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わたしはずっと東京に住んでいる
わたしはずっと彼のことをひしゃげたガードレールだと思っていた
擦ると嫌な音のする砂っぽい光沢のある
ぶつかるといつも骨に響いて痛い
わたしはずっと彼のことを点滅した蛍光灯だと思っていた
誰もいない部屋でばちんと音をたてる黄ばんだ
この世にない光だから目に入ると冴える
でも今日の彼女は濡れた木みたいだった
湿った樹木の皮とひんやりとした硬い葉が
今日の彼女は海みたいだった
どこまでもひたひたと続くアスファルトの波が
煌くの眩しい
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