見出し画像

脱プラのヒント 『プラスチック・フリー生活 今すぐできる小さな革命』

プラスチックを丁寧に解説し 健康な暮らしを送るヒントが詰まった
勢いあふれるこの一冊は 間違いなく今年のベスト本
今までおかしいなと感じてきた違和感や謎が 氷解していく小気味よさ
プラスチックのおどろおどろしさ 世界規模のこの問題に
真っ向から立ち向かう人びとが 大勢いることに勇気づけられる
限りないワクワク感と チャレンジングな日々の幕開け

わたしたちの暮らしを おおきく変えた革命児プラスチック
多忙を極める家庭に溶け込み 軽くて落としても平気な扱いやすさから
飛躍的にストレスフリーな生活へと導いた 欲望が生みだした化学界の使者
その代償は海の底にまで及んでいる わたしたちは無意識のうちに
プラスチックを食べ 身に纏い 囲まれた空間で休息することが日常となり

プラスチックに包まれた食べものはどこにでも並ぶ 容器やパッケージから
浸み出す化学物質の危険性 プラスチックに添加された化学物質は油や熱
摩耗や酸(レモンやトマトソース等)により 漏れ出してしまう

かつて洒落たデザインのペットボトルを 繰り返し洗っては水筒にしていた
地球にやさしく エコな行動だと自負さえ抱いて

  “「使い捨て」には、それなりの理由がある”
  “安くて劣化しやすいプラスチックが少しずつ摩耗し、
   化学物質や微小なプラ粒子がドリンク内に浸み出しやすい状況を
   みずから作りだしているなんて“

プラスチック繊維(合成)から成る衣類は 安価で快適と広く浸透したが
原材料や製造プロセスにおける 残留物の有害物質が含まれる可能性がある

・ポリ塩化ビニル(PVC)→ フタル酸エステル(内分泌攪乱作用)
・ポリウレタン → イソシアネート(スパンデックスなど)
 (皮膚刺激性を持つ、職業性ぜんそくの主因)
・ポリエステル → アンチモン(発がん性が指摘されている)
・ネオプレン → チオ尿素(発がん性物質)

制服や運動着、スーツが苦手だったのは 素材もあったのだと合点がいく
皺が付きにくく手入れも簡単にという配慮が 仇になることも
夏は汗を吸わずに痒く冬は冷える 私服校に通った時期は楽でいられた

断捨離と同じく不要なプラを家に入れないこと 捨てることは難しい
自然に土に還らない素材は ごみ処理施設の最終処分場に辿り着き
分解されるまで何百年もの間 ただその場に留まり続ける
シリコンなど そもそも殆どリサイクル出来ない素材もあり
(※工業用機械の潤滑剤用油としてのダウンサイクルが限度のよう)
意識し始めるだけで 手に取るものの種類も変わってくる
プラスチックの種類は多岐に渡り 素材感もさまざま
ポリマーの長さや配置のバリエーションが プラスチックの性質を左右して
ポリマーがぎっしり詰まった硬いプラや すき間の多い柔らかプラ
無料配布されるネーム入りのアイテム プラ包装ティッシュにボールペン
ファイルもプラスチックバッグに入れられて 避けると決めたペットボトル
ポリエチレンテレフタレート製で 発がん性物質である三酸化アンチモンが
漏れ出る可能性を孕む 蓋付きで軽く持ち運びに便利だけれど
価格のほとんどは容器代 ステンレス水筒なら使う度に心地よくいられる
しかし慣れぬ土地での飲料水補充先の不確定さと ボトル洗浄と管理面から
旅行時には まだ大容量のボトルを購入している

世界各国の生活シーンに 広くプラスチックは活用されている
日本は発展を遂げた今も尚 プラスチックの大量生産と消費を止めない
「リサイクル」という語は 正のイメージと共にすっかり定着した
日々多くのものを使い捨てる暮らしの 免罪符となり
プラスチックを完全循環できない現状では 新たに作りだすことをやめ
使わない選択をすることが 最も負荷が少ない方法に思える

手元のプラスチック製品を すぐさま排除しては環境にも負担がかかる
食品用途以外で 旅行時のアクセサリーや型崩れ防止の保管容器
文具など細々したものの収納ボックスと 次の活用法を探したり
必要とする誰かに譲ったりと 循環先を模索するのも一案
家の中にステンレスやガラスの容器 コットンの袋など天然素材のものが
眠っているかもしれない 知恵とアイデアで工夫の幅は無限に広がる

これから物を選ぶ際には 下記の基準も役立つ
・“最終的に土に還り、循環の輪がきちんと閉じる”素材であるか
・耐久性 また、たとえ壊れても修理できる構造か
・洗えるか
・持ち運びがしやすいか(小さく折り畳めるなど)

今すぐできるのは プラスチックを受け取らないと決意して
外出時はマイバッグや水筒を持ち 量り売りのお店や地域の個人商店など
柔軟な対応と地産地消が適うお店の活用 なるだけパッケージは避け
商品のラベルをチェックし 出来るだけ組成が簡単なものを試してみること
やめたり手作りしたり 日常使い品に求めたスペックを見直し削いでみて
あらゆる便利な素材や機能は 大抵プラスチックに支えられている
洗濯の度マイクロプラを生み 使う度プラを空間に撒き吸い込んでいるかも
人生の優先順位までも明らかになっていく過程は エキサイティングな旅
当たり前になっていたことを 新たな視点から俯瞰する面白さ

プラスチックが暮らしに入りこんで 75年
「昔の人たちがどんなふうにプラスチックなしで生活していたか」 想像し
生態系を育むあらゆる命 地球に生き自然と調和する暮らしに目を向ければ
プラスチック汚染を 何としても食い止める必要性を感じるかもしれない
ひとりの芽吹きは周囲に伝わる 着実に世の流れも変わり始める

  “PLASTIC IS POISON
   PLASTIC IS PERMANENT
   REFUSE PLASTIC”

*私自身、化学物質から受ける影響を感じ、身の回りのものを天然素材に切り替えてきました(完全にではなく、一部合成繊維を含むものもあります。縫製糸や染色もすべてが天然ではありません)。快と感じる方へ向かっていたら、土に還るもの、再生可能な素材が集まりました。不調のすべてが化学物質に起因するかは、数値に表れない部分もあり特定しにくい上、複合要因の場合もあります。人によりかゆみが生じたり、違和を感じたりと症状には差があります。それぞれが心地よくいられる状態に近付くにはどうしたらよいのか、考えるきっかけを与え、プラスチックの弊害を理解する一助となった本書に感謝しています。

『海洋プラスチック汚染 「プラなし」博士、ごみを語る』

【脱プラスチックのヒント】
『ゼロ・ウェイスト・ホーム』
→1. ステンレス水筒
→2. エコバッグ布袋活用)
→3. 手拭・風呂敷
→4. 竹製歯ブラシ
→5. 布ナプキン
→6. 布マスク
→7. ソーラーランタン
→8. 眼鏡
→9. 石鹸シャンプー
→10. マグネシウム洗濯
天然素材について
→出先での飲料水補充先については、「mymizu」アプリがリリースされています。

Erat, est, fuit あった、ある、あるであろう....🌛