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「営業活動とその仕組み」の語られなさ。

中小企業を対象にHubSpotでSFA的な導入支援をしていると「営業活動とその仕組み」の体系的かつ累積的な語られなさをよく感じます。いや、ヒアリングをすれば現場の声は出てくるんですよ。でもそれらは個人的な感想や意見であって(それも大切ですが)、「自社の営業活動はこのような仕組みでこのようにワークする」といったテーマがこれまで語られてこなかったのではないかという感触が強い。対話の累積がないために「前提となる言葉や文脈」がなく、個人的な感想や意見に終始する。経営層やマネージャー職に尋ねても「今の課題」はすぐに出てきますが、自社の営業活動のフレームを前提として語られることはほぼありません。

「自分たちが何のゲームをやっているのか」がまず語られず、「プレイについての哲学や課題」を個別に語っている印象です。野球なのか、サッカーなのか、鬼ごっこなのか。それらについて長年語られ検証された形跡がない。SFAの導入を乱暴に言い換えると「有象無象をひとまず形式にあてはめる」という作業なので、荒くてもいいのでまずは型を見分ける必要があります。自分たちの営業活動は野球なのか、サッカーなのか、鬼ごっこなのか。でも、多くの中小企業の場合そこで一旦足が止まります。プレイについての言葉は多く持っていますが、「自分たちはどんなゲームをやっているのか」の共通した言葉を持っていない。それっぽい言葉は出てきますが、長年培ってきた太い年輪を感じさせません。おそらく社内で交わされた対話のボリュームが絶対的に足りていないと思われます。たぶん悪いことじゃないんです。きっと不要だったからで。そんなことしなくてもこれまでは問題なかったはず。仕事は来るし、人も採用できた。もちろん課題はあったけれど、個別事象として対応できた。しかし、どうもそれでは済まなくなってきているようです。

今後、中小企業が始めなければならないことの一つに「自分たちの営業活動とその仕組みを語り始めること」があるかもしれません。もちろん外部の知見やメソッドを取り入れ、外部支援を導入することは必要だと思います。しかし、より本質的に必要なことは「自分たち自身を語り始め、自分たちの言葉を見つけ、それらを社内に累積すること」だと思うようになりました。近年、企業環境をめぐってDXだリスキリングだと賑やかに騒がれていますが、それらに共有するテーマは「変われ。さもなくば去れ」です。巧妙に覆い隠されていますが。本質的にはそう要請されています。それらに異論はありませんし、まあそうなんだろうなと思いますが、それに向き合うためにも「自分たち自身を語る言葉」を持つ必要があります。変わるためには座標が必要です。今自分たちがどこにいるのか。自分たちは何者なのか。これからどこに行くにせよ、現在地の座標は必要です。それがないまま変革の暴風に向き合うのはあまりにも危険すぎる。

デジタル化の推進といった暴風に対応するには自分自身を語る言葉の累積が必要不可欠だ。最近はそんな風に思うようになりました。何をアナログなことを…と呆れられそうですしぼくもそう思いますが、そう思い始めちゃったんですよね。困ったな。

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