趣味は「映画と読書と音楽」と言っても良いですか? vol.071 読書 佐々木譲「ベルリン飛行指令」
こんにちは、カメラマンの稲垣です。
今日は読書 佐々木譲さんの「ベルリン飛行指令」についてです。
太平洋戦争前夜、零戦を東京からベルリンまで極秘で移送する冒険活劇!
作者は佐々木譲さん。警察小説の第一人者だが、冒険活劇も滅法面白い。
第二次大戦三部作「ベルリン飛行指令」、「エトロフ発緊急電」、「ストックホルムの密使」が特に有名。
「エトロフ発緊急電」は以前読んで日本に潜入するスパイ活劇でとても面白かったです。
今回は零戦。零戦って単なる戦闘機だけでなく日本人にとってちょっと特別な伝説の飛行機。
零戦が出てくるだけでテンションが上がります。
そんな零戦をなんと極秘でベルリンまでユーラシア大陸を横断して運ぶ計画が実行される!!!
もう面白くないわけがありません。
映画化しても良いほど、物語は世界を股に掛けて壮大です。
2名のパイロットの人間ドラマ、地上で補給基地の候補を探す人たち、日本でこの計画を練る軍人たち、
いろいろな困難をくぐり抜けてベルリンへ!
読んでいる最中、あれ?これ実際にあったのと思ってしまうほどのリアリティです。
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物語は、欧州戦線でドイツは英国の戦闘機スピットファイアに苦汁をなめていた。
そんな中三国同盟を結んだ日本で画期的な戦闘機が開発されたという極秘情報がドイツにもたらされた。
驚異的な航続距離、抜群の運転性能を誇る新型戦闘機、それだけ長い距離を飛べるならドーバー海峡も越えてロンドンへ攻められる。
その戦闘機の名前はタイプゼロ。零戦。
ドイツは日本にライセンス生産するために2機の機体を運んで欲しいと打診する。
日本側もライセンス生産による軍費や三国同盟もあるので、承諾し、日本海軍の指折りのパイロットを探す。
その2名に選ばれたのは上官と問題を起こした札付きのパイロット安藤と乾。
問題児だが海軍一の凄腕。
ただくさっていた二人はその無謀な計画だからこそ、夢や生きがいを感じ、飛行計画に挑むことを決心する。
飛行機の整備やパイロットの訓練だけでなく、地上でもユーラシア大陸を横断するにあたって、何箇所か降りて、休憩と給油しなくてはいけない。
その候補地を探しに、中国やインドやイランなどへ交渉にもいく。
そしてついに計画が実行され、飛行機はベルリンへ飛び立つ。
ここまでで半分ぐらい。
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もう映画を見ているような冒険活劇でワクワクして数日ほどで読んでしまいました。
もちろんこれは空想の話ですが、もし本当に零戦がドイツに行ってライセンス生産されたらどうなっていたでしょう。
ただ、ドイツの戦闘機はメッサーシュミットやフォッケウルフなど、頑丈だそうです。
かたや零戦は航続距離や運動性能はいいけど、ほぼ防弾ゼロのような軽い機体。
全く設計思想が違い、多分実戦では使えなかったのではと言われています。
実際にあった歴史的事実と想像の物語がミックスされる作品ってとてもリアリティを感じて好きです。
「イサック」という漫画で日本の火縄銃の名手の侍が西洋に行って活躍する話がありますが、
原作者にインタビューで聞いたとき1つの大きな嘘をついて、あとは徹底的に細部をリアリティに描くと言っていたのを思い出しました。
まさに今作もそう。
細部が徹底的にリアルに描写されているので、本当に零戦がベルリンに行ったのではと思ってしまいました!
今日はここまで。
「いつでも離陸できますが、ご指示をいただけますか」
「わたしたちのことはかまうな、貴様たちが頃合いを見計らって飛べばいい」
「では、すぐにでも」
「吉報を待つぞ」
「楽しみにしていてください。副官はこの計画にわたしたちを選んだことを、後悔することはないはずです」
「相変わらずの自信だな」
「自分の値打ちを知っているだけです」
/P.362「ベルリン飛行指令」より
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