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モロッコ産ヘナvsインド産ヘナ

世界には沢山のヘナ産地があります。
世界的に有名なインドのヘナ産地はソジャットという、
北西インドの砂漠地帯で生産されています。
一方北アフリカをはじめとしたイスラム文化圏には、
無数のヘナ産地が存在します。
それぞれのヘナ産地には特徴があり、それぞれの良さがあります。
ヘナの栽培方法や製造方法に正解や間違いは無く。
その文化圏で伝統的として受け継がれてきました。
今回の記事では、そういった文化圏による違いをご紹介したいと思います。

インド産ヘナvsモロッコ産ヘナ/産地・生産環境

・インドのヘナ産地

インドのヘナ産地ソジャット
インドのヘナの多くはラジャスタン州ソジャットを中心に、栽培されています。
ラジャスタンは半砂漠地帯で、モンスーンが訪れる2ヶ月間は大量の水分を吸収し成長します。
その後、一切の雨が止み乾季が訪れる頃に収穫されます。
現在インド各地では公害が大きな問題となっています。
ヘナ産地においても、重金属などの有害物質が検出される率も高くなっています。
近い将来には、土壌や水源から有害物質が検出され、生産が困難になることも考慮しています。
また、ラジャスタン州はパキスタンとの国境ということもあり、有事の際には最前線となる為、昨今の世界情勢も踏まえた検討が必要だと考えています。
・モロッコのヘナ産地

モロッコのヘナの多くは、南部の砂漠地帯を中心に栽培されています。

当地のオアシスでは、様々な作物が育てられいますが、ヘナも同様に農産物として栽培しています。
オアシスには美しい水が湧く水源があり、それらを農業用水として利用します。
また、モロッコ南部は車の排ガスや工業汚染が極端に少ない地域ですので、日本以上の環境とも言えます。汚染という言葉が皆無と言える地域です。
また、治安は安定していることで有名なモロッコにおいて、昨今イスラム過激派の存在が目立つようになりました。こういった状況が悪化した場合には、流通自体が困難になることもあります。
モロッコにおいても世界情勢を踏まえた検討を重ねる必要があります。
・インドのヘナ生産

インドでのヘナ収穫は、1メートルを超えるまで成長させ刈り取りを行います。

インドのヘナ乾燥その後、強い日差しによって一気に乾燥を行います。
乾燥された葉は、不純物などを除去した後に製粉機を用いて摩擦によってパウダー化されます。
パウダーはその後、篩(フルイ)によって更に細かく目を整えます。
・モロッコのヘナ生産

モロッコのヘナ収穫は、50センチ未満まで成長させ刈り取りを行い、若い葉を利用します。

日陰干しを行うシェード
その後、ヘナの枝によって作られた日陰で、じっくりと乾燥させていきます。
こうすることで、高温と紫外線によって成分が壊れることを防ぎます。
乾燥された葉は、不純物を除去した後にヘナ葉を削るようにパウダー化されます。
機械の摩擦熱の影響を最小限に抑えた製粉技術です。
パウダーはその後、細かな目の布を通すように目を整えます。

インド産ヘナvsモロッコ産ヘナ/ヘナの文化・活用方法

・インドのヘナ文化

インドのヘナ文化は15世紀から16世紀にかけ派生してきました。
その用途は多くはヘナタトゥーとして利用されてきました。
その後、髪を染める素材として活用せれてきました。
また、近代アーユルヴェーダにおいては、様々な病気や健康維持の為に活用されてきました。
しかし、現代においてはインドも発展を遂げたことにより、利用頻度は大きく低下しています。
・モロッコのヘナ文化

モロッコのヘナ文化は非常に古く、紀元前まで遡ると言われています。
モロッコでは、髪を染める素材というよりは、過度の日差しから髪を守る意味で利用せれちました。
もちろんヘナタトゥーの素材としても大いに活用されています。
イスラム医療においては、入浴剤・内服薬・塗り薬としても広く活用され、現代においても多くのモロッコ人が日常生活に取り入れています。

インド産ヘナvsモロッコ産ヘナ/パウダー・ペースト


産地によるヘナペーストの違い
・インドのヘナパウダー
インドのヘナパウダーは操作性に優れています。また色素量も十分確保されている製品が多く存在します。ヘナパウダーの香りは、とても優しい香りの為、薬草臭が苦手な方にも喜んで頂けます。
パウダーの色は、ウグイス色のように淡い緑色のパウダーです。日光により葉緑素が減少していることで、香りや質感も癖の少ないヘナパウダーと言えます。
インド産のヘナは、どなたでも馴染みよく利用出来るマルチなヘナと言えます。
・モロッコのヘナパウダー
モロッコのヘナパウダーは非常に粘り気が強い傾向にあります。また、パウダー化の際に削るような工程になる為、若干の繊維質が残ります。この繊維質をパウダーにするには摩擦の力が必須で、熱による変性を避ける意味があります。香りは野趣に溢れた鮮烈なヘナの香りを楽しめます。苦手な方には不向きかもしれません。薬草の香りが苦手で無い方には素晴らしい香りと感じることでしょう。
パウダーの色は鮮やかな緑色で、日陰干しによる成分の減少を抑えた結果です。
モロッコ産のヘナは薬草らしさを大切にしたヘナパウダーとなります。

インド産ヘナvsモロッコ産ヘナ/染まり方

・インド産ヘナの染まり方
インド産のヘナの色素は褐色に発色します。
質感は軽く、頭皮がスッキリするような感覚があります。
ボリュームアップを望まれる方には最適なヘナと言えます。
また発色も早い為、放置時間の短縮も可能です。
・モロッコ産ヘナの染まり方
モロッコ産のヘナの色素は鮮やかなオレンジに発色します。
質感は艶やかで滑らかな質感に仕上がります。
髪の膨らみや癖が気になる方には最適なヘナと言えます。
発色はインド産よりも若干時間をプラスし、出来ればホットタオルなどで加温します。
そうすることで、発色はもちろん、絹のような質感が得られます。

インド産とモロッコ産の使い分け

・インド産は染まりとボリュームアップに優れています
染まり方は若干褐色に寄っている
・モロッコ産は質感やツヤ感のトリートメント効果が優れています
染まり方は鮮やかさがあるので、黒髪が明るく見えます
こういった違いを上手に利用することで一歩踏み込んだヘナによるデザインが出来上がります。

サロン活用の基本例①
新生部をハーバルブラウン・既染部はモロカンヘナを利用します。
新生部はブラウンに染まります。
毛先はインディゴを配合せずに鮮やかなオレンジ(モロカンヘナ)を被せることで暗く沈んだ色になりにくく、明るい印象をキープできます。

サロン活用の基本例②
黒髪の方がトリートメント目的として利用する場合
①少し明るめに表現したい場合 モロッコ産ヘナ
②黒髪の印象を出来るだけ変えたく無い場合 インド産ヘナ

ご自宅での使い分け①
・ヘナやインディゴによって髪が硬くなってしまう場合
モロッコ産を利用します
・ボリュームアップを狙いたい場合
インド産ヘナを利用します

ご自宅での使い分け②
・ハーブの効能効果を得たい場合
モロッコ産ヘナを利用します
・濃い染まりとボリュームアップを狙いたい場合
インド産ヘナを利用します

世界には様々なヘナ生産や製品が存在します

何が良いか悪いかという議論になりやすいヘナの世界ですが、それぞれの環境において、そこに住む人々に根差した文化があります。
ヘナの利用方法に正解は無く、ヘナを利用するそれぞれの人が、自分の感覚を大切にし、ヘナの魅力を最大限に楽しんで頂けると幸いです。

インド産ヘナvsモロッコ産ヘナ/製品価格(追記2019年2月3日)

インドとモロッコではヘナの価格に大きな違いがあります。
一般的な物価として、モロッコの物価はインドの物価の1.5倍程度と実感しています。
またヘナの仕入れ価格はモロッコ産はインド産の2倍以上です。
作業にあたる人件費もインドの2倍は必要です。
そして流通で大きな問題となる日本からの距離は、

インド5700Km

モロッコ11000Km
約2倍の距離があり、尚且つ物価が高い国の為、輸送コストも2倍。
全ての流通過程で2倍のコストが必要となっています。
そこで工夫を!
実は化粧品などの多くはパッキングコストや書類コストにあります。
そのコストダウンをする為に、200gパックとして発売しました。
インド産は200g=2800円
モロッコ産は200g=3200円

このようにすることで、コストダウンを行っています。
本来モロッコ産を100gパックにした場合は2000円程の販売価格になりますので、200gパックが非常にコスパが良い製品と考えています。
ヘナ製品を日常的に利用される方にとって製品価格は重要です。
出来る限り家計に負担の少ない製品価格として検討を重ねてきました。
また、美容室での材料費を考えた場合にも、コストダウンは非常に重要な要素と考えています。
私たちは、現場レベルの製品作りを常に心がけています。
コストも現場に即した製品となるよう、様々な工夫を重ねてきました。
美容室やサロンの繁栄なしに、インディーハーブスのミッションは成し遂げられません。
製品の価格は、常にユーザー目線で考えていきたいと思います。


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