成功の秘訣「前提条件」
大相撲の力士に「一山本」という関取がいる。
かれは中央大学在籍中に「学生相撲」で活躍するものの卒業時には大相撲界入りはせずに地元北海道の公務員としての道を選んだ。
しかし、公務員の傍ら稽古を続けていた彼が最後と決めて出場した「国体」での決勝では悔しい負け方をしてしまった。
当時、日本相撲協会では入門の年齢制限を23歳としていた。
当時「一山本」は24歳、大相撲入りは無いと思われていたところ
ちょうどそのころに協会から発表があった「25歳まで入門枠を広げる」という方針変更に彼は迷う・・・
もちろんその悩みを聞く先輩や仲間は「頑張れ」という。
皆が肩をたたいて背中を押してくれる。
しかし、母は違った。
「絶対にやめて・・」
涙を流して大相撲入りを反対したという。
「せっかく手に入れた安定した生活をなぜ・・・」
気持は大いにわかる。
本人と一緒に母の説得に当たった知人はもし「一山本」が関取になれなかったら、一生この母からは恨まれたことだろう。
しかし「一山本」の活躍ぶりはすごかった。
入門後、一年半での関取昇進、十両時代にひざを痛め一時幕下まで番付を下げるが、その後、再十両、今場所は新入幕まで果たした。
私が言うのもなんだが、「一山本」は187cm、145㎏と一般の人から見れば大柄だが、お相撲さんにしてみればさほど、重量力士ではない。
特別に力があるわけではなく、目を見張るほどのスピードがあるわけでもないこの「一山本」がこうして大相撲の世界で成功している秘訣を私はこう見ている。
彼は公務員をやめて、母が泣いて止めるのを遮って上京、入門した。
「関取になって、この世界で成功する以外に他は考えられない」
彼の頭には常にこの現実だけが後にも先にも纏わりついているのだろう。
お相撲さんなんだから、みんなそう思っているでしょ・・
と思っている方も多いでしょうが、実はそれほどでもないのです。
長年やっているうちに「やっぱり無理かなあ・・・」
「幕下までは頑張ろう」などと目標を低く設定しなおしてしまう人が大勢いるとか・・・
角界の詳しい人曰くは、多くの力士は「辞め時」を見計らっている。という
そんな中で、「一山本」のような気持ちで成功する人はごく稀だが、うえで戦っている人(関取)の中にはこういう人は結構いる。
恐らく多くのモンゴル人力士もそうだろう、はるばる故郷を捨てて日本にやってきて「幕下で充分」と思う人は少ないだろう。
「一山本」やモンゴル力士たちのような、こうした気持ちの設定の仕方を
「前提条件」
というそうだ。
これは、商売でよく使われることで、
「自分がやるからには必ず儲かる」「儲かるに決まっている」
儲けている人は必ずこの「前提条件」のもとで成功しているという。
でもこの法則的なことを分かっていない人は大抵失敗するらしい。
目標や自信といったような生半可なものではなく、もっと強力なのがこの「前提条件」なのだ。
他のスポーツで例えてみよう。
プロ野球の選手でも韓国リーグから来た外国人選手は活躍しているのに、もっとレベルの高いはずのアメリカ大リーグから鳴り物入りで入ってきたのに全く活躍できない選手がいる。
評論家は「日本の野球に合わないのか?」と、首をかしげるが、
わたしは彼らには日本で活躍するビジョンが全く見えていないのだと思う。
「ちょっと金を稼ぎに行ってこよう」くらいの気持ではないのか。
従って「前提条件」が全く整っていないまま入団してしまい結果が出ない。もう少し日本の野球について勉強させるなり、実地訓練させるなり手を打つか、横柄な選手は獲らないと方針を決めなくてはいつまでも繰り返すことだろう。
子供の学習でも使えるかもしれない。
「学習目標」をたてる習性があるが、あれを「前提条件」に代えればもっと効率が上がるかもしれない。
よく東大をでた親の子は東大に合格すると聞くが、多分あれも「前提条件」を小さいうちから叩き込んでいるからではないだろうか?
まあ勉強のことは知らんけど・・・
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