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【働き方を考えよう】 年5日の年次有給休暇義務化【いつか取ろうでなく、5日(いつか)取る】

田舎暮らしをする経営戦略コンサルタントのちょーすです。

働き方改革関連法の成立に伴い、2019年4月1日から、年5日の年次有給休暇(以下「有給休暇」といいます)を取得させることが義務となりました。

今回の義務化に加えて、政府として年末年始休暇の分散取得を推奨していることを受け、企業によっては、2020年12月28日から2021年1月11日までを有給休暇取得奨励日としているようです。

もしこの期間を全て有給休暇にすれば、最大17日間の大型連休になり、過去類を見ない年末年始になりそうです。

働き方改革関連法

働き方改革関連法には、大きく「年次有給休暇の時季指定」「時間外労働の上限制限」「同一労働同一賃金」の3つがあります。

今回は「年次有給休暇の時季指定」について、まとめていきます。

今回の法案の意図

今回の法案については厚生労働省のページで詳細にまとめられているので、私の記事では細かい部分は割愛しますが、「年10日以上の年次有給休暇が付与される従業員について、企業は年5日の年次有給休暇を確実に取得させることが義務化」されました。会社の規模を問わず、全企業を対象として一律に導入されているので、確実に対応する必要があります。

有給休暇は原則、労働者が請求する時季に与えることとされていますが、取得率が低調な現状を鑑みて、労働基準法改正を機に、2019年4月から、全ての企業において、『年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、年次有給休暇の日数のうち年5日については、使用者が時季を指定して取得させる』ことが必要となりました。

違反すると罰則があり、条件を満たす対象者に対して年に5日の有給休暇を取得させない場合は、使用者に「30万円以下の罰金」が科されます。罰金は従業員1人につき1罪となるため、従業員が100人の企業で全員が年5日以上の有給休暇を取得できなかった場合は、最大で3千万円の罰金になります。

有給休暇の計画的付与

この5日については、あらかじめ取得する日を決めておき、その指定の日に取得させる制度があります。

例えば、「誕生日休暇」「記念日休暇」といった「個人別付与方式」の休暇を設定したり、年末年始や飛び石連休に合わせて、全社が一斉に休業し長期休暇を実現する「一斉付与方式」、班やグループ別に交替で付与する「交替制付与方式」等があります。

ただ、これらは使用者が決めたら、すぐに出来るものではなく、「労使協定の締結」「就業規則等への明記」が必要です。

【労使協定で定める内容】計画的付与の対象者
計画的付与の対象から除外する者がある場合には明確します。
計画付与日数と方法、および時季
計画付与対象の日数と、付与方法についても定めます。時季を使用者側が決定する場合には、その内容も盛り込みます。個人の計画による付与の場合には、必要な手続きについても定めます。
対象外の場合の取扱い
全社一斉で取得する場合、入社後6か月未満で有給休暇を持たない者や、有給休暇の保有日数が少ない者に対する取扱いも取り決めます。
付与時季の変更があるときの取扱い
計画的付与がなされた場合は、原則として労働者の時季指定権も使用者の時季変更権も行使できません。やむを得ない事由がある場合には付与時季を変更する可能性があることと、変更の際の手続きについても記載します。

就業規則等への明記については、顧問の社会保険労務士へ相談の上、対応して下さい。

また、一番最初に記載しているように、有給休暇取得奨励日として、自主的な取得を促すことも必要です。

結局、計画的付与を促すことは出来ますが、これは義務ではないので、取得しない方が居た場合には別の方法で最低5日は取得させなければなりません。特に「個人別付与方式」といったような場合、制度を整えるだけではなく、実際に取得しやすい環境を整えていくことの方が肝要です。

思うこと

今回の法改正の契機をしても言われていますが、日本は有給休暇の取得率が低い等と言われることが多いですが、一方で国民の祝日が16日と多いです。

また、その祝日も年により移動して、ゴールデンウイークやシルバーウイークといった大型連休となりますが、全国一斉に休日となるので、どこへ行くにも混雑がより酷くなっています。

【国民の祝日】
元日(1月1日):年のはじめを祝う。
成人の日(1月の第2月曜日):おとなになったことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝いはげます。
建国記念の日(政令で定める日):建国をしのび、国を愛する心を養う。
天皇誕生日(2月23日):天皇の誕生日を祝う。
春分の日(春分日):自然をたたえ、生物をいつくしむ。
昭和の日(4月29日):激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす。
憲法記念日(5月3日):日本国憲法の施行を記念し、国の成長を期する。
みどりの日(5月4日):自然に親しむとともにその恩恵に感謝し、豊かな心をはぐくむ。
こどもの日(5月5日):こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する。
海の日(7月の第3月曜日):海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う。
山の日(8月11日):山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する。
敬老の日(9月の第3月曜日):多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う。
秋分の日(秋分日):祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ。
スポーツの日(10月の第2月曜日)スポーツにしたしみ、健康な心身をつちかう。
文化の日(11月3日):自由と平和を愛し、文化をすすめる。
勤労感謝の日(11月23日):勤労をたっとび、生産を祝い、国民たがいに感謝しあう。

JETROに世界の祝祭日をまとめたページがあったので、共有しておきますが、大体12日前後のようです。

それよりは国民の祝日を減らして、長期間の休みをまとめて取得できる環境を創って行く方が、今のコロナ禍における「3密の回避」と「働き方改革」に適しているように感じます。

大型連休の度に、生活のペースを乱され、休み明けがカンを取り戻すのに大変になるので、同じ日数の休みを取得できるなら、自分の好きなタイミングで休みを楽しみたいなと思います。

また、誕生日休暇や記念日休暇は労働者側からの評判も良いようですが、私も大賛成です。自分や家族の誕生日、結婚記念日等で休めることが出来れば、準備に時間を掛けられたり、翌日もゆったりした充実した時間が過ごせるのではないでしょうか。