見出し画像

カラスからリスクヘッジを学んだ話

たまに、やる気が起こらずに、無気力状態になることがあります。やるべきことがあるんだけど、やる気は全く起きないというあの状態。とりあえず目の前のことを見たくないから、外をボーッと眺めているあの状態です。

その日も外を眺めていると、民家の屋根の上にカラスがいます。カラスは元気そうに声をあげているので、窓を閉めていたって、その存在感は明らかです。

その一匹のカラスはどこからとってきたのかわからないちぎられた菓子パンを、乱雑につついていて美味しそうに食べています。

すると、大きな声を出しながら、もう一匹のカラスが来ました。もちろん、菓子パンを狙っています。案の定、菓子パンを食べていたカラスと奪い合いになっています。

「カァーー!カァーー!」
「ガァーー!ガァーーー!」
「グアァーー!グアァーー!」
「ゴァーーー!ゴァーーー!」

もう、大乱闘、大白熱です。そりゃあ、生活がかかってるわけですから、どっちのカラスも必死になって当然です。

その結果、後から来たカラスが菓子パンを奪っていってしまいます。奪われたカラスも必死で追いかけますが、あまりにもスピードが速く、追いつきそうにありませんでした。

奪われたカラスは、どんな思いなんでしょうか。自分が必死になって、やっとの思いで手に入れた菓子パンを、他の誰かに横取りされてしまうなんて。これは、人間界でもたまに起こりますが、カラスは毎日闘っているとなると、もう慣れっこなのかもしれません。

菓子パンを奪われたカラスは、さっきいた、屋根の近くに帰ってきました。さっきのカラスとのバトルでちぎれたパンくずでも拾いに来たのだろうと、僕はその様子を気の毒だと思いながら見ていました。

しかし、そのカラスは情けない姿で戻ってくるわけでもありません。ある一定の疾走感を保ちながら、屋根の上にではなく、電柱の方へ止まりました。僕からその電柱がどんな構造になっているか見えませんが、電柱のてっぺんで何かをつついている。カラスの口元に注目すると、くわえていたのは、ちぎられた菓子パンでした。

「そこにも、あったんかい!」

僕は思わずそう言いましたが、よく考えたらスゴいことです。菓子パンを奪われることを想定して、カラスはここに隠していたのです。なんか、勝手に同情した僕がバカみたいに思えました(笑)。すみません。

菓子パンを隠していたカラスは、それを持ってどこかに飛んでいきました。リスクに備えるのが、生活の基本のようです(笑)。

カラスの皆様、本日もお疲れ様です。

面白いと感じてくれた方、よろしければサポートお願いします。純粋に僕が嬉しいだけでなく、もっと量が多く、もっと高品質な作家活動ができます。どうぞ、よろしくお願いします!