見出し画像

Netflixは「現代のルネサンス」を生み出すか?


 エヴァンゲリオンのアニメを初めて見たのは、確か中学2年生ぐらいのときだったと思う。現在私は27歳なので15年ぐらい前の話だが、その時受けた衝撃は相当なものだった。ロボットアニメとは思えない戦闘シーンのグロテスクさ(実際「ロボット」ではない)、めちゃくちゃに作り込まれた世界設定、深まり続ける謎…。

 当時はたしか新劇場版の「序」が公開するということで、アニメ版の再放送が深夜にやっていたのだった。母は「オウム真理教の信者は、そのアニメのファンから広まったらしいよ」などと不気味がっていたが、それはオウム真理教が悪いのであって、作品に罪はない。私は毎話夢中になりながら、母に隠れてこっそりビデオを見ていた。

 しかしこの作品がすごいのは、ふつうに今の中学生と話していても作品の話が通じるところだ。これはよく考えると異常事態だ。この作品のアニメ版が放送されたのが1990年台の後半だから、今から20年以上前の作品が、ずっと現役でファンを増やし続けているのだ。

 ジブリなんかもそうかもしれないが、あれは小さい子供でも見れる全年齢向けの作品なので、金曜ロードショーでずっと放送されているのが大きな要因だろう。エヴァのようなけっこうグロめできつい描写の多い「人を選ぶ」作品が、世代を超えて人気を獲得し続けているのはなぜだろうか?

 「作品自体の普遍的な良さ」ももちろんあるだろうが、個人的には配信プラットフォームが整っているのが大きいと思う。今やNetflixやAmazonPrimeを利用すれば、いくらでも昔の作品にアクセスできる。自分も最近になって幽遊白書のアニメを見て、玄海師匠の死に涙しているぐらいだ。漫画作品も、電子書籍サービスの普及で、いくらでも古い作品を購入できるようになっている。なんやかんや、エンタメにおける「時代による壁」がどんどんなくなっているのが現状だ。

 そうなってくると、これからの若い世代は、古い作品も新しい作品も全部吸収したうえで、新しい作品を作っていくことになるのだろう。呪術廻戦の感想で「今までヒットしたジャンプ作品の全ての味がする」というのを見たことがあるが、まさにそんな感じだ。ルネサンスでは古代ギリシアの発見から新たな芸術運動が起こったが、配信プラットフォームの進化は、現代における「古代の発見」の機会と言えるのではないだろうか。

 漫画・アニメ作品における「世代間ギャップ」がなくなった状態で、これからの漫画やアニメにはどんどん新たな化学反応が起きていく。そんな未来が、個人的には非常に楽しみだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?