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趣味は「映画と読書と音楽」と言っても良いですか? vol.118 映画 アントワン・フークア「マグニフィセント・セブン」

こんにちは、カメラマンの稲垣です。

今日は映画 アントワン・フークアの「マグニフィセント・セブン」についてです。

もう題名の数字から分かる様に黒澤の「七人の侍」(1954年)を元に作った西部劇「荒野の七人」(1960年)のリメイク。

町を救う七人のガンマン。主人公に賞金稼ぎのデンゼル・ワシントン、ギャンブラーにクリス・プラット、元南軍狙撃手にイーサン・ホーク、ナイフ使いにイ・ビョンホン、敵の悪徳実業家にサースガードと有名どころの俳優が勢揃い。

アントワン・フークア監督は「トレーニングデイ」や「イコライザー」でデンゼル・ワシントンとよく組んでいる。

もうハリウッド映画のお得意の西部劇で、スターもたくさん、特に大好きなデンゼル・ワシントン、お金もかかっている、そして安心の「荒野の七人」のリメイク。

逆に安心過ぎて、あまり観る気がしなかったが、テレビ放送でやっていたので軽い気持ちで観たら、面白過ぎてそのまま一気に見てしまいました。

まず映像が重厚感があって抜群に良い、そしてキャラ立ちしている良い役者が揃っている、今風のアレンジ(人種の多様性、PTSD)も加え、そして七人の侍、荒野の七人のスピリットをちゃんと受け継いでいる。

こういうリメイクはどんどんして欲しい。

物語は、アメリカ西部時代、小さな田舎町は荒くれ者を従えた悪徳実業家に支配され町の住人は安いお金で土地を奪われようとしていた。

反抗する町の人は荒くれ者に射殺され、教会に火をかけられてしまった。

夫を殺された女性が、賞金稼ぎ(デンゼル・ワシントン)のところへやってきて町の人の全財産を渡し町を救って欲しいと依頼する。

彼女の熱意と復讐を聞き、賞金稼ぎは仲間を探す。

まずは酒場にいたギャンブラー(クリス・プラット)、元南軍狙撃手(イーサン・ホーク)、アジア人のナイフ使い(イ・ビョンホン)、ハンター(ヴィンセント・ドノフリオ)、メキシコ人の賞金首(マヌエル・ガルシア=ルルフォ)、インディアンの戦士(マーティン・センズメアー)

ワケありの凄腕の七人が揃う。

七人が街へ到着すると悪徳実業家たちの部下をあっという間に倒し、町の人は驚く。

ただ悪徳実業家は200人の部下がいて数日で町へ戻ってくる。

頼りない町の住人に射撃を教え、バリケードや罠を用意して、敵の襲来を待つ。

そしてついに200人の敵のガンマンが襲ってきた。



さすがリメイク、あの面白い七人の侍や荒野の七人の物語とほぼ似ている。

黒澤の七人の侍は仲間を探すところに映画の半分を使っているが、そこはハリウッドなので割とあっさり探して、戦いのシーンに力を注いでいる。

まあ自分はあの丁寧に探していく過程が好きなのですが、まあハリウッドではそういう退屈なシーンはカットされてしまうのでしょう。

この作品では、やはり200人のガンマン対7人+町の人の戦いが見もの。

人数的には敵わないので、いろいろな罠や仕掛けをして戦うのが面白い。

このまま勝てるかなと思いきや、敵側に機関銃のガトリング砲が出てきて形勢逆転。

このガトリング砲が物凄い威力で、今までたくさん映画に出てきたが、ここまで悪魔の兵器のような扱いはなかった。



印象に残るのは用心棒に依頼していく夫を殺された女性。

彼女が一人用心棒を探し、一緒に戦い、ラストも彼女のモノローグで締める。

ここは七人の侍ではリーダーの志村さんが語るが、あの有名な台詞「今度もまた負け戦だったな 勝ったのはわし達ではない あの百姓達だ」

あの農民のしたたかさは今回の町の人間にはない。

ただこの女性だけは一人強かった。

そう”女性の時代”ということもこの映画は取り入れている。

そしてとっても凛とした美しさが忘れられない。

黒人、メキシコ人、アジア人、インディアン、ギャンブラー、PTSDを持った人、狩人、の七人、そして女性。

マイノリティーが、拝金主義と戦う!

いかにも今時のアメリカらしい映画でした。




「炎で失ったものは、灰の中にある」
/「マグニフィセント・セブン」より
伝説の狙撃手グッドナイト・ロビショー(イーサン・ホーク)が言う台詞














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