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地域おこし協力隊は移住すべきか?

「地域おこし協力隊が任期後にその土地に移住するかどうか?」ということに関して、それは本人の自由だと私自身も感じる上で、何かずっとモヤモヤした感情を持っていた。

私は協力隊ではないが大阪から新潟に移住して4年目。昨年は地域で地域おこし協力隊の受け入れも行い、新潟県内の地域おこし協力隊の募集記事も5回ほど書かせてもらっている。そして、4年いて少しずつ地域の現況や感情というものがわかって気がするので今回はそのモヤモヤについて考えてみた。

結論としては ”フェアにいこう” ということである。

まずはじめに制度について話をすると、「地域おこし協力隊とは」人口減少や高齢化等の進行が著しい地方において、地域外の人材を積極的に受け入れ、地域協力活動を行ってもらい、その定住、定着を図ることで、意欲ある都市住民のニーズに応えながら、地域力の維持・強化を図っていくことを目的とした制度です。(ニッポン移住・交流ナビ JOINより)

任期は最長3年で、地方自治体の委嘱を受け、地域で生活し、各地の地域協力活動を行う。現在5000名以上の隊員が全国にいて、任期後は約6割が同じ地域に定住しているといわれている(H29年時点)

任期後にその土地に定住するのか、どうするのかは本人の自由でこの制度にその後の進路を強制するようなものは何もない。


そして考えてみてわかったのは、私の感じていたモヤモヤは ”地域の人の感覚と応募する人の感覚のギャップ” についてであった。

まず地域の感覚として移住した私がいま感じるのは地域の現状はとても切迫しているということである。

それは小さな変化から始まっていく。

例えば、

歳をとって体がうまく動かなくなってきたから毎年育てていた田んぼをもう作らなくなったり

これまで草刈りをしていた場所も人手が足りないから除草剤を使いだしたり

いつもお茶会に参加していたおばあちゃんの顔を見なくなったり

毎年誰か1名ほど亡くなられたり。

そうした小さな変化を毎年のように感じる。そしてその小さな変化は積み重なっていく。

誰かがやめたからといって田んぼを耕作放棄地にするわけにはいかず他の人が育てる。その人ももうかなり作業的にはいっぱいいっぱいの中で引き受けるので体を壊しやすくなったりしている。

そうして頑張っている人たちは大半が60代や70代だったりする。毎年歳をとる。いくら田舎の人は元気だといっても毎年機能は低下する。

何もしなければその状況がどんどん悪化する。

毎年、その繰り返し。そんな感じ。

その上で地域おこし協力隊というはとてもありがたい制度だ。新たな人材確保の入り口となる。まさに希望への糸口のようなものである。


もし地域おこし協力隊が着任したら1年目は多くの場合その地域について学ぶ年となる。地域の人は今後のことも考えその人に時間を割く。仕事のやり方から生活のルールからその地域で生きるいろんなことを忙しい中で時間を作って教えている。もちろん期待もある。

そんな中で1年でやめられたらどうなるか?理解のある地域ならいいかもしれないが、あんなに教えたのに時間も割いたのにどっかに行くのか?今までの時間は何だったんだ?となる。

これは企業の採用の話とも似ているが、企業と違うのは地域は営利団体でもなく成果を求められる規約のある集合体ではないということである。

そのため多くの人が無給のご厚意でその人に時間を割いているということである。

そんな人たちのもとを1年で去ってしまうのは期待を裏切ることであり、地域を消費しているだけである。

「そんな人しか来ないならもう協力隊の受け入れはしない」となるかもしれない。そのリスクもある。


一方で、いま地域おこし協力隊になりたいとする人は、自然環境のある場所で田舎暮らしをしたい。都会ではない場所で自分の存在価値が感じられることがしたい。地域の力になりたい。

ざっくりいうとこういう人が多い気がする。

その人たちはもちろん地域の力にもなりたいと考えているが、自分のやりたいことや自己実現も大切にしている。

なので地域おこし協力隊で着任してもその地域が合わなかったり、自己実現できない場所であれば1年たっていなくてもその土地から離れる。

実際、地域おこし協力隊は任期後の定住率は6割だが、1年以内に3割の人がやめている。辞める理由として多いのは地域や行政の人とうまくいかなくなったというものだった。


この両者の感覚にギャップがあることがやはり問題だと感じた。

地域おこし協力隊になる人はもちろん地域の切迫した現状について住んでみるまでは詳しく知る由もないだろう。逆に地域の人は地域のために頑張ってくれる人が来てくれると思っているだろう。これでは奇跡的に両者の感覚が合わないとうまくいかないだろう。


なのでやはり採用段階での両社のすり合わせがとても重要になる。これは仕事上での採用をする企業よりも、仕事と生活の両方を共にする分とても重要になると感じる。

募集があったからといって誰でも採用するのではなく、その人が本当に何を考えていてどんな感覚なのか?移住定住したいのか?それは住んでみないとわからないかもしれないが制度上、定住を進めるものである以上その本心を確認しておかないといけないだろうと思う。

その本心がどうであるかで地域の人も関わり方コミットの量も変わってくるだろうから。

採用では「ここでずっと住んでくつもりです」と話した方が聞こえはいいかもしれないが、本心ではまだ移住・定住するかわからないのであればそれはきちんと話した方がいい。話さないのはフェアじゃない。それに正直に話しておいた方が地域の人との距離感も結果的にいい感じになるはずだ。


結論 

採用段階で地域の人も行政の人も応募した人もきちんと話し合おうねって話。


新卒田舎暮らし2年目です!大卒就職せずに田舎暮らししてます。同じような暮らしをしたい若者を応援するためにも暮らしの現状や日々の気づきを発信していきたいと思います!