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ソーシャルライティング講座(延長③)

こんにちは!NPO法人日本インクルーシブ教育研究所のインターンの寺垣佳南里です。

 今回のソーシャルライティング講座では、主に自閉スペクトラム症特性のある方に向けて、生活するとはどういうことか、どのように生活するのかを伝える文章を考えました。普段、何気なく営む生活は、当たり前すぎるがゆえにその意義や方法を考えることが難しく、多くのことを考えさせられました。

 「生活においての困難は何があるか」という問いから、以下の3つが挙がりました。そこからソーシャルストーリーを用いて支援することが望ましいものを話し合いました。皆さんはどの困難だと考えますか?


① Youtubeを見る時間を守ることが困難。
② 洗濯物を出すことが困難
  (裏表/ポケットの中身の確認など)。
③ お皿を洗うことが困難。


考える手がかりは「社会的意義」という観点だそうです。
① は家庭のルールであり設定機能を用いること
  が望ましい。
② は習慣化/構造化(中身を出す用の箱を置く等)
  が望ましい。
③ はお皿を洗うことの社会的意義/方法/手順等
  のを示すためにソーシャルストーリーを用い
  ることが望ましい。

 では、食器洗いの社会的意義とは何でしょうか?
 お手伝いをすることや、両親の苦労を知ることは大変重要なことです。他方で、もう一つ重要なことはその子が自らの生活を大切にし、社会の中で自律できることだと学びました。何が社会的意義で何がそうでないかは線引きが難しいですが、その子にとって自分を大切にできることが社会の中で生きていくために重要なことだと感じました。

 お恥ずかしい話、私自身、自分のことがどうでもいい時は、皿洗いが面倒になり、自分で自分の世話を放棄していると思う時があります。しかし、自分のご飯のためにお皿を洗うことができる時、自分を大切にしていると感じます。

 自らの生活を大切にすることは、自らを大切にすることであり、自らを大切にすることは、自らが生きる社会を大切にすることだと学びました。自分の生活や社会を大切に豊かにすることは簡単なようでとても難しいことですが、今回の講座で学んだことを大切にしていきたいです。

 さて、参加者の皆様から感想をいただきましたので紹介します。

・今日は「お皿あらい」についての、ソーシャルストーリーを皆さんと一緒に考えました。「一般的に身に付けてほしいこと」と「一般的ではないが、こちらがやってほしいと思っていること(強要していると思われていること)」の違いが徐々に分かってきました。こちらが一般的だと思っていても、実はそうではないこともあり、ソーシャルストーリーを作っていく中で、その違いに気づいていくことができるので、とても勉強になります。【放課後児童支援員、保護者】


・今回のソーシャルストーリは、皿洗いをすることについて、を考えましたが、社会的意義は?一般的に?なぜ必要?など普段考えることがなかったので、この機会に考えてみると意外と難しいと思いました。また、ニュアンスによっては指導文ばかりになるので、その文を簡素に指導ではない文にするのが難しいと思いつつ、レッスン回数が増え、語尾をかえて事実文などになっていく工程を見て、「そうでした。」と思いました。今回のソーシャルストーリはよいできだったと思いました。見てるだけの私ですが、達成感がありました。【児童英会話講師】


・昨日こんなことがありました。学童で、4年生の息子が、背の高い2年生に向かって、「この人、背が高い!」と言って、相手の表情が固まってしまいました。私が「背が高いとか低いとか、体格のことを言うのは失礼だよ。」と伝えると、「この人、なんでこんなに背が高いの?(と聞きたかっただけ。)」と彼なりに、言い換えていました。大谷選手のように背が高くなりたい息子は、どうやったら背が高くなれるのかを、最近いつも考えているので、聞きたかったんだと思います。2年生の子は、ササーと、向こうに行ってしまいました。「この人、じゃなくて、○○という名前があるので、覚えようね。」とも言いましたが、そもそも人の名前を覚えることが難しいので、こういうこと(できないこと)で注意され続けるのも、苦しくなっていくのだと思います。
 野球練習でも、これはこういうものだ。と注意されると、素直に「ごめんなさい」が言えるようになってきているのですが、「ごめん」「ごめんなさい」を連発していくと、二次障害に繋がっていきます。世の中の「一般的」も、人によりけりなので、どのレベルまでを身に付けていくのが正解なのか、分かりません。(そんな社会に対しての、感情コントロールも身に付けていけたらと思っていますが…。)同じ言語力を持ってて当たり前と思われている同級生との関係は、悪化することが多いのですが、内言語を言語化するレベルが同等の下級生となら、あまりトラブルにならず、発言を良い意味でスルーしてくれる上級生ともトラブルにはなりにくいです。ソーシャルストーリーを考えていく中で、周りが自閉症の特性を理解し、社会が自閉症の子に合わせていくのが良いことなのか、自閉症の子が、社会に合わせていく作業を身に付けるのが良いことなのか。についても考えさせられます。【児童英会話講師】


 ソーシャルライティング講座は「コミュニケーションがうまく取れない」「人との関わりが苦手」「こだわりがある」といった特性のある自閉スペクトラム症の子どもたちにスムーズに伝えることができるように、原田さんからアドバイスをもらいながら、グループワークを通して学んでいます。次の自閉スペクトラム症の子ども達への伝え方を学ぶ ソーシャルライティング講座は2024年6月18日から始まります。定員10名で少人数のためお早めにお申込みいただいた方が良さそうです。

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