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趣味は「映画と読書と音楽」と言っても良いですか? vol.202 映画 S・S・ラージャマウリ「マッキー 」

こんにちは、カメラマンの稲垣です。

今日は映画 S・S・ラージャマウリの「マッキー 」(2012/インド)についてです。

はい、インド映画です。歌って踊って荒唐無稽な楽しいインド映画のイメージがありますが、これはそのまた斜め上をいく、ハエに生まれ変わった男が自分を殺した人間に復讐する話。

インド映画はやはり「ムトゥ 踊るマハラジャ」が最初で、歌って踊って完全懲悪エンターテイメント。「ロボット」はめちゃくちゃなSF、「きっと、うまくいく」のようなハートウォーミングで割と現実的な楽しい話もありますし、「マダム・イン・ニューヨーク」はちゃんとした社会的な作品でした。「バーフバリ」はものすごい戦争アクションです。

まだそんなに見ていませんが、インド映画は底知れないパワーとエネルギーを持っている印象です。

インド映画の芸術的な作品を撮る巨匠サタジット・レイはいつか観てみたいです。
歌って踊らない静かな作品らしいです。

今作はボリウッドの王道、はちゃめちゃエンターテインメント。

主人公の青年が殺されるまでは、割と普通の恋愛映画ですが、

殺されて転生してハエになってからの復讐が、もう面白い。

ある意味青年を殺した悪者の社長が”主人公”

ずっと社長が画面に出てきて小さなハエに復讐される。

蝿が主人公なのは昔のクローネンバーグの「ザ・フライ」。

小さな蝿の視点は「アントマン」。

監督は本当にいろいろな映画が好きなのがわかります。

歌って踊るインド映画を期待しましたが、そうでなくてもずっと釘付けになるほど面白かったです。

物語は、眠れない女の子が父親におとぎ話をせがむ。父親は一匹のハエの物語を聞かせる。主人公の貧しい青年は向かいのアパートに住んでいるNGOで働いている美しい女性に恋をしていた。主人公がいろいろアタックしても彼女は相手にもしない。しかし内心は喜んでいた。

ある日彼女がNGOの資金を集めるために、実業家の社長に会いにいく。
社長は彼女に一目惚れをし、大金を寄付する約束をして、彼女と頻繁に会うようにする。

しかし社長がアタックしても彼女は相手にしない。どうやら幼なじみの貧しい青年と仲がいいことを知る。

彼女が仕事で夜遅くなりバイクがガス欠になったので、帰りを青年に送ってもらう。その道中に青年は彼女に想いを伝える。

今まで金と名誉でなんでも手に入れてきたのに、貧しい青年に邪魔をされ、怒った社長は部下に青年を拉致させ殺してしまう。

青年は死ぬ瞬間、彼女からの電話を聞き、恋の奇跡の力でハエに転生する。

社長は青年が死んで悲しみに沈んだ彼女を励まし、どんどん近づいていく。

ハエに転生した青年は、必死で社長の邪魔をしようとする。

社長はコネを使って大臣にNGOの活動の支援をさせ、彼女によく思われようとする。

ハエの青年は空港へ向かう社長の車を襲撃し、事故を起こさせ、フロントガラスに「お前を殺す」とメッセージを残す。社長は恐怖する。

青年はハエの姿のまま、必死に彼女に会いに行きなりゆきを説明し、自分を殺した社長を一緒に復讐する計画を立てる。

社長はハエの青年の妨害で次々と事業も失敗しノイローゼになって、僧侶に相談する。

すると自分が殺した青年がハエに転生して復讐をしていることを知る。

お金と部下を使って、ハエが家に入らないようにし、ハエ退治をするが、やられっぱなし。

いろいろ調べると、あのNGOの女性がハエと協力していることを知る。

彼女を屋敷に招いて、ハエの青年を誘き寄せて、殺そうとする。

壮絶な屋敷の中での戦い。

ハエの青年は追い詰められ、針で刺されて殺されそうになるが・・・。



いやいや、荒唐無稽なのに、本当に面白い。

小さい虫から見た巨大な人間の世界(アントマン的な)がとっても面白い。

ハエはCGだが、ハエの視点や悪徳社長の演技などで全面CG感が薄く、それがまたこの映画を魅力的にしている。

そしてハリウッド映画と違って、ボリウッド。そしてインド。

文化の違いがあり、お金持ちと貧しい人の貧富の差があり、恋敵を平気で殺してしまったり(あくまでも映画の中で)、全編”復讐”がテーマなんです。

でも復讐なのに、悲しさも暗さも全くないんです。

明るくポップに。

マッキーマッキーマッキー!!
マッキーマッキーマッキー!!

と言う歌と共に、ハエがとことん悪徳社長をやっつける!

もちろんこれは映画です。そしてエンターテインメントです。

これが全てインドをあらわしている訳ではありません。

ただ感覚的にインド映画からインドの文化や雰囲気をつかむのは良いですね。

今日はここまで。




その通りです。CGというのは、まさに物語を伝えるためのツールなんです。CGを使うと、“CGを使った映画”というジャンルがあるかのように捉えられがちなんですが、それは間違っていると思います。CGというのは話を伝え、解釈し、まわりの人に分かりやすく翻訳するためのツールであるのだとわたしは捉えています。
/S・S・ラージャマウリ




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