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カナダ公立高校進学に向けて① 「『高校』ってなんて言うの?」

現在13歳、中学2年生(Grade 8)の長女。日本であれば中学入学したてでもおかしくない年齢ですが、ここオンタリオ州では13-14歳で進学する高校の選択を迫られます。17歳までの4年間をどのような環境で過ごすのか、我が家は何に重きを置きどう高校選択をしたのか、順次書いていきたいと思います。まず今回はカナダ、オンタリオ州の学校制度についての簡単なおさらいです。

【 目次 】
・学年の呼称
・カナダの公立小中高校
・オンタリオ州公立小中学校
・オンタリオ州公立高校

学年の呼称

カナダには文部科学省のように国家レベルで教育を管理・運営する機関はなく、教育の管理・運営は完全な地方自治制を採っています。他の英語圏に漏れず、学年(グレード)はGrade1、Grade 2・・・Grade 12と、通しの数字で数えます。
蛇足になりますが、「1年生」、「2年生」と学年ごとの児童を総称する際の言い方は、国によって異なります。アメリカでは1st (first) Graders、2nd (second) Graders・・・なのに対し、カナダではGrade 1s (ones), Grade 2s (twos)・・・と呼びます。カナダの学校でアメリカ式に言って通じないことはありませんが、「どちらの方ですか?」という目で見られます。

カナダの公立小中高校

また、カナダにおける学年の区切りは州によって異なり、6-3-3制の日本の教育システムのようには統一されていません。そして就学開始年齢も、義務教育年数も、各教育機関の呼称も、指導要綱も、州によって異なります。

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詳細はウキペディアから引用した上記表の通りですが、見にくいので以下に西部2州、東部2州を例に挙げます。

【 ブリティッシュコロンビア州 】
小(4年間) = Primary
中(4年間) = Intermediate
高(5年間) = Secondary

【 アルバータ州 】
小(7年間) = Elementary
中(3年間) = Junior High
高(3年間) = Senior High

【 オンタリオ州 】
小中(8年間) = Elementary
高(4年間) = Secondary

【 ケベック州 】
小(6年間) = Primaire
中高(5年間) = Secondarie
大学進学準備・技術教育(2-3年間) = CEGEP (Collège d'enseignement général et professionnel)

アメリカ英語に準拠している日本で英語教育を受けた私は、「小学校は”Elementary School”、中学校は”Junior High School”、 高校は”High School”と言います。」と習ったように記憶しているのですが、見ての通り、カナダではそのような言い方をしません。

オンタリオ州公立小中学校

私達の住むオンタリオ州において、小中学校は同じElementary Schoolの管轄下にあり、小学部(Junior School)だけの学校と、小中一貫(Junior & Senior School)の学校があります。中学部 (Senior School)だけで独立した学校はないため、小学部だけの学校を卒業した生徒達は、中学からは小中一貫校へ編入します。

さらにややこしいことに、この小中学部の区切りさえも、地域によって異なります。小中は6年間−2年間の学校が多いですが、5年間−3年間で分けられている学校もあります。そのため、通っている学校次第で、同じ6年生(Grade Sixes)でも既に中学生になっている子と、まだ小学生の子がいます。

移住当初は、“Senior School”、”Secondary School”と聞いてどちらが中学校でどちらが高校なのかもピンと来ず、諸々の慣れない呼び方に困惑しました。そして後者の "Secondary School" が高校を指すと分かっても、今度は全ての高校がそう呼ばれているわけではないことに気づくのでした。

オンタリオ州公立高校

同世代ママ友の話によると、彼女達が高校生の頃は以下のような区分けがあったそう。

【 従来のオンタリオ州公立高校の種別 】
Collegiate Institute = 4年生大学進学を前提とするアカデミックな高校
Secondary School = 普通高校
Technical School = 職業訓練を目的とした専門高校

よって自分は高校卒業後に大学、短大・専門学校、就職のどの道を選ぶのか、13歳にしてある程度イメージして高校選びをするという、ドイツやオランダに似たシステムだったそうです。

ですが時代は変わり、これら3種類の高校間でカリキュラムの均衡化が計らたようです。現在では、前身がどのタイプだった高校へ進学しようとも、基本高校卒業後の自分の希望進路に適したコースが多くの高校で選択可能となっています。

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上の世代の人達には「優秀な子はみんな”Colligiate Institute”へ行くのよ。」「“Technical School”は職業訓練校だから大学へは進まない前提でしょ。」などと言う方もいまだにおられます。こうした誤解やステレオタイプは年配者から完全に払拭できていない様子。
そしてそれを熟知している進路指導カウンセラー。「高校の名称は形骸化しており、今では何の意味も持っていません!すべての高校は同列、どこを卒業しても付与される高校修了証書(ディプロマ)はみんな同じです!!親や祖父母の言うこと、名称などに捉われて高校選択をせず、ちゃんと自分で高校見学へ行って、その学校の中身を見て判断するように!!!」と声を大にしておられました。

さらにブランディングからなのか、高校名を変える学校も現れています。旧来からの"Collegiate Institute",  "Secondary School", "Technical School" に加え、今では "Academy""High School" という呼称を冠する公立高校も出てきています。そして、これらすべてを含む「高校」を総称して高校全般を指し示したい時は、カナダ人でも結局、アメリカ流に”High School”と言っているのでした。

こうしてようやく大枠が分かったところで、次は具体的に高校探しです。

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