてしまったことになります。次回の四週間チャレンジは夏以降の予定です。

『〇〇語四週間』シリーズの真実

ちなみに、コレクション用に『中国語四週間』を注文しようとした際、ついに真実に気がついてしまいました。

やっぱり〇〇語四十週間シリーズじゃないか!!!!!

おわり。次回に続く!


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