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転職したあと②前職の同僚と近況報告。転職してよかったと改めて思う


■紙一重で社長を継続中の立花さん

「稲盛さん、ご無沙汰しております。相変わらず、ストレスがすごいです。多くの人が入れ替わりましたよ」

私は、半年前まで子会社の社長をしていた。立花さんは別のエリアの社長だ。いまも奮闘している。久しぶりに恵比寿でランチだ。

「最近どうですか?」と私が聞くと、苦い顔をしながら話してくる。彼は身長160cmで小柄で童顔だ。400人の組織の社長には全く見えない。

「私も社長をクビになりかけました。紙一重でした。やっぱり、この会社はきつ過ぎる。今年中に転職しようと考えています。」

のっけから穏やかではない。

■評価が全然されない。政治がすべて

顔がパンパンに膨れている。聞いてみるとストレスで暴飲暴食しているようだ。腹回りの肉を気しながら、話を続けてくる。

「実は、3月に社長を下ろされそうだったんです。横山さんが、わたしの後任でした。ただ横山さんは創業者ともめて辞めました。なので、まだギリギリ、生き残っています」

「一連の流れを横山さんに教えてもらったんです。横山さんが話してくれなかったら、まったく知らなかったですよ」


裏で工作したのは、立花さんの元上司だ。その人は創業者の言いなりだ。本件を問いただしたところ、「だって創業者が言っているんだ。そしてお前の評価が低いんだよ」と塩対応だった。

立花さんは、最大規模の子会社の責任者だ。ストレッチがきつすぎる目標を達成している。目標を達成したことを聞いて仰天した。

ただ、全く評価はされていないようだ。

さらには、目標達成した翌年度は昇給率が高いはずなのが、半分にされた。理由は「「高いすぎる」と創業者が言ったから」だ。制度など関係ない。

『それはヤバいですね~』とボロネーゼを食べながら私も反応する。わたしも似たような経験があるので、思い出して胃がキューとなった。

「さすがに興ざめしました。今年中に別の会社に移ります」と童顔がドヤ顔で言ってくる。

■私が代表をしていた子会社も大変そう

わたしの担当していた子会社についても聞いた。

後任の社長になって、ずいぶんと組織がグチャグチャになっている。営業事務員は全員やめて、エースを含め3人の営業が辞めた。

さらには、現場の疲弊が異次元になる大型受注も受けていた。前任者として青ざめた。

「稲盛さんの時から受注量は変わっていません。あのエリアは誰がやっても増加しないです。ただ、組織運営は難しいので、稲盛さんの時の方が安定していましたよ」

私が退職するときは、「残念です!」という声を多くの現場からもらえた。一方で創業者の取り巻きからは極めて冷酷にディスられた。

現場と経営層の感覚が乖離があるのは良く聞く話だ。正しさは立場によって変わる。わたしは「自分なりには良くやった」と思っているので、自己満足している。

そして、「新社長になって大幅増収した!稲盛をはずした結果だ!」とならずに、ちょっと自尊心が保たれた。かっこ悪いながら。。。


■ホワイト企業に転職し変化したこと

立花さんに、私がホワイト企業に転職したことを伝えると、とても羨ましそうだった。

まず、私が転職して大きく変わった点としては

創業者からの電話の恐怖がない。24時間、電話を気にしているのはボディーブローのように効いてくる。そこからの恐怖ストレス解消

・誰かが「自分の悪口を言っている」、「こいつは俺をおとしめるのではないか」という不信感がなくなった

・突然クビになる恐怖。綱渡り感がなくなった。安心して勤務できる

・日常的なストレスが減ったので家族もご機嫌になり、陽気になった

・ストレス解消のためにYoutube中毒だった。過食もなくなり、トレーニングも充実し筋肉も増えた

などなど、職場環境が変わると、ずいぶんと気分がかわるものだ。


■重田の無双化

「さらにがっかりしたこととしては」

立花さんが続ける。

「重田が創業者に近づいて、覚えがめでたくなって、部長になり無双状態なんです。なので私より評価が高いんです。重田がですよ。。。」

怒りが見える。

政治で成り立っている会社である。多少の政治は良い。けど政治色が強すぎると、どこに向けて仕事をしてよいのか混乱してしまう。

重田さんは、私が知り合ったなかでも相当ヤバい。「モラハラ、非現実的なアイデア、時間の拘束、自身もメンタル崩壊」の人物だ。

彼は、3年前に降格して本社から倉庫に左遷された。しかし、人不足で恵比
寿本社に戻された。そして創業者に近づいた。

重田さんのみならず、かつてラインから外されたヤバい人物が数名もどった。そのあと、不当に減給をさせられた人がでて、また多くの人が退職した

心がモヤモヤした。そして心から転職してよかったと思う。


■ブラック企業の風習になれていくもの

辞めて気づく。たぶんブラック企業だ。

人間は環境の生き物なので、ブラック企業にいると、その環境に慣れていく。ただ、そのブラックに完全順応できる人は少なく、多くは気持ちがやられてしまう。

精神的に致命的なダメージを負ってしまう前に、そんな環境からは立ち去った方がよい。

「転職先でひどい目にあわされたらヤダなぁ~。新しい環境だし。悪口とか言われたくないしなぁ」なんて立花さんが言う。

その発言は、今いる企業文化が体に浸み込んでいるからだ。世の中には悪口を言わない(少ない)会社も沢山ある。不信感のある環境に居続けると世界観も不信感になる。

人間は環境の生き物なので、その環境にいるときは気づかない。この点は客観視するときにはとても重要なことだ。

わたしも気づいていると思っていた。けど、その場にいると完全には分からない。いまになって、そう思う。


■立花さんは果たして転職するのだろうか


立花さんに転職エージェントを紹介した。ただ、転職しないような気もする。


立花さんに特徴としては、、、

辛いものが得意でないのに、ココ壱番屋では10辛を注文し、蒙古タンタン中本では北極を注文する。お子様カレーが心地よいのに。

なぜか毎回、「いける気がする」と思ってしまう。けど毎回、「後悔する」そんな事を続けてしまうタイプだ(たぶん)。

理想(?)と現実のギャップを正しく把握しない、ツラくても同じことを繰り返し、そんな傾向がある

なので、ツラい職場でも、なんだかんだ継続する気もする。

■恐怖の感覚がよみがえる

まだ退社してから6か月ほどしかたっていない。立花さんの話で当時の感覚がよみがえる。

ダムが決壊しないように、あらゆる角度から補強したり、壁を作ったりしながら運営するイメージだった。「あ~~~、決壊する~。オワタ(*´-`)」と思うことが月に一回はあった。

それは私の感覚で、そんなことをまったく気にしない人もいる。けど、私にとっては、そんなイメージで恐怖が多かった。

その晩、当時の気持ちを思い出して、なかなか眠れなかった。やっぱり健全な環境ではなかった、と改めて思う。

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