【世界一やさしい依存症入門】 書評#15
みなさん、いつもお世話になっております!
本日も、私の投稿の軸とする一つ「本」に関する第15弾を書かせていただきます。
自己紹介に書いたマイルールを守りながら、私の大好きな本について書いていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします!
こちらの作品は、いわゆる児童書です。
「14歳の世渡り術」シリーズと書いてありました。
児童書の素晴らしさを改めて感じる本でした!
※書影(画像)は、版元ドットコム様から頂戴しています。ありがとうございます!
基本情報
松本俊彦 著
河出書房新社 出版
2021年8月25日 第1刷発行
私が本書に出会うきっかけ
本書は、完全にタイトル買い。
私はこれまで「依存症」のことなんて考えたこともなかった。
しかし、読んでみると、ものすごい身近なものなんだと思い知らされた。
この本の本質・言いたいこと
本書は要するに、
①依存症への誤解を解くこと
②正しく理解した上で、自分や友人、家族が「もしかしたら依存症かも」と不安を抱えてる人へアドバイスすること
③これらを通じて、人間の心の動きの背景を知り、社会全体を見つめるきっかけを与えること
このようなステップを踏んで、丁寧に教えていくことを目的としているように私は読み取った。
私が感じたこと
今回私が感じたのは次のとおり。今回は比較的項目が多い。
1点目 〜構成の工夫
章末にQ &Aがある。
著者が子どもたちに優しく語りかける様子が文章にされているといった感じ。
子どもにもやさしく、わかりやすい表現になっているということは、大人にとっても理解のしやすい書き方になっていると言える。
初心者の私としては、とても理解が進んだ。
2点目 〜大人の子どもへの向き合い方
本書は、
大人は、子どもとどう向き合ったらいいのか?
を教えてくれるものである。
本書を通じて私は、子どもは基本的に「大人(他人)を信用していいのか」
と思っているということを前提に、「いかに信頼してもらうか」が肝になるということを教えてくれる。
このことは、学校の先生、カウンセラー、各種ケースワーカーなどの方々にとっては恐らく既知のことであり、日々実践されているのだぁと関心させられる。
著者は精神科医である。
精神科医というものは、単なる薬を処方することができる存在ではなく、心に寄り添うプロフェッショナル中のプロフェッショナルなのだと改め感じさせられる。
3点目 〜もしかしたら私も依存症!? 私自身の気づき
薬物、しかも覚醒剤などの禁止薬物だけが依存症の原因ではないことを学ぶことができた。
誰にでも身近にある。それが依存症であると。
私の場合、
ビール・コーヒー・読書・仕事
これらは全て私自身の依存症の可能性のある物質及び行為であると認識した。ともすれば、このnoteへの投稿もそうなりつつあるのかもしれない。
いつ、誰が、どの依存状態になってもおかしくはない。
一方で、本書P21に『健康的な依存』という考え方も示されていた。
「依存」自体が必ずしも有害ではないということも同時に教えてくれる。
4点目 〜困っている人との向き合い方
依存は、
・必ず理由/背景があり、
・そこに目を向けなければ根本的な解決は難しい
ということを教えてくれる。
治療を受けたり、捕まったりするような人々は、かなり辛い経験をしている可能性が高いということである。
しかも、その様々な心の動き(悲しみや苦しみ)を、どうやら一人で抱えているケースが多いようだ。
本書では、
様々な依存のカタチ・様々な支援のカタチ
が示されていた。
5点目 〜意外な共通点
私が投稿した
#8「ケーキの切れない非行少年たち」
#12「どうしても頑張れない人たち ケーキの切れない非行少年たち2」
これらも、困っている人への理解と寄り添い方(支援の方策)を示すものであった。
本書も依存という切り口ではあるが、困っている人への理解と寄り添い方を示すという意味で全く同じである。
そして、往々にして非行少年たちは何かしらに依存している状況が描かれていた気がする。
”ケーキ”の方の著者も精神科医であった。
先述したが、精神科医というのは、とてつもなく”人にやさしい”職業である。尊敬しかない。
むすびに
本書は、薬物・ゲーム・自傷など具体の事例をもとに、様々な依存に対する誤解を解いてくれる。
そこから、それらに困っている人への寄り添い方を見出すことができるだろう。
『依存症の根っこにあるものとは、いったい何なのか?』
ぜひ、本書を通じて考えてみていただきたい。
余談
本書の中で、地味に面白かったのことがあります。
それは、”脳”の構造を”いちご大福”で表現しているところです。
これまで色々な本を読んできて、脳に関する説明がなされる本に出会ってきましたが、”いちご大福”は初めてです。
ご自身がゲーム依存であったことや、タバコ依存であることなど、とても人間らしい面を見せてくれます。
だからこそ、患者さんたちは著者のことを対等に感じ、信頼するに足る存在であると認めるのでしょう。
でなければ、こういった本は書けない。そう感じました。
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