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書く勇気をくれた本(1)

 執筆に取り掛かる前、参考にと手に取った書籍の中から勇気をもらった本の覚え書きです。半分は自分用の備忘録です。

How-to でごまかせないものを 自分の言葉で

『「言葉にできる」は武器になる。』梅田悟司 
 電通のコピーライターさんの本です。この本の特徴は、文章を「書く」ためのハウツーを並べるのではなく、「何を」書くのかをじっくり考える大切さについて述べられている事です。

言葉が意見を伝える道具ならば、まず、意見を育てる必要がある

「言葉にできる」は武器になる。 梅田悟司:著

 伝えるための言葉なのだから、伝えようとしている意見・意思、つまり自分の中の伝えたいものの根拠だと思うのですが、そういうものをしっかり育てるプロセスが重要だと本書の最初に語られています。
 思考の深化なくして、言葉だけの成長は望めない。と。

 厳しい本だな、と思いました。
 ハウツーなら、「人の心を動かす表現の法則」とか「思わず買い物をしたくなる文脈の法則」とか、外から与えてもらう情報に手持ちの言葉を当てはめて、それらしく整える事ができます。
 でも梅田さんが言わんとすることは、そういうことじゃない。誰かに何とかしてもらえるようなものをいい加減に書くな、ということらしいです。

 誰かが書けるものを、なぜ自分が書かなければならないのか。自分にしか書けないことを書くことに意味を見出さなければ、そもそも何のために書くのか、ということになるのだと思います。
 自分の中にある、自分の言葉。日常のコミュニケーションで使う言葉でなく、無意識に頭に浮かぶ感情や、自問自答して考えを深める時の言葉。そういう言葉に、梅田さんは「内なる言葉」と名付けています。
 自分の中の「内なる言葉」の存在に気づき、幅や奥行きを持たせて言葉の重みを得る事がまず大事なこと。そして、どのように考えを深めていくか、またそれを最終的にアウトプットする時にどのようなことを意識して言葉にするか、ということが語られています。

 自分の中で解像度を上げ、整理できた気持ちをさらけ出すのが言葉。人の心はその熱量に動かされる。抽象的かもしれませんが、実は私にとって、多分一番ありがたい言葉でした。

灰汁建てで藍染めをし続ける私に必要な思考だった

 この本から得られた気づきは、「何でも便利に買える今の時代に、江戸時代のままの染色を続ける自分への自問自答は、存分に深めて確信に至るまで解像度を上げていけば良いのだ」ということでした。
 先日出版した著書は藍のことを書きましたが、私なりに「なぜ藍染めをし続けるのか」ということをたくさん考えた事が、書き続ける気持ちを持続させてくれるエネルギー源になりました。

 たくさん考えたことで、自分が書くことなんかに価値があるのだろうか、誰かの役に立つことなどあるのだろうか、という恐れも、いい具合に払拭できてしまいました。書きたい気持ちの方が恐れより強くなり、同じ気持ちでいる誰かの元にきっと届くと言う確信に変わっていました。
 そうできたことで、なぜ藍染めをし続けるのかと考えて行き着いた気持ち・答えをさらけ出すことに集中できたように思います。

自分の可能性を狭めているのは、いつだって自分である。

「言葉にできる」は武器になる。 梅田悟司:著

 自分が書こうとしていることに自信が持てないでいる時、本当は何が言いたいのか見失いそうになっている時、時間を作ってゆっくりと読み返したい本です。

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