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【The New Yorker Radio Hour】なぜ僕らは新型コロナを甘くみるのか? ('20/4/4)

これは僕が聞いたポッドキャストの要約です。
多くの人が知っておいて損はないと感じたものをnoteに投稿することにしました。
僕は現在、意識的にソーシャルメディアから距離を置いています。
必要な情報以上に目につく眉唾な情報、Twitterの♡獲得狙いの皮肉・批判・大喜利、等々... なんでもありの異種格闘技戦に観客として、選手として参加するのを控え、時間が許す限り海外から届くポッドキャストに耳を傾けています。
既知の情報もあると思いますが、海外メディアが配信してる番組の要約なので、自分が何を信じるべきか判断しかねている場合のセカンドオピニオンとしてお読みいただければ幸いです。
なお、ここで取り上げているポッドキャスト番組は、Spotify, Apple Podcast, Google Podcast, 等で無料で聴くことができます。

「The New Yorker Radio Hour」は村上春樹の英訳版が掲載されることでよく知られる雑誌"The New Yorker" とNY市に本部がある公共ラジオ放送局・WNYCが運営するWNYC Studiosが共同制作しているポッドキャスト番組。
このセッションでは「ファスト&スロー あなたの意思はどのように決まるか?(上&下)」を執筆した心理学者でありながらノーベル経済学賞を受賞した行動経済学の権威・ダニエル・カーネマン と 心理学の分野で様々な著作のあるMaria Konnikovaが「(深刻な状況を前にして)なぜ人は事態を過小評価してしまうのか?」について語りあう。
※書き起こしはありません。

「指数関数的増加」と「未来の予測」を直感的に理解するのは難しい

新型コロナに関わらず感染症という病が指数関数的に、倍々に増加していくことは周知されている。
そして、感染してから発症するまでに一定の時間を要することも知られている。
しかし、人がその事実にのっとって慎重な行動をとっていないことは明白になっている。
ダニエル・カーネマンは、
人にはそれを直感的に理解する能力が備わってないのではないだろうか?」と考えているようだ。
市民から国の中枢を担う人にいたるまで、「指数関数的増加」とは何かを理解できずにいたとすると、今後それを理解するためにはどのようなアプローチが求められるだろうか?

今日の「数字」の発表に効果はあるのか?

トランプ大統領をはじめ、多くの人は今日の「感染者数」、今日の「死亡者数」にフォーカスする傾向があるが、果たしてその発表に人の行動を抑制する効果はあるのだろうか?
人はその数を知り、事態の深刻度を認識するかもしれないが、必ずしも正しい決断をする、ということにはつながっていない。
その危険性を実体験として認識していない人に対して、自分ごととして認識させ、その認識をもとに行動してもらうよう導く必要がある。

行動リスクの小さなギャンブル

「公園に行くことすらギャンブル的要素が含まれる、自分自身の健康だけでなく、他者の健康をも賭けたギャンブルだと考えると、人が意思決定をする際にはどのような計算をするだろうか?」とMaria Konnikovaは問いかける。それに対するカーネマンの回答はとてもわかりやすい。
「スーパーに行くことがギャンブルだと感じているとすると、シートベルトを着用する / 着用しない というのと同じような意味でギャンブルだと感じているのではないだろうか?それは累積的なギャンブルだけれど、 一つ一つの行動のリスクは非常に小さい 。スーパーを例にとると、今は全体的には「行かない」という行動パターンを採用することで、より安全になると考えられている。
他者の行動の変化に気づくこと、このシグナルに気づくことが、危険信号が伝達される主な方法ではないか思う。

言葉より視覚に訴えることが必要

「マスクを着用するように」と言われても、その習慣が根付いていない場合には、その要求に素直に従う、といった変化はなかなか訪れない。
人は文化・習慣は変えたくないものだ。
もし、トランプ大統領が適切な距離を保ちながら記者会見をしているのを見かけると、それは効果的な信号といえるだろう。
しかし、複数の高官と密接な距離にいるトランプ大統領が記者会見をし、国民にソーシャルディスタンスを呼びかけたとしても、人々は発信されている内容ではなく、自分が目にしているものをシグナルとして受け取っているのではないだろうか
こうした行動がもたらす被害は非常に大きいと思う。

ノーベル賞受賞者にとっても適切な現状認識&意思決定は至難の技?

カーネマンはフランスへの旅を予定していた中で、キャンセルするか否かの選択をする必要があった。
結果的には最後の最後に行かないことにしたというが、その決断に至る際に正確に判断する術を持っていたけれど、その時はそれを使わずにいた。と語る。
その術とは、「パンデミックが拡大している」という認識をもつこと。
当時は死者数も少なく、そこまでの危機感を持っていなかった。
しかし、今回多くの人が「パンデミックとはこういうものだ」ということを知ることになった。
そのことがとても重要なことなのではないか、とカーネマンは言う。

この危機を乗り越える上で楽観的であるべきか?悲観的であるべきか?

カーネマンは楽観的であるべきだと考える。
「1918年のパンデミックの時も、多くの犠牲は伴ったが、社会は生き残った。
自分を含めた高齢者にとっては、楽観的に構えることのできる要素はあまりなく、残された人生を大きく変えることになるだろう。
しかし、真の社会に関しては間違いなく楽観的に考えている。
時間を擁するかもしれないが、究極的には社会も経済も復興するだろう。
You know、Life will Go On.

行動心理学で防げるパニックはあるのではないか?

どれだけソーシャルメディアが発達して、それを情報入手のツールとして多くの人が活用していたとしても、やはりテレビの映像のインパクトに勝るものは今のところまだない。
新型コロナ初期の段階で、僕たちは完全防護の状態で街を消毒している武漢・韓国の様子を見てきた。
そのインパクトのある映像に「コロナやばいは、これ!」と思いながらも、スタジオのキャスターやコメンテーターの様子、政治家と腰の引けた質問をする記者たちの様子を目にし、その様子こそが新型コロナが差し迫った状況にないと感じさせる False Alarm になっていたというのはかなり説得力がある考察だと感じた。
もし政府や報道機関に行動心理学のプロがいて、適切なアドバイスをし、そのアドバイスに耳を傾ける仕組みができていれば、将来的にまたパンデミックがおこったとしてもそのインパクトを最小限に止めることができるのではないかと僕は思う。





新型コロナウィルス関連で今後様々な社会貢献の動きが出てくると思います。 いただいたサポートは、全額社会貢献活動に還元させていただきます。