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Controllable / Uncontrollable を描く映画『TAR/ター』

自分が何を観たのか未だに分からない。とにかく" 語られない映画 "ではある。

スクリーンに写っている物語の裏側で語られない物語が蠢いている。多くの登場人物が目で何かを語り、その物語は語られない。不穏さと不可解さ。不可視な領域。

主人公が陥る状況は自業自得ではあるがそこには他者というブラックボックスが介在する。そこから出力された解もまた自身の一部であって。つまりは不可知。Controllable / Uncontrollable をテーマとする映画ではあるが、制御を司る主人公もまた不制御に陥っていく。

何が怖いって、ぼくたちが生きる日々も似たようなものだと観終わった後に思わされるんですよね。波に浮かぶ不安な板の上に取り残された気分です。えらいものを観た。

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