見出し画像

「コミュ力」

”人見知りをしない”、
”初対面でも問題なく話ができる”
とコミュニケーション能力(いわゆるコミュ力)が高いと言われることが多い。
私も今までその言葉に特に疑問を感じたことはなかったし、
深く考えずにその言葉を使ってきていたと思う。


この間、部署に新しく後輩が配属された。
その後輩は、
採用面接での印象がとても良かったらしく、
自分の部署に来ると聞いた上司たちの間でも
”コミュ力が高くて、優秀な男の子”
と噂になるほどだった。

しかし、私にはその評判に少し違和感があった。
彼とは同じ部署になる前に
OG訪問で一度話す機会があったのだが、
その時の彼は、
最初こそ会社や部署の質問を少ししたものの、
大半は、自分自身がどんなことに力を入れ、
どれだけ凄いのかを一方的に話し続け、
私自身への質問はほとんどないまま1時間が終わった。

海外での生活経験が多かったり、
e-sportsの大会で良い成績を残していたり、
確かに学生時代にやってきたことは凄いと思った。
でもOG訪問後の私は何とも言い難い気持ちになった。。

一度しか話していないし、
時間も短かったので、
私の勘違いかもしれないとも思ったが、
彼が配属されて束の間、
この違和感が確証に変わる事件が起きた。

配属後、
彼と同部署の中でもさらに同じチームになり、
チームの全員と彼が
それぞれ軽い面談をすることになったのだが、
私との面談で彼は、
開口一番、
「〇〇さんとはもう十分話したので特に質問することはないんですけど、何話します??」
と言ってきたのだ。
しまいには、
「あ、てか合コンで使えるお店のリストとかってないっすか??」
と。

え??????
と頭の中にハテナがたくさん浮かんだ。
驚きすぎて、きっとすぐには声が出せていなかったと思う。

他の上司よりかは確かに話す機会も多かったが、
仕事のこと、チームのことを全て話していたわけでもないし、
くだけた話をするほど気心しれた仲になったつもりもない。

ただ私が舐められていただけと言えばそれまでだが、
だとしてもこれから一緒に仕事をしていくイチ先輩に対して、
こんな発言が出てくるものだろうか。
ましてや”コミュ力が高く、優秀な彼”から。

そして思った。
きっと彼は、
自分自身の話をするのは得意なのだろうが、
相手に質問をしたり、
気持ちを推測ったりすることは苦手なのだろう。

採用面接で評価が良かったのは、
この会社の面接が、
自分自身の話を”トーク”するものであり、
面接官との”コミュケーション”は、
ほとんど生まれなかったからなのだろうと。


トーク力とコミュ力は違う。

トークは事前に準備をすればある程度磨けるが、
コミュニケーションは、相互的なものであり、
付け焼き刃ではなんともならない。
そんな当たり前なことに、彼によって改めて気付かされた。

今後、彼は私なんかより仕事が出来て優秀になるかもしれない。
人それぞれ大事にしているものは違うし、
彼も採用面接もトークを第一に考えているのかもしれない。

でも私は、”コミュ力”を鍛え、磨いていきたい。
仕事だけでなく友情、恋愛も、”相互的”だと私は思うから。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?