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趣味は「映画と読書と音楽」と言っても良いですか? vol.226 映画 山田洋次「男はつらいよ 寅次郎サラダ記念日」

こんにちは、カメラマンの稲垣です。

今日は映画 山田洋次の「男はつらいよ 寅次郎サラダ記念日」 (1988/日)についてです。


男はつらいよシリーズ第40作目。自分は観た今シリーズ42作目。

シリーズも後半。観ていない作品もあと8本。

寅さんもだいぶ歳だが、今回は自分の恋もあり、若者の恋もあり、満男への素晴らしいアドバイスもあり、このシリーズの後期の中でも結構印象に残る作品でした。

そう後期は寅さんも歳を取り、元気に喧嘩したり走り回ることもなくなり、自分の恋より若い人の恋のアドバイス、なので今ひとつパンチがある作品は少ない。

ただその中でも今作は好きな作品だ。

マドンナは三田佳子。女医さんがとっても似合う。

そして女医さんの姪(三田寛子)が通う早稲田大学で寅さんが人騒動起こす。

偶然知り合ったお婆ちゃんとの話も考えさせられる。

当時流行った「サラダ記念日」を映画の中に取り入れたのは良かったのか悪かったのか微妙なところ。

微妙だけど、その時代を表すものとしては良かったのかもしれない。



物語は、信州で一人暮らしのお婆さんと出会い、一晩泊めてもらい楽しい晩を過ごす。。

次の日そのお婆さんの主治医(三田佳子)が迎えに来るが、病院ではなく家で死にたいと言う。

寅さんも付いて行くと言うので、お婆さんも納得して病院に入院する。

女医さんはお礼を言い、寅さんと仲良くなる。

ちょうど東京から大学生の姪(三田寛子)が遊びにきて、短歌の話題や大学の話で三人盛り上がる。

東京に戻った寅さんは早稲田大学に姪の子を訪ねてくるが、ひょんなことから授業に出てしまい、寅さんの面白い話で講義以上に盛り上がる。

女医さんが母親に預けた息子に会いに東京にやってきて、寅さんに会いに家族と一緒に柴又へやってくる。

くるまやでお婆さんとの話や、女医さんの思い出話などを聞き、駅の帰り際で女医さんの思いを聞く。

「寅さんと話してるとね、私が一人の女だということを思い出すの」

数日後、信州から入院したお婆さんの容体が悪くなったたと女医さんから連絡がある。

姪とその恋人の男の子と寅さんは車で駆けつけるが、一足遅くお婆さんは亡くなっていた。

家で死にたいと言っていたお婆さんの願いを叶えてあげれなく女医さんは寅さんの肩で泣く。

しかし寅さんは女医さんを支えられる男は物事を筋道立ててちゃんと考えられる人物だと思い、それは自分ではないと感じ、去っていく。

姪の子の短歌が素晴らしいので博は自費出版で短歌集を作ってあげる。
その本の題名は「サラダ記念日」。



老婆、女医、姪、短歌、早稲田大学、満男と結構手堅く面白い物語で、記憶にも残る作品でした。

特に早稲田大学のシーンはとても印象深いです。

リアルに早稲田で撮影していて、姪の女の子を探しに大学に来て、この教室に待っていれば来るよと言われ寝ていたら授業が始まってしまい。

先生に当てられたら寅さんの方が授業より面白い話を始めて生徒も全員話に夢中になる。先生まで感心して話を聞く始末。

その内容が、授業が産業革命が蒸気機関を発明したワットから寅さんの知っているワット君の話になり、第20作で中村雅俊演じるとらやの下宿人ワット君がガスで自殺未遂を図りとらやの二階が大爆発してしまう騒動の話。

あのとらやの大爆発のシーンはよく覚えています。

シリーズならではの楽しいシーンですね。

そして今作で一番良かったシーンは荒川の芝生で満男が寅さんに大学への進学の相談をします。

満男「大学へ行くのは何のためかな?」
寅「決まってるでしょう?これは勉強するためです」
満男「じゃ、何のために勉強するのかな?」
寅「え?そう言う難しい事は聞くなって言ったろう」
寅「つまり、あれだよ、ほら、人間長い間生きてりゃいろんな事にぶつかるだろう。な、そんな時オレみてえに勉強してない奴は、この振ったサイコロの出た目で決めるとかその時の気分で決めるよりしょうがないな。

ところが、勉強した奴は自分の頭で、キチンと筋道を立てて、
はて、こういう時はどうしたらいいかなと考える事が出来るんだ。
だからみんな大学行くんじゃないか、そうだろう。
ち、久しぶりにキチンとした事考えたら頭いたくなっちゃった」

もう最高のアドバイスです。

そうか勉強ってそういうためのものなんだ。

物事自分の頭で考えず、気分で決めていたな〜。

もう少し早くこの映画見ていれば良かったです。

1988年の作品だから自分が18歳の頃、受験に失敗して浪人していた頃。

寅さんはフーテンの人生を生きてきた男だからこそ、女医さんを支えるのは筋道を立ててちゃんと自分で考えれる人間こそがふさわしいと、相思相愛だったのに、退いてしまいます。

甥の満男には自分と同じような人間になるなと散々言い聞かせます。

けど、筋道立てなくても皆寅さんのことが好きですけどね。

今日はここまで。



寅さんが 「この味いいね」と言ったから 師走6日はサラダ記念日
/短歌の好きな女医の姪が歌う「男はつらいよ 寅次郎サラダ記念日 」より

本家の俵万智の歌は
「この味が いいねと君が 言ったから 7月6日はサラダ記念日」


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