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【農地付き空き家の罠】その空き家、あなたには購入できないかも。

田舎の空き家を探していると
“農地付きの物件”
を見かけることが多々あります。

比較的安価で広い農地が付随していることが多いので、
「田舎の広い土地で好きなことをしたい!」
と考えている方にはピッタリ!

と思うかもしれませんが、
残念ながら
基本的に普通の人では「農地」を購入できません。


こんな重要なことでも不動産屋によっては
黙っている業者もあります。

私たちが空き家を探しているときは
こちらから農地について質問するまで何も言われませんでした。

農地付きの空き家を案内してもらっているときに
あまりにも農地についての話がなかったので、

「農地って
普通には買えないって聞いたんですけど…?」
と質問すると、
表情を曇らせて
「そおなんですよぉ…」
と返されてしまいました。

もし「買う!」って言ったら
どうするつもりだったのでしょうね。


そこで今回は、

  • なぜ農地を購入できないのか

  • 農地を購入するにはどうしたらいいのか

について解説していきます!


田舎の空き家を探していると
誰もが直面する問題なので、
是非、最後までご覧ください。


農地が簡単には買えない理由


前述のとおり、
「農地」は普通には購入することができません。

農地は普通の土地とは違って、
「農家(農業従事者)」しか
購入できないことになっています。


国としては「農地」を
他の土地より重要視しているのです。

農地が簡単に農家以外の人たちに所有されてしまうと、
日本の農作物を作る土地の面積が減ってしまい
日本の食料自給率を下げてしまいます。

日本の食糧を守るためにも
原則として、農地は農家にしか取引できないように
法律により規制されているのです。


「農地」とは?


農地に限らず、土地には「地目」といって
何に使うべき土地なのかが決められています。

所有者が好き勝手に利用できないように
「宅地」「山林」「保安林」など
土地の用途が決められています。


「農地」とは、
農地法で「耕作の目的に供される土地」と
定義されています。

空き家情報の「地目」や「用途」という欄に
「田」
「畑」
と記載がある土地は
農家しか購入することができません。


「農地」を購入するためには?


農地を購入するためには大きく分けて

1、農家になるか
2、農地以外の用途の土地に変更して買うか

の2通りの方法があります。


1、農家になる


一番、農業法の趣旨にあった方法が
「農家になること」です。

農家になって
農地で作物を作るために取得するのであれば
何も問題ありません。

ただし、農家として購入する場合でも
土地の権利者を変更する許可を得る必要があります。


新たに農家(農業従事者)になるためには
①農業を営むためのきちんとした計画があること
②原則として1年間に150日以上農業に従事すること
③原則50アール(5000平米)以上の農地で経営すること
④周辺の農地の支障がないこと
の4つの規定をクリアしたら
各市町村の農業委員会から
「農業従事者」と認めてもらえます。

地域によっては
農業従事者を増やす目的で、
規定が緩和されていたり、
新規就農者でも
「農業従事者」と認めていることもあるので
一度、希望地の農業委員会に相談してみるのが
お勧めです。

ちなみに③の「50アール以上」の面積に関する規定は
購入予定の農地がこの面積より狭い場合、
他の農地を借りるなどして
合計で規定の面積以上の農地を経営する必要があります。


「農地」はあくまでも農業を行うための土地なので、
農地を取得できたとしても、
それ以外のことに使用することは禁じられています。

つまり、
農家になって農地を手に入れたとしても
勝手に家を建てたり駐車場にすることはできません。


農業を複業として行うこともできるので
農地を取得したいなら
農家として活動も検討してみてください。


2、「農地」から変えて購入する


「農地」の土地に家を建てたり駐車場として購入したい場合は
農地から他の用途へ変更すれば、
農家でなくても購入することができます。

ただし、前述した通り、
農地は法律で規制されるほど厳しく守られています。

さまざまな条件や審査を経て
許可が下りれば
農地から用途を変更できます。
(農地からそれ以外の目的に変えることを「農地転用」と言います)


農地の中にも区分けがあり、
市街地に近い場所にある農地は
用途を変更できる可能性があります。

逆に、農業に向いている農地は
原則、農地転用できません。


農地を農地以外の目的で使用するために購入したいのであれば
一度、その土地の農業委員会に相談してみてください。


まとめ


農地は法律により、
他の用途の土地よりも手厚く守られています。

そのため、
農業従事者にしか農地を売買できない決まりになっています。

農業委員会の許可を得ずに
勝手に売買したり、
農業以外の目的で使用したら
法律違反になり
なかなか厳しい罰則があります。


田舎で空き家を探していると
農地が付随してくる物件をよく見かけます。

農業従事者でない場合は
農地以外の土地しか取引できなかったり、

そもそも農業従事者でないと購入できなかったりします。

農地付きの空き家で気になる物件を見つけたときは
取り扱っている不動産業者や空き家バンクに問い合わせてみてください。


どうしても農業以外の目的で購入したい場合や
移住後に新規就農者として農地を購入したい場合など、
農地に関することは
その土地の農業委員会を調べて問い合わせをしてみてください。

農地取引は色々と細かく規定されており、
その土地の地域によっては規定が緩和されてることもあるので
個人が調べてもわからないことがたくさんあります。

その土地の農業委員会に相談すれば
一番簡単で手っ取り早く解決することができます。

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