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【持続可能な地域づくりと学校】 書評#74

みなさん、いつもお世話になっております!
本日は、私の投稿の軸とする一つ「本」「読書」に関して書かせていただきます。

自己紹介に書いたマイルールを守りながら、私の大好きな本について書いていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします!

今回は、学校です!
というよりは、地域と学校の関わりについてです!

ヘッダーは、和田のりあきさんの作品を使わせていただきました!
本書は、子どもたち・地域・学校とその教職員の新しい未来への出発に関する物語と言えます。
そこで、学校と朝日をイメージした作品を使用させていただきました。
ありがとうございます!!


基本情報

宮前耕史 他(著)
ぎょうせい 出版
2017年11月30日 第1刷発行

全163ページ
読書所要期間3日

私が本書に出会うきっかけ

「地域と学校をどのようにつなげていくのか?」
これが今の私の仕事の一つと言っていい。

これに関する本で、何か良いものはないかと探し、買う候補に入れていたのだが、なんと奇跡的に著者の方から直接いただくことができたものである!

この本の本質

地域社会を含む日本社会全体を支えるべく機能するはずの学校。
しかし結果として、いわば逆機能的に”地方から都市への輩出を支えてきた”という側面があるとの指摘がある。
これを踏まえ、人口減少が止まる見込みのない現代社会において、持続可能な地域をどうしたら再構築できるのか?

本書は、この問題に対し「地域に根ざす」というキーワードのもと、研究や実践を進めている挑戦者たちの足跡である。

私が感じたこと

1点目 〜私の感じる課題感

学校を運営する人々は、その地域の住民でないことが多いのではないだろうか。
つまり学校を回す側は、住民でない人々の集合体であるとした時に、
地域にある学校のことを、それらの人々に任せて良いのだろうか?

これは、学校が住民でない人々の集まりだから頼りない!と言っているのではない。
むしろ逆で、
地域でない人々に対し、私たち地域が頼り過ぎてやしないか?
という問いかけである。

自分たちの子ども・地域の子どもを預ける身として、もっとできることがあるのではないだろうか?
と常々思っている。

2点目 〜「地域に根ざす」から思うこと

本書を通貫するキーワード「地域に根ざす」
この言葉には、二つの側面があるのではないかと私は考える。

まず、地域の立場から見れば、
「学校を地域そのものにする」
(隔絶された存在でなく、一体的な存在)

次に、学校の立場から見れば、
「地域に出ていく・地域に頼る」
(地域の一員として自覚する)

そのためには、次のことが必要なのではないかと考えている。

  1. 先生の余白をつくる。

  2. 学校と地域を物理的・心理的に近くする。

  3. 学校と地域、学校と行政の橋渡し役をつくる。

  4. 既存組織の本質的機能を取り戻す。

3点目 〜「地域に根ざす」ために重要なこと

上記4点についての私の考え方は、具体的には次のとおりである。

まず1つ目「先生の余白をつくる」について。

学校現場の実情は、先生が日々の授業やそれに付随する様々な対応に追われ、新しいことを考えることができるような時間、心の余裕というものが無いに等しい。
そこで、学校と地域が協働した『働き方改革』(業務の適正化)が急務であると考える。

改革とは、”まるで新しいことする”ということ。
新しいことは考える時間・余裕がなければ、絶対にできない。
とすれば、学校側が自ら働き方改革を考える余白をつくることができるだろうか?
それは、かなり難しいだろう。
そこで、まずは学校が自ら働き方を改革するために色々考えることができる時間や余白を、外からつくってあげる必要があるだろう。
そこで、地域の出番である。

地域(外)から変えるなんてできるはずがない!
そういったご指摘が聞こえてきそうであるが、意外とそうとも言い切れない。

次に、「学校と地域を物理的・心理的に近くする」について。

学校を行きやすい場所だと考えている地域の方は、いったいどれだけいるだろうか?
PTA役員など、ちょくちょく学校へ出入りする方以外、つまり関係者以外は極めて少ないと言っていいのではないだろうか。
その他の地域の方々が行きやすく関わりやすい学校づくり、仕掛けが必要となる。

次に「学校と地域、学校と行政の橋渡し役をつくる」について。

これは、私のこれまでの実践(仕事)を通して感じることである。
「学校と地域」・「学校と行政」というある種のハードとハードを繋ぐためには、有機的・機動的に動くことができる橋渡し的役割の人材としてのソフトが必要になると考えている。
つまり、そのハードにしばられず、ハード間を縦横無尽に行き来できる存在が必要ということである。

この点を本書では、NPOに着目しているのではないかと私は捉えている。
NPOはつまり、橋渡し役人材の集合体としてのハードかつソフトであるという捉え方ができると考えている。

最後に「既存組織の本質的機能を取り戻す」について。

学校と地域をつなぐ組織体は、実は以前から結構あると考えられる。
それが、PTA・学校運営協議会・地域学校協働本部である。

PTAについては、古くは戦後から存在していると認識している。
地域としての保護者、学校としての教職員、そして場合によってはそれ以外の地域の方々も入会することができる仕組みを持っているところもあるだろう。

学校運営協議会は、PTAに比べれば圧倒的に若い存在である。
全身は学校評議員制度と言われるが、地域の方々にも学校運営に参画してもらおうとする仕組みである。

そして地域学校協働本部は、これらの中で最も若い(法的整備が最近の)ものである。
究極的には、学校も地域資源の一部と捉え、地域間ネットワークの最大化を狙う仕組みである。
いわば、「まちづくり」の一つのシステムと言っていいと考えている。

これらを兼ね備えている学校。
しかし、現実としてその本来の目的を最大限に発揮できている組織は、とてもではないが多いとは言えないと考えている。

PTAは、学校主導から地域(保護者)主導へ。
学校運営協議会は、法から与えられる権限の最大化を。
地域学校協働本部は、地域の主体的な実践(まちづくり)機能へ。

これが、私の考えるそれぞれの組織の目指すべき方向性である。
一言でまとめるならば、地域も、学校も
『口だけでなく頭と体を使う』
ということを目指さなければならないと考えている。

そしてそこには本来、子どもたちもいるべきだということを忘れてはならないと私は考えていることを補足したい。

4点目 〜本書から見える「地域へ根ざす」目的

上記重要なこと、つまりこれらの”課題”を何のために解決しなければならないのか?
その「何のため=目的」は、
①地域の子どもたちが、学校にいながら地域を体感できるようにすること
②学校は、地域(社会)活動の縮図であり、その手本たと感じさせる場にすること

であると、ディーイ著の「学校と社会」を踏まえて私は感じている。

本書で言うところでは
「地域のために学ぶ」「地域とともに学ぶ」
ということだろう。

これらを、子どもを主語にして換言すれば、
『自分の夢が地域の夢となるための学び合いと協働』
ではないかと私は考えている。

5点目 〜「地域へ根ざす」ための具体的解決方法

やはりこれは、全地域共通の処方箋というものは存在しないと思っている。
ひたすら独自で処方を考え抜く、つまり、
仮説を立て →実験し →検証する →また実行
というPDCAをただひたすらに回し続けるしかないと考えている。

実は私の住む地域は、著者を含む本書で登場する北海道浦幌町に関係する方々からもご注目をいただきつつあるところである。
また、全国的にも徐々にではあるが、存在を知られつつある場所となってきていると感じている。

そのため、私たちの考え方や実践について、このnoteでも書いていきたいところではあるが、私のこの活動のマイルールや、そもそも住んでいる地域や私の名前などの情報を伏せて活動しているという性質上、残念ながら書くことを諦めたいと思う。

しかし、せっかくなので私たちが大切にするキーワードだけでもお伝えさせていただきたいと考える。

  • 「子どものため」という大人目線でなく、「子どもとともに考える」という”対等”へ

  • 「マチは大きな学校、学校は小さなマチ」

  • 「ホンモノに出会う」

  • 関わる大人自身が「ワクワクしているか?」

  • 役割分担による官民協働

という以上5点に向けて『挑戦する!』、つまり『挑戦』をベースにして学校教育や社会教育を考えるということであると私は捉えている。

むすびに

とりわけ、本書に出てくる「浦幌スタイル」は、北海道の教育まちづくり界隈において極めて有名な事例である。
一方で、このスタイルはどのマチ、どの地域でも通用するかと言えば、当然のように”そうでなない”だろう。
重要なのは、これらを参考にして「どのように考えるか」つまり、
「地域の人々がどれだけ本気で、一丸となって取り組めるか」
がポイントであって、このスタイルを真似ることではない。

地域が違えば、
人が違う。
考え方が違う。
課題が違う。

その地域にあった”スタイル”があり、浦幌はそのスタイルの見つけ方が秀逸であり、しかも持続性の高いものとしてサイクルが回り続けている。
この持続性の原動力が、地域の人々の『本気』なのだろう。

その本気度が周りの関心を集め、本気にさせ、また次の原動力となるのだろう。


以上です。

以前、志々田先生方著した下の本を読みました ↓↓

こちらの本も非常に示唆深い本でした。

本書も、これに似たような内容ではある一方で、主に北海道でご活躍の先生方が著しているということもあり、全国事例を取り上げながらも、北海道の事例に重きを置いて書かれていました。
北海道で暮らすものとして、とても理解しやすく、しかも「私たちの地域でも何かできるかもしれない!」という希望を与えてくれるものとなりました。

私に本書を提供してくださった宮前先生に、心から感謝です。

普段は、2000字を目安にしているのですが、今回は倍以上となってしまいました。
しかし、どうしても書きたい、というか自然と想いが溢れてきて合計4,100字。
これまでの記事の中でおそらく最多となったでしょう。
どうかご容赦を!!

本日も、ご覧いただきありがとうございました!!

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