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趣味は「映画と読書と音楽」と言っても良いですか? vol.353 読書 酒井 順子「家族終了」

こんにちは、カメラマンの稲垣です。

今日は読書 酒井 順子さんの「家族終了」についてです。


酒井順子さんの家族について考えられたエッセイ。

酒井さんご自身の家族についても正直にあからさまに書いてあり、イメージと違った家庭環境に驚きました。

酒井さんは事実婚で独身でお子様もいなく、ご両親もお兄さんも亡くなられて、自分の代で酒井家はなくなるということからこのエッセイは書かれたそうです。

生まれ育った家族を「生育家族」、結婚して作った家族を「創設家族」。

その両方の”家族”の構成人がなくなり、この題名通り「家族終了」となられました。

いつも酒井さんのエッセイは毒を含みつつ、楽しいものが多かったですが、

今回のこのエッセイは、酒井さんのプライベートを結構正直に語られ、そしてシリアスな日本の家族問題について考察していきます。

その意外性にドキドキしながら、このテーマに真剣に向かい合っている酒井さんの勇気に感動しました。

彼女の筆力なら、自分のことをあまり書かずとも客観的にも面白く書けそうなところをあえて自分の家のことを書いています。

普通の家庭ではなく、ちょっと問題がある家庭でした。

昭和な感じのお父様、自由なお母様、そのお母さんが外で恋人を作り家庭は崩壊寸前だったと。

今でいう毒親のような感じですが、酒井さんはギリギリ毒親とは言わず、母は女であったと言うところが読んでいて辛かったです。

酒井さんの本はよく読んでいますが、ここまで自分のトラウマを語られたのは初めてかもしれません。

その因果関係はわかりませんが、「生育家族」が崩壊したので「創設家族」に躊躇なさっているのも容易に推測もできます。

そう言うご自分のことを話され、そして日本の家庭の問題にも鋭く切り込んでいきます。

目次は

1、パパ、愛している
2、我が家の火宅事情
3、「嫁」というトランスフォーマー
4、自分の中の祖母成分
5、生き残るための家事能力
6、家庭科で教えるべきことは?
7、心配されたくて
8、修行としての家族旅行
9、呼び名は体をあらわす
10、長男の役割
11、お盆に集う意味
12、親の仕事、子供の仕事
13、世襲の妙味
14、毒親からの超克
15、「一人」という家族形態
16、擬似でも家族
17、事実婚ってなあに?
18、新しい家庭

家族についての問題ってここまで広くあるんだと改めてわかりました。

多様化する家族の形態。

今まで普通とされてきた、家族が仲良く暮らしそこで育ち、結婚して子供ができてと言うこと。

家族がいて当たり前ではなくなった。

その事実を淡々と冷静に語られます。

家族がいなくても天涯孤独でも、それでも良いのだ言う希望も感じられる最後でした。

家族でなくても事実婚や友達と暮らしたり。

そう家族というしがらみから自由になれるのもまた悪くないかもと思いました。

今日はここまで。




さらに根源にあるものは、嫁と姑は「同じ男を愛する二人の女」である、ということでしょう。とても下品な書き方で恐縮ですが、姑は「この男を私は自分の股から出した」という自負を持つ。対して嫁は「この男を、私は自分の股に迎え入れた」という自信を持つ。股から出した方か入れた方か、男が引き裂かれることになります。
/P.59 「家族終了」より





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