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【注意喚起】不正改造キッチンカー・フードトラック【黄色ナンバーの軽自動車】

経営戦略コンサルタントのちょーすです。

都市部でも地方部でもオシャレで店舗を構えるよりハードルが低いこともあり、増加しているキッチンカーですが、最近、不正改造車の摘発が増えています。

不正改造キッチンカー

キッチンカーは国土交通省が管理し、地方運輸局や軽自動車検査協会に届出する「道路運送車両法」と厚生労働省が管理し、保健所に届出をする「食品衛生法」の2つの基準を満たすことが必要です。

これらの基準を満たしてない車輛が不正改造車となります。

この不正改造かどうかの判断軸はキッチンカーの荷台部分にあるキッチン部分が、「積載物(荷物)」として登録されているのか、「車体本体」で登録されているので分かれます。

罰則

罰則は大きく「不正改造車」と見做されるか、「整備不良車両」と見做されるかで変わってきます。

不正改造車にかかる罰則

道路運送車両法第99条の2では、自動車の「不正改造などの禁止」が規定されています。 この法律に違反した場合は、6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。

整備不良車両の運転の禁止

道路交通法第62条では、道路運送車両の保安基準を満たさない車を運転することを禁じています。
違反した場合は、3ヵ月以下の懲役または5万円以下の罰金が科せられます。

整備命令の違反

①道路運送車両法第54条では、自動車が保安基準を満たさない場合、地方運輸局長は使用者に必要な整備を行うことを命じることができ、保安基準を満たすまで自動車の使用方法や経路の制限も指示できます。この指示に従わない場合は、50万円以下の罰金が科せられ、自動車の使用を禁止されることがあります。この命令にも違反した場合は、6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金も科せられます。

②道路運送車両法第54条の2では、自動車の不正改造がある場合、地方運輸局長は保安基準を満たすための整備を命じ、整備中の自動車の使用方法や経路の制限なども指定できます。整備を命じられた者は、自動車のフロントガラスに整備命令標章を貼り付けなくてはならず、この命令に背くと50万円以下の罰金が科せられます。また命令を受けた日から15日以内に整備を行った車両の提示をしなかった場合、最大6ヵ月間の自動車使用の禁止、車検証およびナンバープレートが没収されます。これに違反した場合は、6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。

それぞれの法令の基準で説明します。

道路交通法

公道でキッチンカ―(車輛)を走行させるためには、その車輛が国の定める安全基準を満たしている事が必要で、その適合検査が車検です。

車検とは、正式名称「自動車検査登録制度」と言い、道路運送車両法に規定されており、その期間内に日本の公道を走る事が出来る車輛か検査する事を指します。

その検査内容は、自動車の安全性や環境規制など定められた基準を満たしているかを中心に行います。

【軽自動車の規格基準】
排気量:660cc以下
長さ:340㎝以下
幅:148cm以下
高さ:200cm以下

1996年9月30日道路運送車両法施行規則改正(省令第53号)

既存の車輛をベースにする場合、排気量や長さ・幅の変更をするケースは少ないかと思いますが、見落としがちな事例としては、換気口がはみ出して設置されたり、オーニング・看板の設置方法等で幅の基準を守っていないものもあります。

【軽自動車の最大積載寸法】
最大積載の長さ:車輛の長さ1/10(8ナンバー10%)まで
最大積載の幅:車輛の幅まで
最大積載の高さ:2,5mまで

特に高さについては荷台部分の上に載せて、更に人が立って作業できるようにしているので、簡単に200㎝という制限を超えてしまう可能性が高いです。

この形のキッチンカ―が車検に通るには、後ろの箱(キッチン部分)をどのように取り扱うかで2つの方法があります。

車体本体

正規の方法としては、キッチン部分と車体本体にボルト・リベット・溶接等で確実に固定し、全体で車輌とする方法です。

これは車輌の構造変更を行い、それを構造等変更検査を受けることで特種用途自動車となります。

特種用途自動車は「8ナンバー」と呼ばれる特殊な用途のための設備をプラスした車輌となります。

この車輌は問題ありません。

また車検の期間が1ナンバー・4ナンバー車の毎年車検から2年に1度の車検となります。

積載物

よく目にする黄色のナンバープレート・4ナンバー(小型貨物自動車)の軽自動車タイプのキッチンカーで、高さ2メートルを上回るサイズも見受けられます。

これは、後ろの箱を「積載物」としています。

積載物として認められる条件としては、高さ規格より+50cm以内(高さ2.5m以内)であり、かつ、キッチン部分と車輌部分をボルト・リベット・溶接等で固定しないことが定められています。

転落防止として、蝶ねじ類・テープ類・ロープ類・針金類・その他これらに類するものによる簡易取付であれば可能ですが、あくまで積載物であり、常設しないことが必要です。

ここでいう簡易取付とは、「工具を使用せず取り付けできること」です。

積載物として扱っている車輌の場合は、当然ながら積載物が載っている状態では車検は通らず、積載物を下ろさないと車検が通りません。

一部の車両では、走行時の安全を考えキッチン部分と車両部分をボルト等で固定して、車検時にはボルト等を外してキッチン部分(積載物)を下ろして、車検を通すケースがあるようです。

これは車両が国土交通省の定める車輌としての基準を満たしていない状態で公道を走行していることとなり、警察の摘発対象となります。

また運転についても、車体が大きくなり、重量も増えているので、取り回しはしづらくなり、ブレーキの効きも悪くなります。

食品衛生法

キッチンカーで調理し、食品を提供するためには、そのキッチン部分で食品衛生法の認可も通す必要があります。

この点まで明確に触れられている情報はありませんが、基本的には保健所は「車輌内(車輌に設置された設備内)での調理」として認可しており、「積載物内での調理」としては認可していないと考えてる方が妥当です。

またキッチンカーはあくまでキッチンカー内で食品衛生法の認可を受けていますが、稀にイベント等でキッチンカーの外にクーラーボックスを置いて、青空の下でドリンクを販売しているケースもあります。

これは露店や臨時営業の申請がされていないと違法となり、更に風雨で汚染されないようにテント等で天井プラス3方向を覆う必要があります。

まとめ

軽自動車のキッチンカーで黄色ナンバーの車輌はほぼ違法改造車で間違いないです。

また、交通事故等の際に入っている任意保険が不正改造車の場合は、保険適用されない場合もあるようですので、「しない、させない、みのがさない」ことの徹底が大切です。

保険適用の話はキッチンカーの所有者に対してのみの話かと思いがちですが、もしこの車輌が原因で事故等が発生し、そこに被害者として巻き込まれてしまった場合について考えてみましょう。

そもそも不正改造車輌ということで任意保険が適用されず、損害賠償や慰謝料が加害者に直接請求されます。

もし加害者側が払えないとなると、加害者は交通刑務所に移管されますが、被害者側は泣き寝入りせざるを得ないことになるので、もし事故に巻き込まれたらと考えてみて欲しいなと思います。

キッチンカーの所有者も支払っている自動車保険が無効とならないように、適法の状況にしておく必要があります。

また、行政側の対応も必要ではないでしょうか。

現在は縦割りで保健所と運輸局が連携していないので、そこまで問題にはなっていないようですが、積載物内での調理がダメという判断が明確となり、保健所で車検証の確認をするようになれば、一気に不正改造のキッチンカーは減るのではないかと思います。

またキッチンカー等の事業を新しく始める場合は、このような法令だけでなく、資金繰り等の課題もあるのでしっかりと準備が必要です。