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【読書感想文:財務3表一体理解法(國貞克則著)】財務3表の理解は、自己成長にも応用できる!

「財務3表一体理解法」(朝日新書、2021)の感想文です。以下、本書の引用は「*」で表します。


まず、本書をお薦めする人は個人的にですが、

全ての人

です。なぜなら、自分が本書を読んだ後

自分の全ての活動について、規模と生産効率を意識するようになった

からです。正直なところ複式簿記の全体像をつける過程で、このような感覚になるとは思いもよりませんでした。(元々高配当株を見分けるためとか、家計を見直すために、簿記の知識をつけたい、というのが動機だったので。)

しかし、考えてみると

・自分の活動の規模
・その活動結果を産むために投資したもの(お金、時間を含む)

の流れを把握することはとても重要です。

このことを、本書で

・損益計算書(PL)
・貸借対照表(BS)
・キャッシュフロー計算書(CS)

の連動性をみてとてもよく理解できました。

そこで自分が「簿記・会計から人生全般に活用できる術」と思った部分をお届けします。

まずは、本書の文章です。それはこちら

世界中を探しても、ひとりで年間10億円の利益を上げられる人はそうはいないでしょう。しかし、例えばトヨタ自動車が年間10億円の当期純利益では、関係者はだれも満足しないでしょう。

*、P34

この文章がめちゃくちゃ引っかかりました。

自分の仕事における最重要事項の一つは「論文を書いて発表すること」です。世の中では、この評価を「掲載される雑誌のグレード」と「論文の本数」で行うと認識しています。

最新の実験機器、スパコンへのアクセス、それに今までの実績の蓄積など、潤沢な資源が揃っている環境では、この二つの評価に対して求められる数は多く、また可能な数字も大きくなるのは必然です。

今まで、同じ土俵で戦おうとしていたな、と上述の引用文を読んで思いました。むしろ大事なのは、簡単に言えば

コスパ

です。例えば論文発表にかかった投資額と、その論文の価値、みたいなものを一本あたりで見ないといけないな〜と思いました。

自分の現在の規模はわかっているのだから、その規模でできる最大限のことをまずやり、その上で規模を大きくする方向に行くのか、それとも規模ではなく、質を高める方向に行くのか、というのを決めていければと思いました。


そして、BSの見方についてが次です。やはりこれも勉強になる文章があります。

 BSの右側には、その会社が「これまでどうやってお金を集めてきたか」ということが表されていて、BSの左側にはその「集めてきたお金が何に投資されているか」ということが表されています。

*、P43

これらを対応してみることができるBSってすごいな、と思いました。

自分の解釈としては、もう一つ加わります。それは、

「BSの左側には、投資の結果として得られた無形資産が含まれる」です。

この無形資産の中には、企業としては「特許」とかがはいるのでしょうが、自分の仕事や自分という人間を資本と考えたときはこれに加え「論文」「そこにしかない知識」「経験」などが含まれると思います。

一番最初の引用文と同様、

資本の規模と、アウトプットのバランス

に注目するのが非常に重要で、今の資本でどれだけのアウトプットが出せているのか、ということを常に考える必要があります。

自分の活動の価値などを「お金」に換算する術は確かなものはないような気がしますが、例えば、

・今ある資本・投資額でも十分行える研究テーマ、方向性は?
・家計に対し、アウトプットが投資に見合ってないものはないか?
・自己投資をもっと効率良くできないか?

などを考えると、少なくとも規模の大きい「他人」と比べなくて済みます。

結局は精神論的なことになるのですが、本書を見て、

自分という資本の成長のさせ方

を考えさせられました。

そのことばかり書いてしまいましたが、もちろん簿記・会計の知識をつけるのに必要な知識が満載な良書です。

特に、自分は簿記の知識がないですが、「財務3表をそれらのつながりで理解する」というところは非常にあっていました。

また、後半で出てくる例も非常に分かりやすく、2回ほど読んむと、初心者の自分でも十分理解できるようになりました。

ですので、会計をこれから勉強したい人、にももちろんおすすめできる本です。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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