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焙煎機設置のお役所対応の備忘録

この記事は数年前の記事ですが、依然として読まれている記事です。しかし、その後に法律が変わっている部分がありました。
なので、2023年5月時点でリライトしました。


焙煎機の設置で、消防署や保健所、運が悪いと自治体の建築課まで、やりとりする必要があったりします。

ややこしい部分であり、めんどうな部分です。

これらを極力避けられるよう、備忘録をここに記し、めんどうな手続きをなるべくやらないで済む方法を解説してみます。


まずは消防署対応。

そして、今回解説するのは小型の焙煎機のケースです。「ガスの火力が12Kw以下のものであれば火気使用には当たらない」ので、煙突などの設置が免除となります。ちなみにkcalに1.16をかけると、だいたいのkw数が出ます。

ウチの焙煎機は1kgタイプの小型で、火力は4,000kcal。だから、約4.56kw。
条件クリアです。
3kg釜以上の大きさの焙煎機の場合は、12kw以上になるケースがあるかもですね。その場合は、届出が必要になったりするかもしれません。(私は経験がないので分かりません。消防署に確認してください。)


そして、業務用焙煎機には排気が必要です。その排気を出す管のことを「ダクト」と呼びます。
・そのダクトの材質は?
・ダクトはどこで外に出すか?
これらが問題です。

まず、ダクトは「スパイラルダクト(ググってみてください)」を使う必要があります。アルミ製の軽いジャバラのダクトではダメ。

そして、ダクトはどこから外に通すか?
もし、ダクトを外に出す場所が、隣の建物の敷地から3メートル以内であったなら。この距離は延焼ラインといって、防火対策が求められます。

この場合、排気口の直径は10φ(直径10センチ)以内。それ以上の大きさにする場合は、防火ダンパーの設置が求められます。
防火ダンパーとは、ある一定の熱が加わるとヒューズが飛び、パタンと弁(シャッター?)が閉じる仕組みになっている防炎の設備のことです。

つまり
10φの直径のスパイラルダクトを使用し、排気口も10φにすれば大体OKということです。

あとポイントとしては、
ダクトは使用するほど、内部が汚れます。コーヒーの油が蒸発したものがダクト内で冷却され、こびりつきます。なので、定期的に掃除する必要があり、そのときの為に簡単に取り外しができるようにしておきましょう。内装の施工会社にはここまで指示しておかないと、施工を簡単にするためにガチガチに打ち付けられてしまいます。

焙煎機から排気口までの長さも、できる限り短めに。理想は2.5M以内です。
そして、途中でカーブせず、直線的に焙煎機から排気口に向かうようにダクトを設置しましょう。煙を「抜けやすく」することが重要です。コーヒー豆の風味のクリアさにも関わってきます。直径10Φのダクトを使うと、内部が狭いために煙がこもりやすいです。


もうひとつ、テナントが入るビル全体の収容人数が50名を超えるような規模の建物の場合、消防署が点検に来ます。
内装工事前に、消防署に訪問してレイアウトや焙煎機のダクトの設置箇所について、確認をとっておきましょう。
訪問時に持っていくものは、
・部屋のレイアウト図
・テナントが入るフロア全体の見取り図
・焙煎機の仕様書
・工事計画届け
これらを用意すれば万全です。


次に保健所対策。

これは簡単です。「飲食店営業許可」を取得しましょう。(喫茶店営業許可証は、令和3年に廃止されて飲食店営業許可に統合されました。)
また、飲食店の営業許可申請と一緒に、「コーヒー製造・加工の届出」も必要になりました。詳しくは別記事をご覧ください。

焙煎はコーヒーの製造にあたるので、お客様が直接触れられないようにカウンター内に設置する必要があります。もし、ディスプレイとしての効果を狙って店頭に設置したい場合、「お客様スペースと区切られるように囲いなさい」と指摘される場合があります。

飲食店の営業許可を取得する為には、色々と条件があります。

例えば、
・トイレの設置
・カウンターの設置
・お客様がカウンター内を通らずにトイレにいけること
・トイレ用の手洗いの設置
・手洗い用シンクの設置
・食器洗い用のシンクも設置
・扉付きの食器棚の設置

他にもけっこう細かい条件があります。シンクにもある一定以上の大きさが求められたり、更衣室はどうするのか、床の材質はどう、とか・・・。

内装のレイアウト図が出来上がった時点で、一度保健所に訪問して相談をする必要があります。


私のの焙煎機設置方法をまとめると、
・保健所にて飲食店の営業許可を取得し、コーヒー製造加工の届出をする
・10φのスパイラルダクトを使用
・排気口から焙煎機の距離は2.5m以内
・焙煎機から排気口まで、ダクトは真っ直ぐ

あと、場合によっては外壁に10Φ以上穴を開けられる建物の場合ですが、排気口部分には換気扇を付けると尚良いです。煙の抜けを良くする為です。この場合、焙煎機の排気の力より、換気扇の排気力の方が高い必要があり、注意です。換気用の弱い換気扇は、使ったら逆効果になります。

その為に換気扇を設置する場合、排気口の大きさが10φではおさまりません。建物によってはファイヤーダンパーの設置が必要になる場合も多いので、換気扇をつけるか、つけないかは消防署の方と相談してみると良いでしょう。



この記事は以上です。
かなりマニアックな内容ですが、これからコーヒーショップをやりたい方の参考になれば幸いです。

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