写真一枚で海外に行ける
自分一人じゃとても海外には行けない。勇気がない。と思っていた。
12月のある日、人間その気になれば写真一枚で海外に行けるんだなぁと思った出来事。
Twitter上で時々お話しさせてもらっているフォロワーさんが『今イギリスにいます!』という画像を載せていて、それがとても羨ましくて、悔しくて苦しくなったのを覚えている。
その時は銀座の料理人で、厨房の片隅で丸まってスマホを眺めていた。あまりにも人間扱いされなくて、お給料もきちんともらえなくて、卑屈になりきっていた頃だ。
行きたいけど行けるわけがない。自分はどこにも行けない。勝手に鳥かごの中の鳥のように思っていた。人間の思い込み程怖いものはないと思う。
でもその次の年、これまたTwitterで一枚の写真を見て衝撃を受けた。
『なんて綺麗なんだろう。私は絶対ここに行きたい』
ドイツにある、ドレスデンという街のクリスマスマーケットの景色だった。クリスマスのライトアップで光り輝くフラウエン教会と、無数の星のライトで飾られたマーケット。
あまりにもまぶしくて、でも触れてみたいなぁと思う不思議な光だった。
この時私は不動産屋に転職していた。恐ろしい銀座のレストランからは解放されていたのである。なんとなく、飲食じゃなくてもやっていけるんだという気持ちが芽生え始めていた頃だから、余計力が湧いたのかもしれない。
不動産屋はある意味飲食店よりもはるかに地獄なんだけれど……。
* * * * *
これがその時見た写真の一枚。当時見た写真とほぼ同じ風景を自分で撮ったもの
私がドレスデンに行ったのは12月の末で、もうクリスマスマーケットは終わっているころだった。
少しでも跡地が残っていたら嬉しい、それくらいの気持ちでやってきたけど、これを見て立ち尽くしてしまった。
『そうだ、これだ。私が見たかったのは』
この日、あいにくの雨で昼間のドレスデンは雨だったけれど、夜には止んで綺麗な紺色の空になった。星のライトは紺色の空に良く映える。夢中になって同じような写真をたくさん撮ってしまった。
なんだ、やろうと思ったら出来るじゃないかと少しだけ自分を褒めた。
行こうと思ったら自分の足で見に行ける。写真一枚でも見たいと思ったら見に行っていいんだな。そう強く思った出来事だった。
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