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趣味は「映画と読書と音楽」と言っても良いですか? vol.287 読書 酒井順子「中年だって生きている」

こんにちは、カメラマンの稲垣です。

今日は読書 酒井順子さんの「中年だって生きている」についてです。


大好きな酒井順子さんのエッセイ。

今回は「中年女性」について。

いつも世の中にあるモヤモヤとしたものに、ズバリと切り込んでいく姿勢がなんとも楽しい。たまにエグすぎて笑ってしまうほどw

日本最強のエッセイストといっても過言でないでしょう。


物語作家のエッセイも楽しくよく読んでいます。物語創作の秘密などがわかり面白いです。でもやはりそれは箸休め的な部分もあるような気がします。

酒井順子さんは生粋のエッセイスト。

本気度が違います。もう怖いものがないのかガンガン攻めていきます。

それも個人を攻撃するのではなく、とことん自虐と鋭い観察力と考察が冴えまくります。

テーマが「中年女性」

酒井さんも50代になり、バブル世代として勢いのあった女性が次第に衰えていく。

ただ中年は自覚しているけどまだおばさんじゃないと頑張っている。

若くもなく、まだ老人でもない、そんな中間地点のどちらでもない宙ぶらりんな中年。

そのモヤモヤを、酒井さんは鋭く切り取り、言語化していきます。

バブル世代でも、女性でもないので、実感が湧かない部分もありましたが

自分も中年なので、納得する部分が多くありました。

そう、酒井さんによって言語化されると、ストンと納得して気分が晴れやかになるんです。

中年は中学生とポジとネガである、というフレーズが印象的。

中学生は心身と共に未成熟で宙ぶらりんな状態で成長していく、

中年は老体や心が次第に鈍くなり、宙ぶらりんの状態で老化していく。

そうこの宙ぶらりんの状態をしっかりと認識して生きていこうというエッセイ。

19のエッセイが収録されているが、全部軽快で読みやすい。

ただところどころ、毒や鋭さが散りばめられ、酒井さんの自虐と言いながら、読んでいる自分にもグサグサ刺さります。

自分の少し上の世代の酒井さん、今後60代、70代になっても老年の女性のエッセイも読みたいですね。

今日はここまで。



人生に欠落感を覚えている人ほど、
激しく老化に抗うのはないかと思う。
/「中年だって生きている」より


以前酒井さんを取材で撮影する機会がありました。
とってもお話が面白く聡明な方でした。


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