見出し画像

全国のダイバーシティ担当に伝えたい!女性管理職100人にインタビューしてわかったこと(Vol.4)

今回は「企業における、女性活躍推施策の取り組みの変化」について
考えてみたいと思います。
(いつになったらタイトルの女性管理職インタビューの内容に行き着くの~!?という声が聞こえてきそうですが、前提情報は今回が最後です。
もう少しお付き合いください!)

以前、女性活躍の現状で触れましたが、企業における女性の就業状況は
ここ10年で劇的に変化しています。

それに伴い、企業のダイバーシティ施策も大きく変化しています。
こちらはリクルートHCソリューショングループによる「実践ダイバーシティマネジメント」という本の中でフェア×ケアマトリックスとして紹介されている図です。
ダイバーシティとして取り組むべき領域がとても分かりやすく示されている概念図なので、私もこちらのマトリックスをお借りして説明したいと思います。

日本における女性活躍推進の現状

元々女性が職場に少ない時代、企業は出産による女性の退職を防ぐためのケア、つまり母性保護を目的とした両立支援施策を整えることに力を入れてきました。
育児休業制度の取得促進や育児休業期間を3年にしてみたり、残業免除や短時間で働けるといった時短勤務制度を整える企業も増えました。いわば「働きやすさ」を重視した取り組みです。
まだまだケアの部分に課題が残る企業が大半ですが、大手企業を中心に両立支援施策が行きわたり、女性の就業継続率が向上してきた今、課題はフェアに移ってきています。
フェアは男女差なく公平な就業機会が与えられるということ
つまり重要な仕事が任され、成果が評価され、昇進昇格につながるという「働きがい」につながる部分です。

弊社で運営するワーキングマザー専門の転職支援サービス「ママリブラ」への登録者でも、このフェアの問題で悩み、登録する人が増えています。

例えば時短勤務で働かせてもらってはいるけれど、アシスタント的な仕事で終始してしまっている、何年も配置転換がないなどのいわゆる「マミートラック」で悩み、転職を考えるケースです。
ケアが整っていない会社に就業している方からすれば、贅沢な悩みかもしれませんが
果たして、働いてさえいられれば良いのでしょうか。

弊社に登録いただいた転職希望者からはこんな声が聞こえてきます。
「今の会社は制度が整っていてママ社員に優しい会社であることはわかっているんです。
でも、産前とは違う補助業務にまわされて、もう何年も給与が変わっていません。
正直、かわいい子供を預けてまでやる仕事なのかなって。
わがままを言っているのかもしれないですが、ちゃんと会社から必要とされて、自分のキャリアを築ける仕事をしたいんです。」
この声を、彼女たちの「ワガママ」で片づけて良いのでしょうか?

また、ママ社員だけでなくフェアを欠いた職場ではママ以外の社員からの不満も増えています。
特に女性が多い職場では、ママ社員の勤務時間を優遇した結果、それ以外の社員への業務負担が高まってしまったという話が出るようになりました。
そのような問題に正面から取り組み、話題になったのが「資生堂ショック」です。
2014年、資生堂が打ち出した人事制度改革のひとつとして1万人のBC(美容部員)を対象に育児中でも夜間までの遅番や土日勤務に入ってもらうという内容です。
これまで女性保護の施策を強く打ち出していた同社の取り組みとは異なり
「フェア」に舵を切った施策に、「子育て中の女性に厳しい会社になった」「資生堂の姿勢にがっかり」といった強い批判が起きました。
資生堂はすでに何年もかけてケアの施策を充実してきました。
そのようなセイフティネットを整えたうえで、育児などで制約がある社員も責任ある仕事を任される「フェア」の施策を加えたのです。
同社のHPでも、第二ステージを「両立可能」としたうえで第三ステージに「キャリアアップ」というステップを明記してます。

フェア×ケアマトリックスで示されているように、ケアの充実だけではダイバーシティ施策として不十分です。
資生堂のように一歩踏み込んだフェアの施策は、女性管理職を増やし
真のダイバーシティを実現するための必要なステップであると言えます。

※ちなみに当時の記事を読んでみると「産んだ女性VS産まない女性」の対立構造として資生堂ショックが取り上げられために、この制度を取り入れた資生堂の意図とは違う観点で炎上してしまったことがとても残念です。
たしかにママ社員とそれ以外の社員との公平性という側面はありますが、
一番重要なのはママ社員のキャリア形成を会社が支援するというメッセージを出したところにあります。

▼当時の記事「資生堂ショック「産まない女子」と「産んだ女子」が職場で大ゲンカ」
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/48039?imp=0

ケアからさらに踏み込んでフェアな会社にしていく、という施策を取り入れる企業は増えています。
とある会社では、これまで時短勤務者を良かれと思って評価対象外にしていたところ「公平ではない」という声が上がり、
時短社員にも評価や異動配置の機会を提供するようになったという話をしてくれました。
また、育休の取得促進は当然として、育休中に復職後のマインドセット研修を取り入れて女性自身にキャリア意識をもって復職してもらおうという企業も増えてきています。
フェアを促すことは、企業にとってもママ社員を戦力としてみることができる一方、
個人の価値観が多様な中でどこまで公平性を求めてよいか、迷いもあると思います。

私自身の見解としては、総合職型正社員である以上は本人の成長を促し、責任ある仕事を与え、評価していくべきと考えます。
一方で、それを望まない社員に対して業務の負担を減らす、働く時間をセーブするといった職制を選べるようにし、
子育てや介護が終わったタイミングで職制を行き来できるような人事制度が必要ではないかと考えています。
実際にこの複線型キャリア制度を取り入れている会社も出始めていますので
機会があればnoteで、複線型キャリア制度についても紹介できれば思っています。

次は(ようやく・・)女性管理職インタビューの調査結果について考察していきたいと思います。
ではまた!

▼ダイバーシティ担当必見!
100人にインタビューした女性管理職白書はこちら
https://www.mog-career.co.jp/archives/mog_wp_2021.pdf

▼専門性の高いワーキングマザーの人材紹介「ママリブラ」
https://www.mamalibra.jp/


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?