見出し画像

シャーマニズム・自然信仰とは① 〜沖縄のシャーマン・カミンチュさんの実態〜

沖縄のシャーマン・カミンチュ(神人)さんとの聖地巡礼体験で、私が見聞きしたことを記述しています。まずはシャーマニズムについて。

前記事では、人間を神格化した「人神(ヒトガミ)」について語っているので、こちらも合わせてご覧ください。

信仰対象は、モノでも人でもなく、自然そのもの

私の知っているカミンチュさんは、海・山・川・岬・洞窟・岩などの自然そのものに向かって、日々感謝や祈りを捧げます。

▼ ヤマトブー(沖縄県・伊良部島)

画像1

思い返してみると…1度だけ沖縄中部の勝連城跡で、民族間の平和を祈った記憶がありますね。本土出身のスピ好きの方達やヒーラー、奄美民謡歌手・朝崎郁恵さんなど有名無名問わず、多くの方々が祈りに参加していました。

祈りに行く場所は、その都度、目に見えない存在からの啓示によって示されるのですが、人工物で祈りを行なったのは、私の知っている限り、その1度だけです。

カミンチュさんそれぞれが持つ使命、また参加している人々やその時祈るテーマによって、導かれる場所は異なるよう。とはいえ、基本的には、自然そのものに対して日々感謝と祈りを捧げます。

▼ 勝連城跡(沖縄県・勝連半島)

画像2

▼ 勝連城跡からの夕陽(沖縄県・勝連半島)

画像3

▼ おぼくり/ええうみ(朝崎郁恵)

奄美の民謡歌手・朝崎郁恵さんの唄は、本当に素晴らしい。奄美・沖縄にご縁のある方が聴いたら、魂が震えるに違いないと思ったので上げておきます。

《コラム1:カミンチュさんの使命》
私の知り合ったカミンチュさんは「地震などの自然災害・人災が起こらないように」と、日本全国をまわって日々祈りを捧げている方でした。
目に見えない存在に「もう限界である」と言われる事もあり、それでも忍耐強く「大難が小難に。小難が無難に…」と交渉を続けていた姿を思い出します。過去には「肉体(内臓)と引き換えに、某地域を救ってやってもいい」というやり取りがあったことも…。また、現実問題として、金銭の工面にもとても苦労したようです。
目に見える領域と目に見えない領域を行き来しながらのカミンチュさんの活動は、私たちの想像をはるかに超えた、命がけのミッションなのでした。


現実世界と目に見えない世界を取り持つ「依り代」とは

沖縄のシャーマン・カミンチュさんは、自分の肉体や自然そのものを依り代(媒体)として、目に見えない存在とコンタクトを取ります。場合によっては、依り代専門の人を立てることもあります。

※ 依り代(ヨリシロ)とは?
→ 神霊が依りつくもの。また神霊が意志を伝えるため人間界に現れるときに依りつくものをいう。樹木、石、幟(ノボリ)、柱、御幣(ゴヘイ)、人間、動物などが依り代となる。(以下省略)

カミンチュさんの世界も分業化されており、生まれ持って依り代役が得意な方・依り代体質の方にお任せすることもあるようです。「専門能力を持った方に任せた方が、仕事がはかどる」ということなのでしょう。

依り代体質は、巫女体質と言い換えることもできます。外部からの目に見えない情報全般を受信する(感じ取る)能力が高い人は、依り代体質・巫女体質と言えるでしょう。

依り代役は、自分の体を(受信)器として、目に見えない存在に心身を預けるような形になるため、時に意識や記憶があいまいになってしまうことも。

そうなると、啓示を正しく記録・記憶できなくなってしまうため、聞き取り・分析役の審神者(サニワ)を別に置くわけですね。

某聖地に向かっている最中、チームの内の1人〇〇さんが突如ひどい腹痛に襲われ、もがき苦しみ出したという状況に私は立ち会ったことがあります。

これは「〇〇さんが依り代として選ばれた」ことを意味し、【△△という場で/○○さんが/腹痛で/苦しんでいる】という事象全てに、目に見えない存在からのメッセージが含まれていることを示します。そのメッセージを皆で解読した途端、〇〇さんの腹痛は治りました。

《コラム2:私の聖地巡礼体験》
カミンチュさんのナビゲイトで、アイヌ語翻訳家のご夫婦と沖縄聖地巡礼を共にした時の話…。
鎌で草を刈りながら進んだ先には、洞窟の入口がありました。その洞窟はとても大きく、身長180センチの人でも屈むことなく入っていける高さがあるほど。
真っ暗闇の中を懐中電灯頼りに進んでいくと、一番奥に大人1,5人分以上の高さはある大きな丸い岩が在りました。その岩は「艮の金神(ウシトラノコンジン)さん」という神の名が付けられており、代々カミンチュさんによって守られてきたと記憶しています。
私とアイヌ語翻訳家ご夫婦が洞窟内の様子や鍾乳石に圧倒されていたところ、カミンチュさんがふと「目に見えない存在から、ご主人へメッセージがあるようです」とおっしゃいました。「お願いします…」と返答するご主人。
ここで体を依り代としたカミンチュさんのチャネリングが始まるのですが、その姿は終始淡々としていました。人それぞれでチャネリング時の習性は異なるようです。でも、昔TVで良く観た胡散臭い霊媒師のような、大げさ且つ奇抜な言動などは一切ありません。ただ、チャネリング中ずっと尋常じゃない数のゲップをしていたので、その状態に驚きました。また、辛そうに見えたので心配もしました。
目に見えないモノをあまり信じないと言っていたご主人ですが、そのカミンチュさんからのメッセージにはとても感動し、真摯に受け止めていたことを思い出します。
後から聞いた話ですが、艮の金神さんとは、非常に強力な男性神だとのこと。そして、辛そうに見えたゲップは、浄化の証。むしろ体にとっては出してあげた方が良いのだそうです。
その後も私は、シャーマン・ユタ・ヒーラー・チャネラーなど多くの依り代体質の方たちと出会っていくわけなのですが、自分と異なる存在(意識体)と繋がると、比較的体や感情・声などに変化が見られることが多いようです。繋がる存在の種類やその時の調子もあるでしょうし、慣れや修行によってその変化が改善されることもあるのだろうと推測しています。

まとめ

このように、感謝や祈りを捧げるといっても、目に見えない存在とのやり取りは双方向で、取引・交渉のようなものが行われる場合もあります。また、時には、かなり厳しいやり取りも行われます。

「肉体や自然などの依り代を媒体として、目に見えない存在と双方向のコミュニケーションを取る。そして、その時受け取ったメッセージの謎解き・分析を行い、結果を次の祈りに繋げたり、共同体に反映させたりする」という活動を、カミンチュさん達は「神業(カミギョウ)」と言っていますが、

一般的には、このような宗教形態を総称して「シャーマニズム」と言います。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?