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大相撲の世界は江戸時代の再現

日本相撲協会の方針

 現在、日本相撲協会の八角理事長は、場所前の挨拶など様々な場面でこう言います。
「江戸時代から伝わる大相撲の文化をそのまま受け継いでいきたい」「国技館に入った瞬間から江戸時代にタイムスリップしたように再現したい」
 これがトップの方針、なにも八角理事長だけが言ってるわけでなく、過去歴代の理事長も同じ方針だった。

多くの問題・事件・事故

 かつて、「土俵上に女性が上げっては行けない」という相撲協会の方針についてどこかの婦人団体が「男女差別反対」と裁判所に訴えるという話があった。
ほかにも相撲協会の運営方針について批判の声をあげるものは多い。あえて過去の件は置いておくとして、現在でも「コロナ過での親方・力士の振舞い、行動」は週刊誌をはじめとしたマスコミへの格好のネタのようだ。
 また今年の春場所では土俵上で力士が負傷した際になかなか助けの手を入れず、「若い命を亡くしてしまった」という事故にも批判が集まった。
世間の大相撲界を見る目は厳しい。
 私個人の見解を言えば、これらの批判は日本相撲協会は多くの恩恵を受けながら運営されている「特殊団体」というイメージが世間に根付いていて、そこから生まれる悪意が強いように感じられる。

YouTubeチャンネル「貴闘力部屋」

 このチャンネルは元関脇「貴闘力」がその現役時代、引退後親方になり、「野球賭博事件」で解雇になるまでの相撲人生を振り返って、「暴露」「相撲界の膿を出す」というYouTubeチャンネルです。
興味のある方はぜひ、ご覧ください。
私もこのチャンネルは「力士の親」として大変参考にさせてもらっている。
中には「クビになったやつが見苦しい」と苦言を言うものもいるが、息子に聞いたところ、批判的なものも多いそうだが、大勢の力士がこのチャンネルを楽しみにしているとのこと・・・・・

相撲は格闘技なのか?

私としては、このYouTubeチャンネルの内容自体は興味深い(ちょっとお金に関する生々しい話が最近多くなったように感じるが)のだが、貴闘力さんの目的が「相撲くじ」「相撲村」の設立だそうな・・・
これはいかがなものか・・・・
相撲はボクシングや総合格闘技のような「勝負最優先」「駆け引きを楽しむ」「技術を楽しむ」「激しさを楽しむ」というその他の競技スポーツと私は少し違うと思っている

外国人に最も伝わりやすい日本の文化

 問題は八角理事長が言うところ「大相撲」は単に「相撲競技」ではないということ、わんぱく相撲、学生相撲などの競技とも一線を画している。
もちろん「勝敗を楽しむ」「優勝争いを楽しむ」というのも大相撲の醍醐味だが、同時に相撲協会が大切にしているものは「伝統の継承」、行司・呼び出し・審判の所作、更には懸賞旗や力士の鬢付け油のついた「髷」、関取の「大銀杏」「化粧まわし」や鮮やかな「締め込み」まですべてが江戸時代からの継承文化なのだ。
 今はコロナ過で、なかなか難しくなっているが、通常、大相撲の場合は観戦客の特殊性が他の競技と違う。
 その最たるものは外国人観戦客の多さである。
 これは別格だ。
プロ野球やJリーグの観戦を楽しみに日本に来る外国人はどれだけいるだろう?全然ないとは言えないが・・・
 大相撲の場合、朝早くから自由席購入の列に並ぶ外国人の多さに私は何度も驚かされている。またツアーを組んで相撲観戦に来る外国人も多い。

 要するに日本の伝統芸能「歌舞伎」や「文楽」などを外国人が観てもなかなか内容まで理解するのは難しいだろう・・・
日本の伝統芸能の中で、「大相撲」は外国人にとって最もわかりやすくエキサイティングな文化なのである。
場所中に国技館周辺には「侍」のように丁髷を結った力士が着物姿でうろうろしている。外国人が持つ「日本」のイメージが再現されているのだ。
また土俵上では、大男に交じった筋肉質な小兵力士が、自分より数倍大きな巨漢力士をぶん投げれば、場内から大歓声が上がる。
外国人は奇声をあげて喜ぶ。
 日本全国から集まった力自慢の男たちは昔からこうして土俵に上がって裸一貫で戦ってきたのだ。
「危ないから女性は土俵に近寄るな」といってきた。
こんな尊い文化が他にあるだろうか?
中国にあるだろうか?韓国にあるだろうか?
祭りのようなものは他でも何度か目にしたことがあるが、組織的な興行として今なお継承されている相撲文化は世界的に観ても稀有な存在。

日本人のあなただってスペイン旅行をしたら、いろんな建造物を観ながら、一日は「闘牛」を観たいと思わないですか?
まあ好き嫌いもあるのでみない人もいるでしょうが・・・

もし、コロナのない世界で2020年東京オリンピックが7月に開催されていたとしたならば、プロ野球などのイベントは完全にオリンピックに飲まれてしまうだろうが、「大相撲7月場所」はオリンピックで日本にやってきた「外国人の次の目的」として大変な賑わいをするはずだった。と私は思う。

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