趣味は「映画と読書と音楽」と言っても良いですか? vol.124 映画 山田洋次「男はつらいよ 寅次郎と殿様」
こんにちは、カメラマンの稲垣です。
今日は映画 山田洋次の「男はつらいよ 寅次郎と殿様」(1977/日)についてです。
男はつらいよシリーズ。自分の中で26本目。全部で50本あるのでちょうど折り返しの一本目になる。
割と名作から観ているので、段々と残ったのは普通の作品になっていくが、それでもシリーズの良さがわかってきて楽しい。
今回は殿様?!昭和の時代にお殿様なんて有り得ませんが、殿様の子孫との話なのでそのギャップがとても面白い。
寅さんと離れてれば離れているほどその面白さが際立ちます。
その殿様役にサイレント時代から昭和初期に時代劇ヒーロー鞍馬天狗を演じた嵐寛寿郎、通称アラカン。
その殿様の侍従を演じたコメディアン役者の三木のり平。
この二大役者を迎えて、抱腹絶倒のお話。
今回のマドンナは真野響子さんで艶のある美しさですが、今回ばかりはマドンナと寅さんではなく、殿様との話がメインになる。
なんだかんだわかりやすく記憶に残る作品でした。
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物語は、寅さんが旅先の旅館で訳ありの女性、真野響子さんに親切にする。
翌日街角で老人と知り合い、家に招待される。
街を老人と一緒に歩いていると、街の人々が頭を下げて不思議に思う。
実は殿様の子孫だった。
屋敷で散々美味しい料理を頂き、ざっくばらんな寅さんを殿様は気に入り、
殿様の亡くなった次男の話をする。
その次男には「まりこ」という嫁がいたが、その結婚を身分違いとして認めず勘当してしまった。今は反省してその女性に会って謝りたい。
寅さんに東京に帰ったら彼女を探してくれと依頼する。
寅さんは東京に帰ってきたがすっかり忘れて日々の生活を送っていたところ、その殿様がわざわざ東京にやってきて女性は見つかったかと催促する。
寅さんは「東京のまりこ」という情報だけで探すが見つからない。
ある日旅館で声をかけた女性が虎屋に尋ねにきた。
彼女の名前が「まりこ」で殿様と同じ故郷、夫と死に別れたと聞いて、
散々探していた女性が彼女だとわかり、
虎屋に駆けつけた殿様は彼女に感謝の気持ちを伝え、亡き息子、亡き夫の話をしながら、心を通じ合わせる。
案の定、寅さんはその女性に惚れる。
殿様は亡くなった息子の嫁に一緒に屋敷で住もう、そして寅さんと結婚してほしいと手紙を寄越す。
大喜びの寅さんはさくらに彼女の気持ちを聞いてくれと頼むが、彼女は再婚を考えている会社の同僚がいると聞く。
また振られてしまった寅さんはそれでも亡き夫の思い出を大事にする彼女の気持ちを理解できる男が自分以外にいるだろうかと未練を残す。
また寅さんは殿様にますます気に入られ、殿様の侍従に追い回される。
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老人と死んだ息子の嫁という間柄、
家族のようでもあり他人のようでもあり、微妙な関係性。
小津安二郎でも散々描かれたお話を、寅さんと殿様という笑いの中で、しっかりと描いている。
縁側で仲良く話をする二人、荒川の土手を寄り添って歩く二人は美しい。
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そして何と言っても嵐寛寿郎と三木のり平との絡みは最高。
世代的にあまり作品を知らない役者さんですが、桃屋のCMは有名ですね。
コメディアンの芸の極みを見せてくれました。
殿様の嵐寛寿郎が侍従の三木のり平に腹を立てて床の間にある刀を取り出し、
寅さんが殿様をはがい苛めにして「殿中でござるぞ!」と叫ぶ。
侍従は「殿、乱心でござるぞ」と言いながら廊下に逃げ「宮仕はつらいねえ」とぼやく。
もうこの映画で一番の見せ所で大笑い。もうこのシーンだけで文化遺産級。
そう今作はマドンナとの恋は置いておいて、偉大な俳優さん、偉大なコメディアンと寅さんとの共演が印象に残りました。
今日はここまで。
「一目お会いした時から、わたしにはよく分かりました。あなたがそばにいてくださって、克彦はどんなにしあわせ…」
「お父様、あたくしもね、...あたくしも幸せでしたよ」
殿様と亡き息子の嫁と初めて会うシーン。
/「男はつらいよ 寅次郎と殿様」より
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