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趣味は「映画と読書と音楽」と言っても良いですか? vol.314 読書 酒井順子「容姿の時代」

こんにちは、カメラマンの稲垣です。

今日は読書 酒井順子さんの「容姿の時代」についてです。


酒井順子さんの”容姿”についての辛口な鋭いエッセイ。

今回のテーマはもう酒井さんにとってものすごく得意分野。

もう切れ味抜群すぎて、最初は笑って読んでいましたが、途中でちょっと怖くなるほど、男の自分にはちょっと引いてしまいそうなぐらい。

でもその的確な指摘が、女性を知るには大変勉強になりました。

男に生まれて良かったと思う反面、美人の気持ちも一度は味わってみたいと思いました。

カメラマンの仕事柄、容姿に優れている女優さんやモデルさんを撮影しますが、
皆自分は美人だとは絶対言いません。

「そんな、私なんて普通です。」「この部分はコンプレックスなんです。」など。

でも言葉には表さない、絶対的な自信は滲み出て、またその姿勢や瞳の力はより美しく感じてしまいます。

美人ってなんでしょうね。

人を惹きつける力を持っていることでしょうか?



このエッセイは着衣篇と脱衣篇と2つに分かれています。

着衣篇(OL、ヤンキー、ユニクロ、スーツ、パーティー、制服、着物、おたく、「かわいい」、ダサい)

脱衣篇(脱衣場、下着、おばさん、身長、化粧、整形、足、女性誌、美人)

全部面白いですが特に印象的なのは脱衣場。

そこまで観察している酒井さん凄すぎます。

脱衣に出る知性w

脱ぎ方に出るんですか!

そして「でも私は全く見ていませんし、見たいとも思っていません」というフリをし続けるためには、独特の身と目のこなしが必要になってくる。というところは笑いました。

確かに裸になると地位や名誉もなくなり、本来の人間としての存在価値が出ますよね。

年齢や健康や強さなど。

見てはいけないマナーだけど、皆見ているw

人は様々な裸を持ち、様々な脱ぎ方をし、そして様々な照れ方をする。更衣室や脱衣所といった場所は、それらのことを知って、認めて、無視する訓練の場ともいうことができましょう。

確かにこういう訓練は社会に出るには必要ですね。まあ学校やスーパー銭湯で覚えるのでしょうね。



整形、なぜ女性は整形した人をほっとかないのか。

「女性特有の「嘘をそのままにしておくのは耐えられない」という潔癖さ故のものだと思うのです。」
そうなんですか?

「特に女性の場合は直接「得」に結びつくような同性の嘘に対しては、非常に厳しい目を持っています。」
なるほど。



などなど。



もう読んでいて面白やら怖いやら。

ちょっと生々しいですね。

女性の感情の本心や裏側を知ったようで。

人は見た目ではない、というキレイごと言っても、やはり見た目がいい人が得をしていることは皆女性は知っているというところが一番怖いし、納得しました。



昨今セクハラに気をつけなくてはいけない時代で、人の容姿について発言しないのが常識になっています。

可愛い、美しい、キレイ、美人とかも気をつけなくてはいけません。

そう容姿について発言するのはタブーなんです。

でもこの酒井さんのエッセイを読むと、容姿についてものすごくこだわり、女性たちは容姿を綺麗にするためにとことん努力をしていることもわかります。

努力じゃなくて楽しんでいる人も多いですね。

ファッションやメイクやダイエットなど。

容姿について、発言を気をつけないといけないですし、それで判断してはいけませんが、でも容姿についてすごく女性は意識していることを知れただけでもこの本を読んで良かったと思います。

今日はここまで。




P.219 なぜ、女性は肉体的に美点に気づいていないふりをしなくてはいけないのか。その理由を、本当は私は知っているのです。すなわちそれは、
「女子にとって最も重要なものは、容姿だ」
ということを、非常に多くの人が心の底で信じているからなのではないのか、ということ。















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