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MINOR THIRDについて

先日、新木場STUDIO COASTで開催されたマイナビ未確認フェスティバルのファイナルステージを観てきた。今回はその8組のファイナリストの中でも特別気になっていたMINOR THIRDというバンドについて少し書きたいなと。

公開されている音源は“セッションが苦手な僕でも”と“short/summer”のみ。結成から僅か4ヶ月でここまでのパフォーマンスをしてみせる確かな実力。もちろんそれは純粋な楽曲の良さに留まらず、彼女らのもつ世界観がバンドの経験値の少なさを感じさせることなく観客を圧倒的な音の波に飲み込んでいってしまうようだった。

“冷たい意志とは反対に
温い皮膚が気色悪い
あからさまな差異が生まれて
風が、軋む”

“セッションが苦手な僕でも”のこの冒頭の歌詞を耳にした瞬間、何か自分の内側に蠢いてるものに語りかけられているような気がした。その直後、全ての楽器が堰を切ったように一斉に中へと割り込んできて激情を抑え込むのに必死になる。訥々と歌うボーカルとの温度差に沸々としたものが煮えたぎっていく。そして歌詞にもあるようにその差異が埋まった曉に、突き抜けるようにキャッチーで、全ての感情を吐き出すかのようなサビとなる。
この曲はずっと差異とかズレについて歌っていて、それは自分の中の葛藤だったり世界との不協和だったり、悶々とした黒い感情を一切包み隠すことのない塊みたいだった。人と思いを通わすことが上手くできない自分でも音楽という媒体を通して誰かと繋がれる。もっと抽象的な話をすると人と人との関わりが音楽になるんだっていう強い思いを感じた。その音楽に対する覚悟と向き合った時、新木場のステージがその日1番ひりついた空気になった。

“short/summer”についても、シューゲイザーのようなサウンドの中で茹だるような夏の気怠い空気を表現しつつも訴えかけるような、胸に迫るような、静かな狂気と言っても過言ではないくらいの押し殺された黒い感情が刺さってくる。

今はまだCDはなく、活動も多いわけではないが、今本当に5年後、10年後が気になるバンドはと聞かれたら間違いなくMINOR THIRDと答える。卓越した技術とセンス、唯一無二の世界観、他の誰の追随も許さない圧倒的な才能。ぜひ、チェックしてみてほしいです。

ここまで色々書いたのに解釈間違ってたらごめんだけど、音楽って世に出た瞬間にそれは聴いたリスナーひとりひとりのものになると思うんだ。だから違ったらごめんなさい。でも僕はこう思った。歌詞が小難しい曲ではあるんだけれどね。良かったらこの記事を読んでくれたあなたの解釈も聞きたいな。