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趣味は「映画と読書と音楽」と言っても良いですか? vol.011 読書 佐々木譲「暴雪圏」

カメラマンの稲垣です。

今日は小説 佐々木譲さんの「暴雪圏」についてです。

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佐々木譲さん、今一番ハマっている作家の一人です。

これからも彼の作品をたくさん読む予定です。

警察小説の第一人者、シリーズものもあり、後スパイものだったり、時代劇もあるそうです。

簡潔な文体で、内容が警察もの犯罪ものなので、ハードボイルドな印象があり読んでいてかっこいいです。



今作は警察小説でこれの前に「制服捜査」と言う作品があり、それの続編らしいです。

まあただこれはこれで独立して作品になっていると思います。

大吹雪の中で繰り広げられる犯罪群像劇。

映画でも嵐、台風、火山、雪など人間には立ち向かえない自然災害が舞台の作品っていっぱいありますよね。

まさに今回の主役は猛吹雪。

北海道出身の佐々木さんならではの徹底的にリアルで強烈な雪を描いています。

数センチであたふたしてしまう東京都は全く別世界。

ちょっとでも道に迷ったら命に関わる雪!もう読んでいて怖くて苦しくて北海道半端ないなと思いました。

昔冬に仕事でトマムに行った時、夜中電車を待つ駅で猛吹雪が吹いて、ホームに立てず階段でガクガクしながら待ったことを思い出しました。

そんな恐ろしい雪が舞台。



物語は、北海道に猛烈な吹雪が近づいてきた。

駐在所の警察官は雪に警戒しながら街の安全を守ろうとしている。

ただ街にはたった一人の警察官しかいない。

近所の町の人の手助けを頼るしかない。

その街で、いろいろな人間が間違えを起こそうとしていた。

ある人妻は不倫関係を清算しようと愛人を呼び寄せ殺そうと考えていた。

強盗犯はある暴力団の金庫を狙っていたが弾みで組長の奥さんを殺してしまった。

女子高生は自分に手を出す義父から逃げようと家出する。

会社員は会社のお金をもち逃げようとしていた。

一つ一つバラバラの出来事が、猛吹雪の中、あるペンションに次第に結ばれていく。

その時駐在さんは一人でどう街の安全を守っていくのか?



まるで自然災害パニックものと犯罪ミステリーがミックスされたような作品で抜群に面白い。

また人間はこう言う猛吹雪の極限状態の中、その人の本性が浮き彫りになりそこが興味深い。

まあ、作り込んだというか劇場型というかまさに上手な犯罪小説を読んでいるようで、

登場人物は全員ペンションに集まるなんてあり得ないけど、ちゃんと雪のせいで理由や筋は作られている。

昔のクリスティーなどの密室劇の要素もある。

とにかく面白いエンターテインメント犯罪小説でした!

今日はここまで。



欲深き人の心と降る雪は、積もるにつれて道を失う/高橋泥舟










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