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棋士から学ぶ姿勢

先日、藤井聡太七段が将棋界史上最年少の18歳1カ月で二冠を獲得されました。今回はそのことに触れながら、棋士の将棋に向かう姿勢から学ぶことについてお話します。

私は将棋を見るのが好きです。自分で指すのは非常に弱くまともな対局にならないため、ほぼ見る専門です。そんな私も例外なく藤井二冠の対局には注目していました。そして将棋界の歴史を塗り替える素晴らしい対局を見せてもらい、非常に感激しました。

藤井二冠が見ているものは自身の栄光ではなく課題

そんな素晴らしい快挙を成し遂げた藤井二冠ですが、棋聖戦の後のインタビューで、一番印象に残った対局について聞かれたとき、敗戦した対局であると話していたのが印象的でした。

勝った対局よりも、負けた対局を見つめ、課題を見つけ精進していくという姿勢は、ビジネスにもつながる素晴らしいスタンスだと感じました。

負けるのには理由があるとよく言われるように、負けたことから学ぶものはとても多いです。しかし、私自身に置き換えた時、仕事がうまくいっていたら、達成感や喜びで満たされてすぐには課題を見つけることができていないと反省しました。

実は、他の棋士の方々も同じように敗因を冷静に分析し将棋人生が続く限り成長し続ける先生方ばかりなので、尊敬の念に堪えません。

想像を絶する精神

私が将棋の対局で驚くことは、3つあります。

①投了の瞬間

「負けました」と自ら敗北を宣言しなければならない投了の瞬間は、勝負師として苦痛でたまらないと思います。しかしながら、意を決して堂々とした声で投了を迎えます。こんな瞬間を見たとき、私はいつも仕事や人生に置き換えてしまうのですが、仕事や人生で「負けた」と思っていても口にすることはなかなかできません。

②感想戦

対局後に開始から終局までを一手一手振り返る感想戦も私にとっては信じられません。先日将棋の番組を見ていたら、将棋ファンの方からとある先生へのお便りが読まれていました。「負けた後の感想戦は辛くないんですか?」という質問でした。私もずっと抱えていた疑問だったので、よく聞いてくれたと思いました。するとその先生は答えました。「もちろん悔しいですが、あれは負けた棋士のためにしているのです。負けた人はなぜ負けたのか納得いくまで分析したい。だから負けた棋士が納得するまでやります。」感想戦は、負けた先生が敗因から自身の成長のために学びを得ている大切な時間なのです。

③一つの対局ではなく将棋人生全てで勝負

私が最も尊敬する棋士の一人、羽生善治九段のインタビューを見ていた時、「今後の将棋において大事な一手を見つけられるなら対局の一つを失っても構わない」といった内容のことをおっしゃっていました。つまり、目の前の対局に勝つことではなく、もっと大きな、将棋人生という長い戦いに勝つことを目指しているんだと感じ、感銘を受けました。

まとめ

このように、負けてから必ず成長し、最終的に勝つために、むしろ目の前の勝ちにこだわらないという姿勢を、私は棋士の先生方から学んでいます。

何かにチャレンジしているとき、誰かや何かと比べて、くじけそうになることもあると思います。その時、一時的に敗北を宣言しなければならないかもしれません。しかしそれは、自分の現在地を確認するために必要なことだと思います。その敗北は完全な敗北ではなく、自分の人生において最終的に勝利を手に入れるための良手を見つけるためのものではないでしょうか。そう考えると、私たちは今、結構いい対局をしていると思いませんか。


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