【詩】波の行方
灰色の反射し、
音は静か。
消えない傷に染みる、
ナトリウムの溶液。
波に攫われたブーケは、
貝の粒が纏わり付いてしまった。
不揃いの流れ雲は無視し、
鳶の編隊は嘲笑っている。
波の行方は誰も知らない。
死んだ彼女の骨を撒いた、
あの記録さえも……。
波の行方は誰も知らない。
投げ捨てられた卒業証書も、
塵と化して飛んでいった。
何にも成れない足跡は、
もう皆に会えたのか。
彼女も、卒業証書も、
幸せを願うブーケもどうか。
例え僕が忘れても、
波は届けてくれているのか。
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