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趣味は「映画と読書と音楽」と言っても良いですか? vol.337 映画 デヴィッド・リーン「戦場にかける橋」

こんにちは、カメラマンの稲垣です。

今日は映画 デヴィッド・リーンの「戦場にかける橋」(1957/英=米)についてです。


あの「サルゴリラチンパンジー」の替え歌で有名なこの映画の音楽。

ものすごく有名ですが多分戦争反対の映画かなと思って、見る機会もなかったので
今までスルーしてきました。

ちょうどテレビ放送されたので観てみたらだいぶ印象が違い、単なる勧善懲悪の戦争映画ではありませんでした。あまり銃弾も飛び交いません。

まあ第二次世界大戦イギリスの捕虜が日本軍の命令で橋を作る話ですが。

イギリスが正義でも日本が悪でもないんです。

もちろん日本軍は捕虜にリンチしたり、重労働をさせようとしますが、橋を完成させるために譲歩したり、イギリス軍の幹部と話し合いをしようとします。

イギリス軍も捕虜なのに、ジュネーブ条約で、幹部は労働をしないとか、徹底的に自分たちの権利を主張します。あるときは頑固にまでも。

武士道と騎士道との意地の張り合い。

そしてアメリカの自由な個人主義。

その三つ巴がこの映画を面白くしている。そしてまた長く2時間41分の長編に。



物語は、第二次世界大戦中、タイとビルマの国境近くに日本軍の捕虜収容施設があった。

そこで捕虜になったアメリカ兵が過酷な重労働を強いられていた。

その中に何度も脱走を企てたシアーズ中佐がいた。

そこにイギリス軍の捕虜が移送されてきた。

収容所の所長である斉藤は整列されたイギリス軍とアメリカ軍の捕虜に、鉄道を通すために川にかかる橋を作れと命令する。

そしてこの場所はジャングルの孤島で脱走することは不可能、将校も兵士と同様に働いてもらうという。

イギリス軍の大佐であるニコルソン(アレック・ギネス)は「将校を働かせることはジュネーブ条約に違反する」と意見するが却下されてしまう。

さんざん命令しても、ジュネーブ条約に違反すると抗議し、機関銃で脅されたが軍医のおかげで殺されなかったが、将校は炎天下立たされ、ニコルソンは一人オーブンと言われる営倉に閉じ込められる。

その夜シアーズは仲間と共に脱走する。
仲間は日本兵に射殺され、シアーズは川に飛び込む。

橋の建設は遅れに遅れていて、日本軍の技術も稚拙だった。そしてイギリス軍は全く働かない。

イギリス軍の軍医が斉藤に相談して、ニコルソンにも話をするが全く頑なに労役を拒んだ。

脱走したシアーズはかろうじて生きていて、ジャングルの中を必死に進み、倒れる寸前に、現地の集落の人々に助けられる。

斉藤はニコルソンを営倉から出し、美味しそうな夕食を振る舞うが、それを拒否し
脅しや泣き落としも通じない。

シアーズは楽園のような集落を去り、村人からもらった船で川を下っていく。途中で飲料水がなくなり、川の水を飲み腹痛になり苦しむ。

斉藤は祝日に恩赦としてニコルソンを宿舎に帰し、工事も将校は労役に就かなくてもいいと。

ニコルソンは日本軍のために働くのではなく、自分たちの誇りのために働くと決める。

シアーズはなんとかイギリスの支配地域まで行きイギリス軍の病院に収容された。

その病院で悠々自適な生活をしていたが、情報局に身分の偽りを指摘され、またその橋を破壊する決死隊の案内役として抜擢される。

川ではニコルソンの指揮のもと着々と橋の建設は進んでいた。

一方決死隊は訓練もそこそこに、飛行機で現地まで行き、落下傘で降下する。

一人は着地に失敗し死亡し、残りの兵士シアーズを含む3名で橋までのジャングルの道を進む。

いつか助けてもらった現地の女性に案内され、橋まで進むがジャングルは過酷でなかなか近づけない。

橋の工事では重労働で次々と兵士が倒れ、病院の怪我人も労働に駆り出されることに。

決死隊の兵士は途中日本兵と戦い、一人は足に怪我をしてしまう。

それでもなんとか橋まで辿り着く。

ちょうど橋は完成し、明日汽車が通り完成式をする。

決死隊は作戦を練り、橋脚に爆弾を設置する。

ニコルソンと斉藤は完成した橋で話し合う。

ニコルソンは長い軍隊生活の中で誰かのとって有意義だったかという自問も今夜で終わりだという。

シアーズらは橋に爆弾を仕掛け、導火線を引っ張り、準備をする。

ニコルソンは皆の前でスピーチをし、イギリス国家を歌う。

そして汽車がやってくる。

シアーズらは待ち構える・・・・。

果たして最後はどうなるのでしょう。



一応戦争映画だがあまり銃弾は飛びかわない。

確かにイギリスの将校と日本の将校の意地とプライドの戦いではありますが。

橋を作る映画だ。

単なる橋ではなく失ったプライドも建て直す。

そんな中、脱走したアメリカ人の中佐が自由なのが良い。

自由だけど結局元の場所へ戻される不合理。

そしてラスト。

いろいろ考えさせられる。

確かにあの最後は最も戦争の無常感をあらわしているかもしれません。

2時間あまり意地の張り合いをしてあの衝撃的なラスト。


デビットリーン、最後にすごいものを投げかけました。

戦争の不合理さを。

今日はここまで。




君たちは、名誉をもって生き延びた。
この荒れ果てた土地で、
敗北を勝利に変えたのだ。
おめでとう。
よくやった。
/「戦場にかける橋」より










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