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趣味は「映画と読書と音楽」と言っても良いですか? vol.356 読書 ジェフリー ディーヴァー「クリスマス・プレゼント 」

こんにちは、カメラマンの稲垣です。

今日は読書 ジェフリー ディーヴァーの「クリスマス・プレゼント 」についてです。


「リンカーン・ライム」シリーズのミステリー作家ジェフリー ディーヴァーの短編集。

題名は「クリスマス・プレゼント」、リンカーン・ライムの短編が入っていてクリスマスに事件の相談があると言う話。だからこの邦題に。

けど原題は「Twisted」。(ねじれた、よじれた、ひねり)まさに、この短編集は全部”ひねり”、どんでん返しが入っている。


ディーヴァーといえばどんでん返しの名手なので、それを短編でもお気楽に楽しめる。

長編ではその仕掛けのためにいろいろと方法はあるでしょうが短編だと相当テクニックがないと難しいでしょう。

読んでいて、やっぱりこの人は上手すぎる!と感心しました。

そうこの短編集はディーヴァーの「Twisted」(ひねり)を楽しむ作品。

それも16編もある。

ある意味、小説を書く技法の超絶テクニック集と言っても良いかもしれません。

ただ「ミスリーディング」という手法を連発し過ぎているようなw


簡単にあらすじを。
ただネタバレにしてしまうと面白くないので、説明は難しいがやってみます。
「ミスリーディング」は読んでいるとわからないけど、実は書いていないことが最後にわかって大どんでん返しになる手法なので、そのパターンが半分ぐらいある。

「ジョナサンがいない」
夫を亡くした女性が彼との思い出に苦しんでいる。しかし最近一人のハンサムな男性と知り合うように。しかしその男は殺人鬼だった。彼女は大丈夫なのか・・・。
「ウィークエンダー」
簡単な強盗のつもりがドジな相棒のおかげで必要がない人間まで殺してしまうことに。人質をとって逃避行。その人質は巧みに自分を解放するように説得するが・・・。
「サービス料として」
精神科医の主人公は、お金持ちの神経症ではなく、重症な精神病の患者を治療をしたいと思っていた。そこである重症な患者と出会う。彼女は夫を殴り殺してしまう。
「ビューティフル」
物凄い美貌の持ち主、ストーカーに狙われて転々と居場所を変える日々。
逃げて逃げても追ってくる。彼女はついに最終手段を実行するその方法は・・・。
「身代わり」
ある女性は強盗に襲われたところを前科者の男性に助けられる。彼女は彼と仲良くなり、自分の夫を殺してくれるように頼むが・・・。
「見解」
保安官助手の2人は強盗殺人事件の目撃者である元同級生から証言を得ようとしていた。その目撃者は昔いじめていた人間で、今回も無理やり証言させようと目論んだが・・・。
「三角関係」
その女性は一緒に暮らす男がいるが、他の男性とも会っています。
他の男性は友達といいながらその嘘はわかっていて、男はある計画を立てます。
他の男性と一緒に過ごすときに銃を向けます・・・。
「この世はすべてひとつの舞台」
シェイクスピアの時代。自分の父親が殺されてその復讐のためにシェイクスピアの芝居を使って復讐を果たします。裁判では劇の練習中に誤って事故死したと。
「釣り日和」
幼い娘が心配して今日は釣りに出かけないでと、最近殺人事件が頻発しているから。優しく娘を宥め、釣りに出かける父親。その釣り場所に一人男性がいた。
「ノクターン」
ある音楽家のものすごく高価なバイオリンを盗まれた。その場所に居合わせた警官は、犯人を突き止めるがまだ若い少年だった。
「被包含犯罪」
有罪が確実な裁判。その被告人はものすごく優秀な弁護士を雇い、無罪にされてしまう。最後に検事はある質問をする。その質問こそが・・・。
「宛名のないカード」
自分の妻が浮気をしているのではと思い詰めるようになった夫。ある日とうとう夫は我慢の限界が来て・・・。妄想なのか計画なのか
「クリスマスプレゼント」
四肢麻痺の探偵「リンカーン・ライム」のスピンオフ。
クリスマスの日、少女が自分の母親が行方不明になって探して欲しいとライムに頼む。いつものメンバーで捜査を開始するが・・・。
「超越した愛」
ある男が語り出す。親の反対で引き裂かれた恋人同士の話を。
実は・・・。
「パインクリートの未亡人」
夫を亡くし会社を受け継いだ女性。会社経営がうまくいかず、そこへ経営に詳しい男性と知り合う。優しく相談に乗っていたが・・・。
「ひざまずく兵士」
自分の娘がストーカーに付きまとわれて、娘を救おうとする父親。
しかし何者かにそのストーカーが殺されてしまう。自分は殺していなく無実なのに
刑務所に送られてしまう。犯人は・・・。

短編って気軽に読め、その作家の別の側面も見れて面白いことは確かです。

長編ではできないような実験的なこともできますし、最後に悪が勝つなんて事も可能です。

大好きな作家さんは、長編と短編を読みたいですね。



今作はリンカーン・ライムのスピンオフが目玉だと思うので、この邦題だと思うが、他の作品も結構面白かったです。

ただ面白く、テクニックはすごいと思うが、それだけのような気もする。

深い味わいはやはり長編でしか感じられない。

けどちょくちょくこういう短編を発表してもらい、小説を書く人にとってとても勉強になるので、ぜひまた短編集を発表して欲しいです。

今日はここまで。



短編小説は、たとえるなら、狙撃手の放った銃弾だ。速くてショッキングなものだ。そこでは、善を悪として、悪をさらなる悪として、そして何より痛快なことには、究極の善を究極な悪として描くことさえできる。
/P.10 「クリスマス・プレゼント」ジェフリー ディーヴァーより








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