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ノミのサーカス

昔、フランスで、ノミを踊らせ、
いろいろな芸をさせ、お客さまを
楽しませる出しものがあったという。

ノミという虫は、実はすごい能力を
持っており、訓練しだいでは、
どこまででも高くジャンプできる
のである。

ところが、ノミをビーカーに
入れ、天井を板でふさいでしまう。

そうすると、ノミは高くジャンプ
しようとすると天井にぶつかって、
痛い思いをする。

そうなると、ノミは高く
ジャンプするのをあきらめてしまい、
地面からほんの少しだけ飛び上がる
だけになってしまうのである。

たとえ天井をふさいでいる板を
はずしたとしても、
「あきらめたノミ」はもう二度と、
高く飛ぶことをやめてしまうという。

初めて、この話しを聞いた時に
感じたことは、これはノミの
話しではなく自分の話しだという
ことである。

そして、教師として自らが
やっている仕事は、ノミの調教師
そのものであると気づいたわけで
ある。

だから、夢を見つけ、それに挑むことをはじめたわけである。

自らの枠をぶち破り、ビーカーの
中から飛び出そうと決めたわけで
ある。

最初は、ビーカー内で実現する夢を
描いていたのである。
しかし、それは、かなわなかった
のである。

だから、仕方なく、ビーカー外の
夢に挑むことをしたことから、
人生が動きはじめたわけである。

ビーカーの外の世界は、新鮮であり、刺激的であった。

自らの跳躍力もついてきたが、
ある時、気づいたのである。

それは、「より高く跳ぶことに
意味があるのか」ということである。

「より高く跳ぶことで幸福になる
のか」ということである。

そして、「より高く跳ぶことで
世界が平和になるのか」という
ことである。

結果、高く跳ぶことをやめた
のである。

高く跳ぶかわりに、深く潜ることを
決めたのである。

自分という人間を深く掘り下げる
ことで、人生の質を高める生き方をしようと決めたのである。

ノミの可能性は、跳ぶ高さに関しての話しであり、それにはやはり限界が
ある。

ノミは、高く跳ぶことはできても、
深く潜ることはできない。

しかし、人間の可能性は、上に伸ばすことだけでなく、下に伸ばすことにも働くのである。

上に伸ばす能力には、限界があれど、下に伸ばす能力には限界はないと
感じたのである。

人間の可能性は、深さにおいては、
無限であるならば、それに挑みたいと思ったわけである。

すべては、27年前、ノミのサーカスの話しに出会ったからである。

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